HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

100日目に死ぬワニと1001日目の七面鳥

正直、存在すら知らなかったが「100日目に死ぬワニ」というツイッター掲出の漫画が話題だそうだ。

本人は当然死ぬとわかっていないので、前日まで友達と交流し、花見を楽しみにしている。

このワニくんの生き様は、まさにcovid19に直面している私達の姿だ。「ブラックスワン」のタレブの「1001日目の七面鳥」問題だ。

タレブが「1001日目の七面鳥」という話しを書いていた。毎日えさを与えられ、右肩上がりで成長していく七面鳥からすれば、この繁栄は永遠に続くように感じられるに違いない。しかし、養鶏業者からすれば千日後には必ず屠殺して出荷することは最初から決まっている。カオス理論、べき乗則の場合は、このカタストロフがいつおこるかはわからないという立場ではある。

人類の歴史は虐殺の歴史 - HPO機密日誌

いや、私達は七面鳥ではない、自由意思もあるし、リスクに対する知識も、私達を守る社会的インフラもある、と普通思うだろう。最終話から判断する限り、ワニくんが死んだ理由の伏線は3日目にすでに出てきている。

小鳥を救えた自分は十分に準備ができていたのだと思っていたのに違いない。もしかすると、友達が送ったスマフォのメッセンジャーが原因なのかもしれないが、それすら日常で使っていも安全を確保できていた*1

私もいくつかの旅行、出張、ビジネスプランを考えていた。1月5日には新型コロナウィルスの存在、とそれにともなう新型肺炎の恐ろしさは自覚していたにも関わらずだ。ぬくぬくと仕事を続け、その延長線上でのイベントを期待していた。実際にはそれらすべてがキャンセルとなり、自分の仕事のかなりの部分が大きな影響を受けている。

私自身も含め、所詮どこかからの高みから見れば、1000日生きれるかいきれないかわからない七面鳥に過ぎない。あるいは花見を楽しみにしているワニくんにすぎない。タレブが指摘するように、重要な物事それぞれにアップサイドとダウンサイドのどちらの余地、可能性が高いかよくよく考えておくことは重要かもしれない。

hpo.hatenablog.com

つまりは、タレブ自身が実践している、「バーベル戦略」へと至る。まあ、それでも私は七面鳥、ワニくんをひとつも笑えない。

最近、日常のものごとの判断において「エクスポージャー」の度合い向きを意識するようになった。つまりは、下振れしかないのか、上振れもするのか?あるいは、上下に同じ分布で「こと」が影響するのか、下振れと上振れで確立が違うのか?自分の仕事の意思決定においてタレブの言う、バーベル戦略、つまりは一定のコストで下振れのリスクをヘッジし、日常の「利益」は下振れの少ない、利回りの確定した選択肢を組み合わせるところまで、なんとなく道が通じている気がしている。よくよく、判断の対象となる自分の仕事の領域がどの象限のことを言っているのか、その意思決定は上振れを期待できるのか、下振れだけなのか、あるいは限界のないぶれなのか、判断して意思決定する習慣をつけたい。

第四象限のブラックスワン - HPO機密日誌

careersupli.jp

*1:正直に言えば、最初の数話と最後の数話しか読んでいないので間違っているかもしれない。

G Suiteを使った中小企業にもできるリモートワーク・コンティンジェンシープラン

少し前から職場で新型コロナウィルス感染者の発生を前提としたリモートワークプランを作成し、実証実験まで行った。その体験、知見を共有することは、同じような状況の中小企業勤務の方のために万分の一かもしれないがなると考え、整理し直してドキュメントにした。

docs.google.com

そもそも、G Suite導入時に散々調べたが、ビジネスアカウントで無制限のクラウドが使えるというのは大きい。正直、自分の職場でも仕事で使うファイルがテラバイト単位となる。一応、代理店まで使ってそれでも大丈夫か質問したが全く問題ないと。テレビ会議システムとしてハングアウトミートは若干使いづらい所があるかもしれない。ドキュメントとスプレッドシートよりもワードとエクセルを使いたくなるかもしれない。それでも、ビジネスアカウントで会社としてセキュリティを保てるオフィスパッケージとしてクラウドからアプリケーションまで完結している意味は大きい。情報流出のリスクなどを考えれば、会社で制御できるリモートワークを構築しなければならない。IT専任担当者のいない中小企業で総務担当レベルで情報制御できるのは実質G Suite一択ではないだろうか?

ちょっとだけポイント。

  • ドキュメント、スプレッドシートは誰が記入したか、いつ記入したが変更履歴がすべて残る。したがって、勤務管理票、稟議書などはエクセル等で管理していればそのままクラウドにアップすればそのまま使えてしまう。
  • 端末を買う時に1台10万円以下であれば消耗品となるので、何台買ってもその年に損金として計上できる(各社の顧問税理士等に要確認)。

私のG Suite愛を語りたいがために文書公開するのではないが、本当に新型コロナウィルス怖い。絶対いまからコンティンジェンシープランを考えておくべき。逆に、お前の考えは甘いという点があればぜひ指摘してほしい。準備しておかなければならないことが山積しているのは自覚している。

hpo.hatenablog.com

「ビジネスマン、生涯の過し方」

先般、「ビジネスマンの父より息子への30通の手紙」を読み、父親から息子への無償の愛のあたたかさに感銘を受けた。日本での出版まもなく頃、最初に読んだ時は、本当に息子に譲るまでのドキュメンタリ的に書かれた「手紙」だと思った。先日読み直して、年齢がちょっと合わないと。

hpo.hatenablog.com

ただし、調べてみるとその後、立派に息子の「キング・ジュニア」が父親の事業を継承したことを確かめ、本当に素晴らしいと感じた。実際に著者の生き様に迫りたいと想い、更に二冊を購入し、「生涯の過ごし方」を読了した。娘への手紙は少々ちゅうちょしていたが、これから読む。

改めて、ウォード氏の生き方に触れて素晴らしい実業家としての人生だなと感銘を受けた。たぶん、ちょうど「息子への手紙」を書いた時のウォード氏の年齢に私もなった。「ビジネスマンの一日」の章に描かれた職場での意思決定、人とのコミュニケーションなどよく分かる。「脱サラ物語」、「気まぐれな運命」に描かれた公認会計士を苦労して取得し、更に会社オーナーとしてスタートしていく姿にも大変共鳴した。会社経営者はまず数字に明るくなくてはならない。日常の「気まぐれ」のように見える事象にも数字で考えられなくてはならない。会計の知識、教養はそのためには絶対に必須だ。

「経済的保証」、「リスクを冒す」に書かれたように、更に経営者はリスクを取ることに積極的でなければならない。できれば、好きくらいのほうがいい。当然、そこには冷徹な計算が必須ではあるが、その上で(私の造語で)「リスクジャンキー」なくらいでちょうどいい。

「狼、悪天候、母なる自然、そして私」、「ブッシュパイロット」、「子供とともに成長しよう」に描かれるような、余暇を楽しみ、自然に親しみ、そこに家族を伴う余裕は私にはなかったことが残念だ。いまではもう子供たちもすっかり大人になってしまった。子供達と正面から向き合える時間は本当は短いのに私は仕事にかまけて家族との時間、余暇の積極的な過し方を選択することができなかった。これは反省。

一番読みたかったどのように「30通」を書いたかは「著述家の誕生」に書いてあった。以前のエントリーの年齢からの推測は間違っていなかった。最終章の「私たちはこの世に何を残していくのか」の原題は「On Death」(死について)。Mement Moriという言葉がある。死を思えばこそ、一日いちにちを充実して生きる。そして、なにを次の世代に残せるのか、と問い続け、実行し続ける。実に共感するところ大だ。

「30通」の英語版も入手している。すばらしく格調高い英語で書かれている。ウォード氏の教養が余すことなく発揮されている文章だと伝わる。時間はかかっても通読したいものだ。

他国をうらやむ前に

今回のcovid-19、新型コロナウィルスによる疾病の広がりは、国によって様々な対応が行われている。中でも、日本人の多くが羨望の目で見ているのは台湾ではないだろうか?

国/地域 累積症例数 新規症例数 累積死者数 新規死者数 累積回復数 疾病中(active cases) 重篤 累積/百万人
Taiwan 53 +3 1 20 32 2.2
https://www.worldometers.info/coronavirus/

*日本標準時 2020/3/15 AM8:00 現在 翻訳は本ブログ

中国との早期の入国禁止という政治的決断が大きかったことと、若きIT担当大臣、唐鳳氏が大きく取り上げられている。

● 台湾、3日連続で新たな感染者ゼロ 新型コロナウイルス

初動対応が的確だとこれほど効果があるということを台湾は実践して見せてくれました。
(中略)
今回、その立役者として台湾政界で注目を浴びている人物の一人にIT大臣の唐鳳(オードリー・タン)氏がいます。彼女は台湾政界で3つの史上初を実現した逸材です。

35歳の最年少で大臣就任、台湾では中卒という学歴で大臣就任、男性から女性へと転換したトランスジェンダーの大臣就任、という3つです。彼女は、よくIQ180の天才プログラマーと評されている通り、相当な実力の持ち主です。台湾には、そのような逸材を大臣として迎え入れる度量があります。

今回の新型コロナ対策の柔軟さを見ても、それはよくわかります。オードリー氏はマスク買いだめ防止策として、健康保険証の番号でマスクを買える日を指定しました。購入枚数は1週間で大人は3枚まで、子どもは5枚までと決まっていて、制限以上に買うことはできません。そして、これらの購入履歴も管理することにより、台湾でのマスク購入殺到や中国人による爆買いを防ぎ、品切れを防いだのです。

また、衛生福利部(保健省)と協力して、台湾国内の薬局にある在庫データをインターネット上で公開しました。すると、これを見た民間のITエンジニアが、そのデータを地図上に表示し、在庫状況がすぐにわかるアプリを開発しました。

オードリー氏のテクノロジーを使った危機管理が、高く評価されているのです。

日本が感動。都の新型コロナ対策サイトに降臨した台湾天才IT大臣 - まぐまぐニュース!

しかし、私達はこうしたITを縦横無尽に活用する政治家が台湾より前に日本に出現していたかもしれない可能性を忘れてはならない。

ja.wikipedia.org

私がここで書くまでもなく、ホリエモンこと、堀江貴文氏はITで大成功し、政治家を一時目指したが落選させられた。更には、刑事罰になるはずがない経営上の方針決定により収監までされた。この十数年で大手と呼ばれる会社が堀江氏よりはるかにたちの悪い利益の偽装などが明らかになってきたが、寡聞にして刑事罰を受けたという経営者を知らない。彼の試みが成功していれば、世界に先駆けてウェブ、ITと一体となったテレビ局が誕生し、IT活用に長けた大臣が生まれていたかもしれない。あるいは、当時「ライブドアはすごい、3日でプロダクトを市場にだす」と言われた同社のIT陣営が今回のCovid-19を乗り切っていたかもしれない。現実の政府が委託した専門家と呼ばれる方々のあまり高齢に衝撃を受けているのは、私だけだろうか?

いくつかの堀江氏の発言、言動が保守派に気に障り意図的に罪状が作り上げられ、数々の虚偽的な報道がなされたことを私は知っている。汗水たらさずに金儲けをするのが許せないというのが彼らの主張だった。それによって、どれだけの若者が夢を失い、どれだけ日本が世界から立ち遅れたのかと彼らに聞いてみたい。

更に言えば、堀江氏を潰した勢力から、旧民主党まで見事に乗り切り、勢力を拡大し続けている財務省が新しい芽を出すことを潰しているように見えるのは私だけだろうか?財政規律がそんなに大事なのだろうか?消費税2%増税できても、課税標準である消費が10%も減ったら意味があるのだろうか?*1

hpo.hatenablog.com

日本国民が消費税増税でひどい目に遭い、さらに新型コロナウィルスの疾病でこれだけ経済的にも苦しめられているのは見るに耐えない。本当に消費税の1年間の減免や、還元ポイントを利用した消費の拡大のためにぜひ政府は実効性ある大胆な経済対策を取ってほしい。更には、この機会に自民党、野党を問わず嫉妬心は捨てて、若くてい有能な方々を権力の伴う政治の場に載せてほしい。旧民主党系の方々も「影のIT大臣」として堀江氏を遅まきながら起用するとか検討したら政権を取るきが有るのだなと思うだろう。自民党側から詫びを入れて、内閣か、補佐官に起用するというのも未来が感じられる。若手財務官僚さんたちだって、IT音痴であるがために内部統制、ガバナンスの明確化ができない役所構造による残業や、IT音痴であるがためにより合理的な政治的決断ができない政治家、政治屋たちにあきあきしているのではないだろうか?

ちなみに、私は個人的には堀江氏と一切関係がない。最近の書籍も一切読んでいない。私の勝手連もいいところのエントリーだることは書いておく。


■追記

台湾の友人に唐鳳氏のことを聞いてみた。どうも、台湾の国情からいうと総統からIT大臣まで国内的にはいろいろと問題を指摘されているらしい。日本からみればこんなにcovid-19ウィルスを封じ込めた立役者に見えても、それぞれのお国の国内事情があるのだろう。まあ、その意味では堀江氏が国内勢力から疎んじられたのと同じ構図が台湾にすら有るのかもしれない。

*1:正直に言えば、100 x 8% = 8で、90 x 10% = 9なので消費が11%以上落ち込まなければネットの金額で増税成功となってしまう。しかし、一方で不景気による企業の税金などが縮小することを考えれば短期でも税額が増えない。そればかりか、将来に渡って中国、米国のような成長が抑制されれば現在価値に置き換えた税収はマイナスだろうと考える。

「SARS-CoV-2排泄期間の中央値20日」のインパクト(個人的メモ)

公私ともにCovid19、SARS-CoV-2の影響を受けているので、ほぼ常にツイッターで情報を追うことがこの二ヶ月あまり日常になっている。いくつも学ばせていただいている。しかし、今日はかなりのインパクトを感じた。

これまでの報道等では、潜伏期間の中央値が10日程度で、症状が全快し、PCR検査等で陰性になればそれ以上は感染は拡大しないと一般には言われていた。当然、診察、入院しないで無症状で全快する方も、それ以上は感染を広げないだろうというのが前提だった。

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https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20200125-00160270/

最新論文から明らかになってきた新型コロナウイルス感染症の特徴(忽那賢志) - 個人 - Yahoo!ニュース

ただし、無症状での感染拡大や、検査で陰性であっても感染が認められたかもしれないとは言われていた。それが、Lancet掲載の論文で中央値20日、最大37日間感染力が続くというのは大きな感染予測の変更を余儀なくされるのではないだろうか?

Median duration of viral shedding was 20·0 days (IQR 17·0–24·0) in survivors, but SARS-CoV-2 was detectable until death in non-survivors. The longest observed duration of viral shedding in survivors was 37 days.

https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(20)30566-3/fulltext

以前、SEIRモデルのエントリーを拝見し、スプレッドシートでざっと作ってみた。モデルというのはやった人はわかるがパラメーターの与え方でどうとでも結果は導ける。それでも、感染可能な期間の長短により感染者数が大きく変わるのは明らか。要は隔離しかないという話しになる。

blog.428lab.net

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感染モデル :基本再生産数 - HPO機密日誌

このモデルを少し改良し、感染者数の減少がいかに起こるかをいくつかスタディーした。その上で、安倍首相の学校休校、自粛要請は大きな決断であり、潜伏期間、感染可能な期間が10日程度であれば20日程度で感染者数の増加は収まるのではないかと考えていた。

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https://docs.google.com/spreadsheets/d/1dUBiZ9hes9XODbrED8Z46idc_Q8u89G6M3TVNd1qCXA/edit?usp=sharing

しかし、感染可能期間が症状が収まったり、退院した後も続くのだとすると収束しない計算になる。若干パラメーターをいじってあるが、感染可能日数が10日ではなく20日にすると、2月8日に16人であった感染者が3月13日辺りに500人を越すというカーブになった。統計的な検証はしていないが、ほぼ同じカーブが描けている

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*2つのグラフの横軸の一番右側で33日目、3月13日想定。

私は検査を限定的にすべきだという論者だったが、感染可能な期間が長くなるのだとすると場合によっては検査のやり方等を検討すべきだはないかという考えに傾く。驚くことに韓国はかなりの犠牲を払いながら、終息に向かっているように見える。

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https://www.worldometers.info/coronavirus/country/south-korea/

私の素人考えの多くは間違っているのはよく理解しているが、本当に「未知」であるがために世界が恐れおののいているので、covid19ウィルスがどのような性質を持ち、どのように感染していくのか、感染力はどのような条件で維持されるのか、早く明確になってほしい。

hpo.hatenablog.com


■追記

坂本先生から私の素人質問にお答えをいただいた。本当に感謝申し上げたい。

結論から言えば想定の範囲内だと。

はてなを見ていたら、ピークカット戦略についての批判的なエントリーが上がっていた。最大の死亡者は88.2万人だとある。

medium.com

冷静に考えてみれば、厚労省有識者会議が想定している死亡者ははるかに多い。

「猛威をふるう『ウィルス・感染症』にどう立ち向かうのか」(個人的メモ) - HPO機密日誌

夕方の安倍首相の発表で検査の能力も大幅に高めていくとおっしゃっていた。ここから先は国民のかなりの数が感染するまでこの戦いは続くのだろう。イギリスと日本が先のエントリーの言葉で言えば「集団免疫」戦略を選択しているのは、両方とも島国であることが大きい。大陸、半島では同じ戦略は取れないからこそ一度に大きな犠牲者を出してでも封じ込めをするのだと。この戦いは長く続く。ひとつも嬉しくない。

「不道徳な経済学」:完璧なリバタリアン

著者のウォルター・ブロック教授、訳者の橘玲さんは完璧なリバタリアンなのだとよく伝わる。ここまで徹底した思考の存在すら知らないまま半世紀も生きてきてしまったことが恥ずかしい。

本書の著者、ブロック教授は、転売屋、ヤクの売人、売春婦、ダフ屋、偽札屋などを「ヒーロー」と呼ぶ。一般的な道徳からは排除されてしまいがちな、彼らこそが世界の有るべき姿を現し、市場経済を回しているのだと。国家や地方自治体が「法律」や、「行政」により人々の生活への不用意な制限、介入から、一般の人々を解放する「ヒーロー」なのだと。センチメンタルな道徳意識ががいかに世界のあり方を捻じ曲げているかを見事な論理で明らかにしてくれている。人々が自分の自由意思に基づいて生きていく限り、「ヒーロー」達は認められるべきであると。

リバタリアニズム(英: libertarianism)は、個人的な自由、経済的な自由の双方を重視する、自由主義上の政治思想・政治哲学の立場[1][2]。新自由主義と似るが、これが経済的な自由を重視するのに対し、リバタリアニズムは個人的な自由も重んじる[3]。他者の身体や正当に所有された物質的、私的財産を侵害しない限り、各人が望む全ての行動は基本的に自由であると主張する[4]。

リバタリアニズム - Wikipedia

もちろん、リバタリアンの前提として暴力的な力の徹底的排除、所有権の尊重が前提となる。自由意思の発露としての転売から偽札屋、はては児童雇用者まで、合理性の結果として説明されている。例えば、「ヤクの売人」は法的に制限されているから麻薬等の価格を吊り上げざるを得なくなる。そして、「顧客」たちは法外な値段のために通常ではない仕事に手を染めざるを得なくなるのだと。麻薬を犯罪として告発する行政側があるからこそ、価格をゆがめ、人々のあるべき生活をゆがめているのだと。実際、北米などで大麻の合法化などが行われ、適正な価格での流通が行われ、立派なビジネスとなっている。

最低賃金に関する考察が秀逸であった。これは間違いなく失業を増加させるための制限であり、結果として若年労働者を排除しすでに組合に所属する熟練労働者の雇用を守るための規制なのだと。考えてみれば、最低賃金が高く設定されればされるほど訓練に必要な未熟練労働者を雇用者は雇いたくなくなる。結果として、若年の失業率を高め、最終的には実際の雇用可能な賃金をも低下させてしまうと。

私のような論理を徹底できない者がこれ以上書いても伝わらない。ぜひ本書はもっと広く読まれるべき教科書だ。

危機的な状況ほど知見を積み上げるのが大事(個人的メモ)

はてなでこれまでの新型コロナウィルスについての知見をまとめたエントリーがあがっていた。これでも、まだ知りたいことに答えられていない。

note.com

一方、新型コロナウィルスの世界的蔓延、それにともなう資源安などによりニューヨーク株式市場がクラッシュしている。バブル崩壊SARS新型インフルエンザ、リーマンなどの経験から言えば、こうなると半値八掛けに割り引き、最悪最高値の三割程度まで下がっていく可能性すら出てきた。数々の危機の体験から言えば、株安が引き金となり、追い証の発生、不動産の投げ売り、消費減退、さらなる企業倒産等による信用不安、さらなる株安と危機がダウンスパイラルしていくと。恐ろしくてならない。

www.nikkei.com

こうした経済現象は新型コロナウィルスに関する知見が足りないから引き起こされている。現時点で新型コロナウィルスに全世界で10万人が感染し、3,000人が死んだと言っても、毎年交通事故で日本だけでも数千人が死ぬ、インフルエンザでも米国で1万人が死んだ。全世界の人口動態から言えば、大したインパクトではない。「知らない」ということが経済的恐慌を引き起こしかねないというだけだ。まさにAKIRAの「大佐」の感慨かなと。

https://www.amazon.co.jp/dp/4061037110/

こういう危機の時こそ、研究者は知見を積み上げる努力をすべきだと私は想う。「眼の前を見ろ」と、「患者と政治家とマスコミの対応でそれどころではない」とおっしゃる方がほとんどだとは理解できる。それでも、中国の1月の新型コロナウィルスに関する論文発表のスピードにはめざましいものがあった。2月に入って今度は日本の番だと期待していたが、手を動かした日本人研究者の論文にお目にかかったことはない。あれば、ぜひ教えて欲しい。

wired.jp

経済崩壊が医療崩壊よりも恐ろしい危険性となってきている今、研究者の方々にはこの「恐怖」という病を癒やす知見を積み上げてほしい。素人であっても研究の可能性を想像することが万にひとつでも、きっかけにつながるのではないだろうかと想い、本エントリーを起こした。

ざっと言うと・・・。

①体外での温度湿度等環境と感染力?

コロナウィルス一般が温度、湿度と体外での感染力維持期間に関係がないと言われているのは知っている。でも、南方の方がまだ感染例が少ないように思える。一縷の希望。

hpo.hatenablog.com
*1

②何時間(日)くらい体外で感染力維持?

これもコロナウィルスに関する論文のレビューが存在していたと記憶する。飛沫がついた表面で、最長1週間とか恐ろしいことが書いてあった。新型コロナウィルスについてはどうなのかが今後とても大切になると考える。

https://www.hazardlab.jp/know/topics/detail/3/3/33078.htmlwww.hazardlab.jp

飛沫感染でどれくらい(どのように)口鼻の近くにウィルスがつくと吸気とともに感染するのか?

素人な疑問。新型コロナウィルスはヒトのどの細胞に感染しやすく、どの細胞には感染しないのか。当たり前だが皮膚からの感染はないが、口内の細胞はどうかなど。あるいは、飛沫のまま飲み込んで喉に着床した時点で感染するのか、それが肺までいって増殖するのか?ぬれていれば、感染しないのか、飛沫が乾燥すると肺まで到達しやすくなるのか?飲み込んで胃までいけば溶けるのか?等々、疑問はつきない。こうした疑問がわりと日常の動作に影響したりする。



④「クラスタ」感染と呼ばれる現象のメカニズムは?

濃厚接触よりも換気の悪い人の集まる場所でのべき分布、2080法則的伝染が起こっているのは正直飛沫感染とは言え特別なメカニズムを疑いたくなる。まだブラック・スワンなのだと。

第四象限とは、私がブラック・スワンの世界に対してつけた科学的な呼び名だ。第四象限では、まれな”テール”部分の事象に対して高いエクスポージャーが存在、かつそういった事象を計算することができない。

第四象限のブラックスワン - HPO機密日誌
⑤「血清」とやらは・・・。

これは映画の見過ぎの妄想・・・。



⑥加齢で感染例が増えるメカニズムは?

五十代から感染が増えるのは、免疫の問題ではないように思える。例えば、唾液の量とか、別のメカニズムがあるのでは?私自身が五十代なので必死!

https://www.kubota-shikaiin.jp/%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%9E%E3%82%A6%E3%82%B9%E3%81%A7%E3%81%8A%E5%9B%B0%E3%82%8A%E3%81%AE%E6%96%B9/

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以上、素人のメモに過ぎないが、ぜひ知見を積み重ねて欲しい、そのためならファンディングでもなんでも協力したいという気持ちでいっぱい。


■⑥追記

ようは年をとると免疫が落ちるということらしい。40代で10代の半分の免疫力しかないと。半世紀生きている私からすれば本当に大変な事態。

https://style.nikkei.com/article/DGXMZO56484540W0A300C2000000/


■②追記

物体の表面で活発でいられる時間については大まかな知見は出た模様。

https://www.afpbb.com/articles/-/3274379

【図解】新型コロナウイルスの生存期間 写真3枚 国際ニュース:AFPBB News


■追記①

査読前の論文とのことだし、中国発のようなのでどこまで信頼できるかは不明だが、温度よりも湿度によりR0が変わるという。期待したい。

*1:WHOによって思いっきり否定されてた。www3.nhk.or.jp