HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

最近のPCR陽性者数から死亡者数を推測する(個人的メモ)

当初書いた以下の内容にスプレッドシートモデル作成上の大きな間違いが見つかった。人の死という非常にセンシティブな内容であるため、14日時点でのデータ、スプレッドシート等に置き換えた。以前のものは反省を込めて追記に回したい。

@kenmomd さんの年齢年代別の分析を拝見した。素人考えだが、各年代別に入院する率、あるいは死亡する率を掛けたら今後の必要病床数の予測や、被害の予測に役立つだろうと考えた。

データは、最近ようやく主ページの「左斜め上」に配置されたcsvファイルに気づいたジャグ・ジャパンさんのサイトと、厚労省のオープンデータ、そして厚労省の日本の致死率データからいただいてきた。4月に手入力していたころと比べると格段の進歩!

gis.jag-japan.com

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https://twitter.com/kenmomd/status/1276516135458897922

www.mhlw.go.jp

またとめシートはこちら。

docs.google.com

まず、3月1日以降の全国の年代別感染者のグラフ。

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結果できたグラフ。不明者の部分を全体平均の5.4%ではなく、若い方が多いことを考慮し半分の2.7%にした以外は全く出たまま。3月14日から7月初旬までの累計死亡者数の実データと予測データの相関係数は0.9979。単日の新規死亡者数の相関係数0.7007。統計的な有意の検定はしていないが、かなり高いだろうことは予想される。これから二週間程度で30名程度の死亡者が出る可能性がある。私の間違いか、「コロナで死ににくくなっている」、軽症化していることを祈る気持ちだ。

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スプレッドシートの7月1日以降の部分。黄色く色をつけた実データの11日時点での死亡者数と二週間予測の24日時点での差が今後発生するかもしれない死者数となる。

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ここから言えることは、

①本来一定の分布となる発症日、確定日、死亡日を推測すべきところだが、簡便に確定日から14日の経過で亡くなると仮定したにも関わらず相関が高くなった。

②一般的な致死率を掛けても、これだけグラフがフィットするということは現在のPCR陽性検査による感染者補足率は高い可能性がある。

③感染者は、7月以降に6月前半までの傾向を越えた感染者が出ているのでいくら若者が多いとは言え、これまでの傾向以上の死者がこれから出る可能性がある。

素人の推計なのでなんの役にも立たないが、確かに感染を抑制しないと死亡者は減らない。それでも、経済活動は再開されなければより多くの死亡者が出るだろうとしか思えないし、経済苦で一番苦しめられるのは子供達だと信じる。

hpo.hatenablog.com


■追記

ちょっとまだおかしいが、とりあえず。


■追記 その2

いろいろ間違いが見つかり、現在の予測。


■追記 その3 修正部分

以下は、修正する前の内容。反省を込めて記録しておく。

当初間違った内容を含むスプレッドシート
docs.google.com

6/1以降感染者グラフ
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「不明」に10歳以下の感染者が入っていた。

「不明」については、全体平均の5.4%と、若い方が多いという仮定から1%としたグラフを描いた。2つのグラフで縦軸の最大値が動いてしまっていることにご留意を。

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統計についてのコメント。相関はぐっと高くなった。相関のt検定はまだこれから勉強。

実データの死亡数累計と予測された死亡数累計の相関係数を計算するとR^2=0.93と高い相関となった。ところが、当日毎(新規感染者)ベースでの相関ではほとんど無相関だった。6月20日公表の17人が攪乱しているかもしれないと考え、ここを除外したが0.3程度の相関。時系列データの相関係数の判定は統計的に私の手には余る。今後相関係数のt検定くらいはできるようになりたい。
bellcurve.jp

移動量とCovid-19感染のデカップリング(個人的メモ)

東京での感染拡大の報道を受けて、人々の移動量と感染の統計について、自分で少しは調べなければと想っていたら、@ma_pressさんが全面的にやっていらした。

また、経済と感染のバランスを取るための方策もデータの根拠まで示されている。

私も若干Google Mobility Reportを使って、Rtとの関係を調べた。@birdtakaさんのお陰!

hpo.hatenablog.com

この時点では移動、MobilityとRtの関係を自分で再現できなかったが、7月頭にやってみた。現在の東京のPCR陽性者数の推移、Rtは二週間前の移動を見ればよいと理解した。繰り返すが、7月4日の百人前後のPCR陽性者の報道があった時点で、翌週(5日から10日)には300人程度の感染者が出ててもおかしくない予想をした。来週には更に増えるであろう。*1

そこで、移動量と経済再開と新型コロナウィルス感染症の問題。単純に移動を制限するのではなく、ドイツのように移動量と感染の相関を断ち切るべきだというのが@ma_pressさんのご主張だと理解している。そして、そのためには検査を徹底すべきだと。当然、接触確認アプリ利用を感染リスクが高いと想われる地域の人々には義務化するとか、リモートワークを増やすなどの方策は考えられるだろう。経済クラスターはすでに新しい生活様式ガイドラインを業別に作成してる。ここがあまり知られていないのが不思議。これらのガイドラインこそNHK当たりが特集組んででも広く紹介、徹底すべきではないか?

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https://corona.go.jp/prevention/pdf/guideline.pdf

留意すべきは日本が「ゆるい」から再感染拡大がはじまったという認識より、ドイツを例外とした世界的な傾向だと捉えるべき。戦時体制にあると言えるイスラエルですら感染者は広がっている。経済再開すれば当然の動きなのだ。また、「新型」とは言えコロナウイルスコロナウイルス。夏風邪を引く一定人数は珍しいことではない。

一旦、押さえ込んだと思われている国のその後の感染状況についてはFinancial Timesのグラフ機能でも確かめた。ドイツの「次の波」対策のなにが特徴かは調べている。プール検査なども活用しているのだろうか?

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もっとさらに大前提から言えば、日本は世界一の人口自然減少大国。年間40万人以上年間130万人以上が亡くなっている。千人単位の死亡は珍しいことではないように見える*2。医療の方に教えていただきたいのは、例年数十万人の死に日常的に対応しているのに、なぜ千人単位の死で医療崩壊してしまうのだろうか?指定感染症だからか?社会的パニック状態だからか?院内感染が社会的に非難されるからか?*3

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https://docs.google.com/spreadsheets/d/18i55DFTVPFxiqM2JToLdrtzdHEtJYoqy3GZ8xScyMx4/edit?usp=sharing

一般の方々ももっと恐れるべき死亡原因があることを認識すべきだと私には思える。コロナの最中であるが突然の死を迎えた若い知人もいるし、長寿を全うした方々の訃報も毎日のように来る。久しぶりに会った知人が癌の手術を受けたと聞いて衝撃も受けた。日本の死因の1位から5位を厚労省が公開している。ちなみに、死亡率とは人口十万人当たりの死者数。新型コロナウィルスよりもはるかに死は一般的だ。

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https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suii09/deth8.html

※ 本ブログにおいて整理した

以前年代別のCovid19死と従来の死の比較をした。驚くべきことにほぼ同じ分布であった。米国のデータだが平均年齢も計算してみた。2年程度の差でしかなかった。

スウェーデンの状況をまとめたエントリーでも、かなり詳細にCovid19死と従来の死の比較を行い、大きな変化ではないことを証明しているように私には読める。

Guest Blogger @HaraldofW – All you ever wanted to know about Corona Swedensoftwaredevelopmentperestroika.wordpress.com

不謹慎だと想ってずっとエントリーには書かなかったが少数の例外を除いて、高齢者の余命をほんの数年、しかも既往症等に悩まされている人々が多い100%のQoLではない余命を伸ばすために、多くの若者の職場や、学びの機会、職業訓練、あるいは子供を産み育てる機会を奪っていいのだろうか?長期の休校により精神的にダメージを受け、学校に通えなくなった子供達も存在する。更には、「自粛」により筋力が衰え、健康を失い、痴呆、介護度が進んだ高齢者もいる。一体なんのための自粛なのか?

最悪なことに、私の見える景色からすると経済における企業の大量死時代が足跡をたてて近づいてきている。リーマンショック以上の大量倒産、大量失業がそこまで来ている。ニュースで出てきているのは氷山の一角ですらない。経済を建て直さなければ、多くの人が死ぬ。経済苦で死ぬ。子供は教育の機会を失う。最悪親の道連れで殺される。貧困も広がるだろう。政府はこれ以上対策を打つ財政的余裕はない。私が財務省であっても二百兆円の対策予算を立てて半年以内でまた百兆円の追加予算は組まない。移動量と感染のデカップリング以外道はないだろう。

2020年7月10日16時現在、新型コロナウイルスの影響を受けた倒産(法的整理または事業停止、負債1000万円未満・個人事業者含む)は、全国に332件<法的整理256件(破産227件、民事再生法29件)、事業停止76件>確認されている(原則として事業停止の事業者は自己破産申請の準備に入っている)。

 負債総額は、2173億2200万円(調査中を除く325件の合計)で、5億円未満が255件(構成比78.5%)を占め、中小零細事業者が中心。一方、100億円以上の大型倒産は3件(同0.9%)にとどまっている。

「新型コロナウイルス関連倒産」は332件 ~福岡県で10件に達する~(帝国データバンク) - Yahoo!ニュース

更に企業の大量死に医療機関が加わってくるだろうというのが笑えない現実。医療機関の赤字幅は想像を超える金額。新型コロナウィルスを怖がるがあまり、経済的な要因で医療崩壊が起こるのでは本末転倒以外のなにものでもない。更に言えば、マスコミ等が新型コロナウィルスの恐怖を煽るがあまり現実に目の前の死につながりかねない病気の診療を受けずに死ぬという誠にばかげた超過死が生じているのが現実ではないだろうか?

コロナを正しく恐れる、経済活動の再開と感染リスクのリンクを断ち切る、ここにぜひ政府から多くの死のリスクを抱えた方々は注力すべきでは?また、感染予防、デカップリングの努力から新たな産業が生まれることを期待したい。


■追記

医療クラスターは、医療に対する政府の無能さ、リソースの配分に大変お怒りなので、優先して対策すべきではないだろうか?医療業界の方々には「ここまでやったらRtを減らせる。ここまでだったら経済再開と医療的な配慮の両立ができる」というガイドラインをぜひお示しいただきたい。前述の通り、産業界的にはガイドラインを示している。これが不満であるなら、どこをどうすべきなのか逆に示していただきたい。経済がまわらなければ、健康保険も払えない。ほとんどの健康保険は産業別組合からだとご存じのはず。まして、大方の病院が患者を怖がらせ過ぎて大赤字となり、来年の存続すら危ぶまれている今、どうしたら新型コロナウィルスと病院経営が両立すべきか具体的に提言しないとご自身の職場がなくなるとよくおわかりだと想うのだが・・・。

もう私は神経をやられてしまったのかも知れない。妄想しか浮かばない。

*1:なお、断続的に東京都の年代別構成比を見ているが若年人口がほとんどとの傾向は変わっていない。陽性者の数を東京都が公開するなら症状の有無や、もっと言えば現在の他の感染症の状況についても同時に公表すべきだと私は想っている。

*2:なにを血迷ったか、人口の減少数と死亡数を混同していた。https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai18/index.html:embedef:id:hihi01:20200715055118p:plain

*3:ツイッターでご指摘をいただいている。

マルチレベル選択とジェイン・ジェイコブズ

池田先生と先日社会進化論(Social Darwinism)について議論させていただいた。先日の自民党の「進化論」をめぐる話しからだあった。

リベラルな方々が主張の正当性を求める社会科学は進化論のかなりの軸足を置いているように私には思えた。社会科学系統の方々と話しをすると「進歩と進化は違う。前者には意思があり、後者は集団レベルの自然選択だ」と。マット・リドレーも「スカイフック」という常に更なる高みを想定する「進歩」と進化の違いを詳しく論じていた。

hpo.hatenablog.com

素直に池田先生に勧められた本を読んでみることにした。

半分くらい読み進んで「マルチレベル選択」の話しが出てきた。Wikipediaから引用する。

マルチレベル選択
哲学者エリオット・ソーバーと生物学者デイビッド・スローン・ウィルソンは群選択説を再評価し、それを拡張したマルチレベル選択説(多レベル淘汰)を提唱した。彼らはある形質に注目したとき、その形質が影響を及ぼす個体群を形質集団(Trait Groups)と定義した。(中略)形質集団は地域個体群全てを含む場合もあるし、家族などの小集団の場合もある。一つの個体が複数の形質集団に含まれていると考えられる。つまり、形質集団選択によれば、自然選択は遺伝子や個体だけでなく、家族のような集団といった様々なレベルで働いていると解釈できる。彼らによれば血縁選択集団や互恵的利他行動を行う集団は形質集団であり、マルチレベル選択の一種に過ぎない。

群選択 - Wikipedia

マルチレベル選択による利他行動、道徳的行動を以下にように説明している。

私は世界各地で行ってきた講演で、小学生から進学者や哲学教授に至るまで、専門知識のレベルが異なるさまざまな人々を相手にこの(道徳的な人間の特質の連想)ゲームをしてきた。それに対する答えは非常に一貫していた(以下略)

ここで上げられた言葉を表にする。

道徳的に完全な人間 正反対の人間
愛情深い 貪欲
誠実 残忍
勇敢 利己的
寛大 人を騙そうとする
自己本位でない 人を操る
忠実 思いやりに欠ける

これらのリストはジェイン・ジェイコブズの「統治の倫理、市場の倫理」を私に思い起こさせる。

hpo.hatenablog.com

統治の倫理 市場の倫理
・取引を避けよ ・暴力をしめだせ
・勇敢であれ ・自発的に合意せよ
・規律遵守 ・正直たれ
・伝統堅持 ・他人や外国人とも気やすく協力せよ
・位階尊重 ・競争せよ
・忠実たれ ・契約尊重
・復讐せよ ・創意工夫の発揮
・目的のためには欺け ・新奇・発明を取り入れよ
・余暇を豊かに使え ・効率を高めよ
・見栄を張れ ・快適と便利さの向上
・気前よく施せ ・目的のために異説を唱えよ
・排他的であれ ・生産的目的に投資せよ
・剛毅たれ ・勤勉なれ
・運命甘受 ・節倹たれ
・名誉を尊べ ・楽観せよ

マルチレベル選択説的に言えば、「市場の倫理」とは「形質集団」であり、集団を結束させ全体として力を発揮させるための規範であると位置づけられる。そして、集団内を越えて群と群とで淘汰圧と常に「闘い」続けなければならない「レベル」では、「統治の倫理」となると。まさに、一般的に理解される「(群としての)生存競争」となると。

更に言えば、ジェイコブズが「市場の倫理」と「統治の倫理」の混同、混合が生じるところに「腐敗」が生まれるという指摘は、「進化」、「マルチレベル選択」と同様違うレベル、レイヤーでは行動原理が全く異なることになることを予見している。群間の「生存競争」において血縁集団内の「道徳」を適用すれば忽ち絶滅してしまうだろう。生物学的原理を社会、政治に応用するというのがウィルソンの主張かと思われるがどうなのだろうか?

まだ、半分なので最後まで読んで見直したい。

Covid19の米国における大規模症例分析(個人的メモ)

しばらく前に米国の132万件もの大規模な症例をまとめた論文があることを教えていただいた。ツイッターすごい!

www.cdc.gov

とりあえず、一番私にとって重要と思われる各年代別の死亡率の表を日本語でまとめなおした。

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Coronavirus Disease 2019 Case Surveillance 20200701 - Google スプレッドシート

私が注目したのは、132万人中で基礎疾患がないことが判明している8万8千人。この中では1.6%しか亡くなっていない。30代以下だと0.1%、40代で0.4%、50代で0.9%だ。表中で黄色で色を塗った。こうした傾向は目新しいものではないが、米国の百万を越える分析でこうした結果が出たこと、この結果を確実に多くの人が把握することが大事。ちなみに、死亡者が3.8万人と1,432人では少なすぎると思ってよくよく論文を読むと、基礎疾患のあるなしが判明した症例だけを分析した模様。あとで分析するために、同じスプレッドシートに「表3」全体を数字に置き換えたシートを作ってある。

以前「は」掲載されていた東洋経済の年代別の死亡数と比べると、大体同じ傾向かなと。高齢者が新型コロナウィルスに弱いという傾向は日米で変わらない。

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新型コロナウイルス 国内感染の状況

機械翻訳と原文を照らしあわせながらざっと読んだ。印象に残った部分のツイット。

「根本的な健康状態に関する十分なデータがある287,320(22%)の症例の中で、最も一般的なのは心血管疾患(32%)、糖尿病(30%)、慢性肺疾患(18%)でした。」
「全体で、184,673人(14%)の患者が入院し、29,837人(2%)が集中治療室(ICU)に入院し、71,116人(5%)が亡くなりました。基礎疾患が報告されている患者(45.4%)の入院は、基礎疾患が報告されていない患者(7.6%)よりも6倍高かった。」
「基礎疾患が報告されている患者(19.5%)の死亡は、基礎疾患が報告されていない患者(1.6%)と比較して12倍高かった。」
「報告のうち、それぞれ、年齢では1%未満、性別では1%、人種または民族では55%のデータが欠落していました。」
「全体で、184,673人(14%)の患者が入院し、そのうちの29,837人(2%)がICUに入院しました。71,116(5%)の患者が死亡した」
「症状データが提出されたときに、無症候性であると報告された人は5%未満でした。症状のない人はCOVID-19の検査を受ける可能性が低いかもしれません。なぜなら、最初のガイダンスは症状のある人だけの検査を推奨し、病院ベースだったからです。」
「分析対象の症例、1,320,488人のうち71,116人(5.4%)がなくなった。更に対象の既往症のある198,879人のうち38,812人(19.5%)がなくなった。更に、既往症のない88,441人のうち1,431人(1.6%)がなくなった」
読み飛ばしてしまったが、PCR陽性者を感染者として定義して扱っているのが本論文。前述のよう無症状者は5%。かといって、入院した陽性者は132万人のうち14%だと。ウィズコロナというのはこういう状態なのだろうなと。

正しいデータを得て、正しく認識して、正しく恐れることしか、Covid19と付き合いながら生きていけるだけの糧を得ることを両立しえないのだと改めて想う。都議のおじま氏のツイッターにおけるこの議論はその一端を伝えてくれている。

togetter.com

Covid-19 PCR陽性者の年代別分析、インフルエンザとの比較、結局は接触アプリ!(個人的メモ)

東京都の感染者が100名を越えたとのことで、驚いている。正直、せめてもう少し先だと想っていた。

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https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200702/k10012492591000.html

ここのところ、不定期に東京都の感染者のリストをcsvで落として分析している。arrayformula、queryなどの関数を使うと素晴らしく簡単にできてしまう。

catalog.data.metro.tokyo.lg.jp

docs.google.com

hpo.hatenablog.com

昨晩に作成した7月1日発表までの症例を年代別、月別にしたグラフだ。東京都の症例リストを見ると、7月1日発表の67人の内、60代以上は「60代」の2名しか見当たらない。確実に5月までと現在の症例数の増加の中身は違う。リスクの多い高齢者に関して言えば、同じ一日百人超の感染者とはいえ、5月まで高齢者比率が半分近くであったことを想えば、感染拡大は10倍管理できていると表現することはできる。

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とはいえ、坂本先生がおっしゃっているようにこの状況で約二週間前の感染なので本当に気をつけなければならないのは事実。現在進行形で、指数関数的に若い世代で感染が広がっているのだとすると次は高齢者、重篤化因子保持者に広がりかねない。

一方、企業倒産の件数と規模も増加傾向にある。景気の見通しも相当に悪化している。不動産、資産価格にそろそろ影響しかねない程私の見聞きする経済状況は悪化してきている。

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倒産速報 | 株式会社 帝国データバンク[TDB]

www3.nhk.or.jp

経済再開に向けて早く緊急事態宣言、自粛解除を訴えていた私としてはどう感染症とコロナのバランスを取ったらいいのか、悩ましい。ただ、強いて言うならインフルエンザとの比較は有効だとは考える。19-20年のインフルエンザの「シーズン」においても、1.3万人もの入院者が出ていたと。ICUに担ぎこまれたケースも600を越えたのだそうだ。

また、米国の大規模の症例の分析も出てきた。申し訳ないがグラフの一部を切り取った。既往症のない60才未満にとってインフルエンザより恐れるべき病気なのだろうか?とも正直想っている。

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https://t.co/9N5rnw0U5g?amp=1

繰り返すが、まだ今後の推移から目が離せないという以上のことは私には言えない。引き続き注視していきたい。


■追記

エントリーを公開した直後に拝読した。接触アプリ!みんなで入れよう!これこそが経済と医療のバランスを取る道!

www.mhlw.go.jp

「移動」(mobility)と感染(個人的メモ)

自ら「グラフ職人」とおっしゃるほどすばらしい分析をされているbirdtakaさんの一連のツイットを拝見した。見事に分析されていらっしゃる。特に目を引いたのがこちらのグラフ。東京都内の「移動」(mobility)とRtの相関が示されている。

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https://twitter.com/birdtaka/status/1277389491729084416

私も再現すべくやってみた。GoogleのMobility Report(42MBもあった!)をダウンロードして、Tokyoの部分を抜き出した。職場、住居、ショッピングなどカテゴリーがあるがbirdtakaさんに習って、「交通」(駅など)とRtを重ねて見た。3日平均した発表日ベース新規感染者のデータを1週間間隔の倍加日数計算させてRtに換算し、更にRtの7日移動平均を掛けているので、相当に遅いはず。だが、出てきたグラフは「移動」と割と重なる。*1

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https://docs.google.com/spreadsheets/d/1Ue0UstHIO5cXMFDa_HdNXGbMJWEU5AEnQmeq-KYTdKA/edit?usp=sharing

両者の相関も取ってみた。R^2=0.52と時系列データとしてはまあまあかなと。そもそも、時系列データを折りたたんで相関係数を取ること自体統計的には無理はある。

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ただ、birdtakaさんほど相関関係が強い時系列グラフにならなかったのお聞きしてみた。

私のは移動平均だったのでばらつきが大きく、birdtakaさんと同様の形にならなかった。一週間平均のグラフも作ってスムージングしてみるとかなり近いグラフはできた。同じデータなのだが、かなり印象は違う。

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私が再現の努力をしようとした理由は、3月の欧州株の流入の影響がbirdtakaさんのグラフからは読み取れなかったことと、最近の感染でもこの相関関係が強いのかというところだった。スムージングすると埋もれてしまう3月のRtの上昇が私には意味が大きいように想う。3月の移動はそのままでRtが減っている時期がちょうど中国株の収束の辺りだったはず。

3月末から4月に掛けてのRtの山があるのだがこれは志村けんさんショックなどによる自粛が広がる時期に上昇しているように見える。その後はかなり移動とRt両方が低下傾向になる。最近の新規感染者が減った中からのRt上昇については、移動が30%程度大幅に増えているのに対し、Rtは1.0前半でまだ推移しているように見える。


*2

今後も余談は許されないが、同じく東京都の感染者の年齢別の構成比を見ると60代以降はぐっと減っている。今度は移動とRt、新規感染者数のデカップリングとなるのではないかとまだ期待はしてもよいのかなと。


*3

birdtakaさんのおかげでこのエントリーが書けた。深く感謝します!


■追記、というか出すべきだった結論

よくよく考えてみると、私のRtの計算の仕方だと感染日から平均で一週間程度経って報告日が来、更に移動平均を二回取っているので、最低でも二週間程度「遅れ」が生じることになる。4月以降私のグラフでも「移動」とRtが重なっていることが不思議なこととなる。ではと、報告日から単純に日を戻して重ねようとしたが、グラフは重ならず、相関係数もどんどん減っていって0に近くなってしまった。

実は、Rt以外に毎日の公表ベースの新規感染者数とのグラフを作った。これだとなんとトレンドが反対となってしまった。左縦軸のTransit(移動)は正負をマイナスにしていることに留意されたい。

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ちょっとこれは仮説に過ぎないのだが、もしかすると因果が逆なのかもしれない。日々公表される新規感染者の数がアラートになって移動量が変化しているということにはならないだろうか?そうでもないと、感染日でなく公表日との相関が高いこと、新規感染者の数はむしろネガティブ(マイナスの相関)の関係になっていることが説明できないように想う。ただし、グラフの右端、6月の終わりに近づいてグラフの間隔が近づいていることは注意すべきだろう。これは移動量に比例して感染者数が増えていることを示している。それでも、このグラフで見る限り、比例であって指数関数的な関係にはいまのところは見えない。これは、院内感染、施設内感染、ましてやクラスターからのクラスターが発生していないことを示すのではないだろうか?

*1:北大のボランティアの方の先行研究があったので日数を変化させて相関係数を計算することにトライしてみた。よく見ると相関していても、フィットさせて方程式では負の相関っぽい。うーん。f:id:hihi01:20200630130322p:plain

*2:mobileから確認すると画像が見えなかったので、代替にこちらに。f:id:hihi01:20200630131701p:plain

*3:同様にこちらに。f:id:hihi01:20200630131747p:plain

社会科学と進化論

浅薄な知識ながら進化論を批判の対象にすることに違和感がありいくつかツイートした。「革新」と言われた政治的諸派はなんらかの形で社会主義的活動に軸足を置いていて、そして19世紀以来の多くの社会科学はダーウィンの影響を受けているだろうと。

しかし、「⽇本⼈間⾏動進化学会」からコメントが発表されてしまった。この会⻑の⻑⾕川眞理⼦先生は、マット・リドレーの翻訳者の方だ。

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https://www.hbesj.org/wp/wp-content/uploads/2020/06/HBES-J_announcement_20200627.pdf

「第1感」的に言えば、そもそもダーウィニズムの影響で優生学を広めたのは左派だったのではないかという知見だった。当然、この知見は⻑⾕川眞理⼦先生の翻訳から知った。

hpo.hatenablog.com

ツイッターで議論させていただいている中で、改めて認識したのは、社会主義マルクスのテーゼは社会の成長がゼロか、ゼロに近いところに留まることが前提となっていることだ。

エンゲルスの基本的な認識は、現在のパンデミックではないが人口は幾何級数的に増加するが食料生産は線形にして増加しないという見解だった。この人間社会の生産手段、インフラストラクチャに内在する矛盾により王制から始まって、絶対王権制から資本主義が生まれ、「淘汰」され、共産主義社会に「進化(進歩)」するというのがマルクスの展望のひとつであったと。しかし、資本主義の中で多くのイノベーションが生まれ、マネジメント手法が高度に進化し、毎年数パーセント程度の成長を続けてきた。毎年数パーセントということは、幾何級数的成長を19世紀以降人類は達成してしまったということだ。

ただ、いずれにせよ進化論のアナロジーは人間社会に大きなインパクトを持って受け止められてきたのは事実。⻑⾕川眞理⼦先生のご意見に反対することなど私にはできないが、今後の社会的な展開において「突然変異(種の変容)」「淘汰」という概念は前向きに受け止めるべきだとは考える。

この方のおっしゃる通り。