HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

TENET ≒ 12Monkeys 仮説(思いっきりネタバレあり)

昨日観てからTENETのことが頭から離れない。観終わったときには「?」が私の頭の上に飛んでいた。「?」をなんとかしようと、関連するいくつもの作品を観た。結論から言えば、"12 Monkeys"にヒントを得て本作を作成したのだと考える。元から時間の順行、逆行を映画のテーマにしてきたクリストファー・ノーラン監督にすればなにも不思議ではない。

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そして、ウェブで調べて読んだブログに"La Jetée"との関連性が指摘されていた。これはいわずもがなの未来から送り込まれる人物についての映画であり、冒頭から自分自身の死を目撃する少年というループが仕組まれている。

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"La Jetée"?あれ、これはと?思い出したのは"12 Monkeys"(以下、12と略する)。科学者たちにブルース・ウィルス扮するジェームズ・コールが送り込まれ、キャサリン・ライリーという女性精神科医と世界破滅の謎を解いていく映画。

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見ると、TENETと12で共通するキーワードがたくさん。

  • 破滅的な未来から過去改変のために人(もの)が送り込まれる
  • 過去にそれらを送り込む未来の科学者たちの存在
  • 12のキャサリーンとTENETのキャット(キャサリンの愛称)
  • 電話の伝言による未来との「通信」

なによりも"La Jetée"でも、12でも、少年が自分の未来と邂逅するという展開がニールによって暗喩されている。

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TENETのラストで、キャットとprotagonistのこの先を描いてほしいと切に願っていたのだが、なんのことはない、十二分に描かれていたのだと。NeilとはMaximilienの最後の4文字を逆さにした名前だと。感涙!

さて、それでも私の中で回収されていないネタがいくつかある。これから何度か映画館に足を運んでよくよく考えたい。

  • TENET側へヒントとなる壁や、銃弾を送ったのは誰?自殺した科学者?
  • セイトーが未来から金を受け取っているように見える。どうやって?過去から未来へとメッセージを送ることはまだ理解できるとは言え、なぜ未来から過去へ?秘密都市で爆発事故を起こしたプルトニウム241のカプセルにすでに指示があった???
  • プルトニウム241」だと思って運んでいた勢力は誰?セイトー側ではなく、TENET側でもなく、プリヤ側でもない?国家的な勢力だとすれば、なぜあきらかに放射性物質でないものを「プルトニウム241」だとして運ぶのか?
  • ヴェトナムという明らかにオペラハウスよりも前でセイターが死んでいるとすれば、時間軸が改変されてないかと?protagonistの時間軸、主観がすべてでよいのか?されに言えば、ほとんどの場合先先の時間を読み取って行動していたセイトーがなぜ最後の最後でキャットに気を許したのか?
  • どうしても最後のTENET作戦、ブルーとレッドの戦闘が解せない。セイターの「軍団」との戦闘なので、両軍ともに順行チーム、逆行チームがあるのはわかるのだが?うーん?
  • 秘密都市に埋められようとする「アルゴリズム」がどの時点で作動不可能になったのか、どうもわからない。主観時間とはいえキャットがセイトーを殺す方が先に見えない?

今日はとにかくマックスとprotagonist、そしてキャットの関係性が理解できてもうもうもう感動。

TENET (多少のネタバレ)

見てきた。もうアクション、サウンド、道具だて、申し分なかった。IMAXで見たので迫力満点でストレス解消まくり!

まあ、でも、映画の中の時間の描き方に認識がついていかない。「考えるな、感じろ」と言われても、認知的不協和が止まらない。

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映画の中で、通常の時間の流れと逆行する時間の両方が描かれる。というか、混在している。見終わった後、帰る途中ですれ違う方々が通常の時間の流れなのか、逆行している時間の流れなのか錯覚しそうになった。

混乱したままウェブで検索して出てきたのはこのサイト。事前にこれくらいは見てから行くのが良いのかも。

theriver.jp

とくに、このラテン語の回文はすごい!欧米のインテリはこれを知ってて映画を見るのだろうか?

SATOR
AREPO
TENET
OPERA
ROTAS

にしても、まだまだ頭の中は「?」だらけ。たぶん、もう二、三回は見ないと納得行かない!

まんがでわかるカミュ「ペスト」

以前からカミュの「ペスト」がコロナ禍で話題になっているのは知っていたが、難解だろうと「食わず嫌い」をしていた。最近、また本屋に足を運ぶようになり見つけたのが本書。

まんがでわかるカミュ『ペスト』

まんがでわかるカミュ『ペスト』

  • 発売日: 2020/07/28
  • メディア: 単行本

とっても反省した。

感染症の大流行が起こったときに支配的になる恐怖、絶望、強権、狂信、利害などを見事に描いていることが伝わった。「感染症と戦う唯一の武器、それが誠実さ」というセリフにはしびれた。私は全く人のことは言えないが、今回の新型コロナウイルスの蔓延で人は恐怖や、怒り、欲望の前では冷静な判断はもちろん本来の自分の力を全く発揮できなくなるのだと知った。仏教の貪瞋痴を離れよという教えは、いついかなる時代においても真実であると。人の心はあまりに脆い。恐怖の前では、寛容さを忘れてしまう。中でもこれだけ子供たちの人権が侵害されているにも関わらず、「人権は普遍的だ」と主張する方々、あるいはユニセフなどからのアクションがないのが私には理解できない。じゃあ、お前はと言われるだろうから予め明記しておけば、小さな金額だが、私はこの前後で学校等子供の学ぶ機会を増やすためになにがしかの寄付を起こっている。これからもしていくつもりだ。

まんがなので完全には伝われないが、ペストによってこの街に分断が生まれたことが描かれる。まさにこれが今後起こることなのだろうと考える。検査シーヤ派、スンナ派など日本語のツイッター界隈等でも議論はかまびすしい。感染者に対する非難、不寛容さが発揮されている。ましてや、米国や欧州、アジアにおいても新型コロナウイルス禍がきっかけとなったデモ活動、抗議活動が続いている。ああ、日本の航空機におけるマスク着用の議論もあった。

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新型コロナウイルス騒動により経済的な問題や、自粛による健康問題が生じ、大変なことになるなとは予測していたが、まさか感染者が日本においてこれだけ迫害される状況になるとは考えてもみなかった。

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「私達の社会は死刑によって支えられている」などもっと「ペスト」から汲み取るべき学びはたくさんある。機会があれば、原作にも挑戦したい。そうそう、中学の頃に十分に理解できなかった「異邦人」も。

異邦人 (新潮文庫)

異邦人 (新潮文庫)

  • 作者:カミュ
  • 発売日: 1963/07/02
  • メディア: 文庫

「ファクトフルネス」が指摘するデータに基づいた冷静な判断の重要性

以前から周囲に統計は大事だ、統計は勉強しておこう、判断の基本には数字をベースにしようと呼びかけてきた。しかし、ここまで徹底しては考えていなかった。

もう解説は行き届いているのだと思うので、一般論は書かない。今のコロナ騒動の中で注目したのは2014年の西アフリカでのエボラの現場の話しだ。作者は医師であ、しかも感染症対策の最前線で医療にあたっていたらっしゃった。

世界保健機関(WHO)とアメリカ疾病予防管理センター(CDC)が公表していた「感染の疑いのある人」のグラフは、かなりあやふやな数字が基になっていた。「感染の疑い」とは感染が確認されていないということだ。元データはとにかく問題が多かった。たとえば、ある時点でエボラの疑いありとされ、結局エボラ以外の病気で亡くなっていたことがわかってもまだ、「感染の疑いのある人」として数えられていた。エボラへの恐怖が増すにつれ、誰もが疑わしく見えてきて、「感染の疑いのある人」の数もますます増えた。エボラへの対処が忙しくなると、日常的な医療はおろそかになり、普通の病気の治療が追い付かず、エボラ以外の原因で亡くなる人がどんどん増えていった。

(中略)進捗を測れなければ、自分たちの対策が効いているのかどうかわからない。だからわたしは、リベリアの厚生省に着くとすぐに、感染が確認された人の数を聞き出して、全体像をつかもうとした。血液サンプルは別々の4つの研究室に送られていて、それぞれの研究室の記録はエクセルに乱雑に打ち込まれていた。しかし、まだ4カ所の数字は集計されていないことが、その日のうちにわかった。その頃、リベリアには数百人もの医療関係者が世界中から集まり、ソフトウェアの開発者は役にも立たないエボラアプリを開発し続けていた(開発者はアプリという「トンカチ」で、エボラという「くぎ」を必死に叩こうとしていた)。しかし、そうした対策が効いているかどうかを測っている人はいなかった。許可を得たあとで、ストックホルムにいるオーラに4つのエクセルの表を送った。オーラはその表を整理して、手作業で集計した。そこで奇妙なことを発見したオーラは、もう一度同じ手順を繰り返して間違いがないかを確かめた。オーラは間違っていなかった。危機が差し迫っていると感じたら、最初にやるべきなのはオオカミが来たと叫ぶことではなく、データを整理することだ。

誰もが驚いたことに、集計されたデータを見ると、感染が確認された人の数は2週間前にピークを打ち、それ以降は減っていた。逆に、感染の疑いのある人の数は増えていた。一方、現場ではリベリアの人たちの習慣を変えることに成功し、人々は必要のない接触を避けるようになっていた。握手もハグもしなくなっていたのだ。生活習慣の変化に加えて、店舗、公共の建物、救急車、病院、葬儀場、それ以外のあらゆる場所で衛生管理を徹底したことの効き目が出始めていた。対策は効いていた。でも、オーラがその表を送ってくれるまで、誰もそれに気づいていなかった。わたくしたちは明るいニュースに喜び、仕事に戻った。対策が功を奏していることを知って、ますますがんばろうと背中を押されたのだ。

少少長いが、まさに今の現状と重なるので引用させていただいた。過剰に恐れるのではなく、正しく恐れることが肝要なのだと。マスメディアとウェブの発達した今だからこそ起こるインフォデミクス、感染症怖さで検査シーヤ派絶対主義と化し過剰な検査を行って起こるケースでミックスは今回の新型コロナがデビューではないと。

2009年には、豚インフルエンザが流行した。その年の最初の数カ月だけで、何千人もの人が亡くなった。どのメディアも2週間にわたって、豚インフルエンザを報じ続けた。しかし、2014年のエボラ出血熱と違い、豚インフルエンザの感染者は倍増しなかった。それどころか、感染者のグラフは直線にすらならなかった。感染情報が初めて報じられたときは、とても危険であるかのように思われたが、データを見ればそうではないことは自明だった。

にもかかわらず、メディアは数週間にわたって危機感を煽り続けた。呆れ果てたわたしは、データを見てみることにした。報道される回数に比べ、実際の死亡者数はどうなっているか。まず、ある2週間のあいだに、3人が豚インフルエンザで亡くなった。一方、グーグルで関連ニュースを索してみると、同じ期間で5万3442件の記事がヒットした。ひとつの死につき、8176件の記事が書かれたことになる。

さらにわたしは、同じ2週間のあいだに、結核で亡くなった人も計算した。結果は約6万3066人。このうちのほとんどはレベル1と2の国の人だった。近年、結核は治る病気になったが、レベル1や2の国ではいまだに死亡する人が多い。豚インフルエンザと同じく、結核感染症であり、細菌が薬への耐性を持てば、レベル4の国でも多くの人が亡くなるだろう。にもかかわらず、結核の死亡者ひとりに対して、ニュース記事はその10分の1しか書かれていない。つまり、豚インフルエンザによる死は、同じくらい悲惨な結核による死に比べて、8万2000倍の注目を浴びていた。

正しく恐れるためには、謙虚にデータを向き合うことだと改めて。

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ネタバレは避けたいが、作者のハンス・ロリング氏は身をもってこの大切さを示してくださった。遺志をつぐオーラさんとアンナさん、そしてギャップマインダー財団を心から応援した。

www.gapminder.org

引用ばかりのエントリーで申し訳ない。あとでもう少し整理したい。

PSYCHO-PASS season 2,3 (ネタバレあり)

Season 1があまりにすばらしかったので、期待値は高かった。見ている最中は楽しめたのだが、終わってみるとSeason 1の問題意識を必ずしも展開できていないのではないだろうか?

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まずは、復習から。この世界観にまずしびれる。

物語の開始は西暦2112年。作中での世界は2020年頃から始まった新自由主義経済の歪みによる貧富の差の拡大から、世界的な倫理道徳感の崩壊を招き、紛争・犯罪の激化による政情不安のため政府や国の崩壊が起こったという設定になっている。この間、メタンハイドレート開発によるエネルギー自給と、遺伝子強化された小麦・ハイパーオーツの普及による食糧の自給の道を見出した日本は[71][8]、海外の紛争の余波を食い止めるため、シビュラシステムによる判断とされる鎖国を開始し、他国からの違法入国を水際で防ぐために国境や周辺海域に武装ドローンを配備し、世界で唯一と言える平和な国となっている[8]。そして国をあげて食料自給に力を注ぎ、国内経済の立て直しを図り、企業の国営化と大量の失業者支援のための「職業適性考査」を行う。この「職業適性考査」がやがて発展し、シビュラシステムへの開発とつながり、さらなる進化と試行期間を経て、2070年頃には社会システムの隅々までを包括的に管理するために本格的に社会へ導入された。この頃には食料自給も確立。経済成長と社会安定に成功し、世界で唯一の法治国家としての体裁を成すに至った[71]。

PSYCHO-PASS - Wikipedia

そして、物語の中核をなすののはこの日本の繁栄の基となっているシビュラシステムの是非だと私は受け止めている。

シビュラシステム
物語開始の30年ほど前に導入された[102]、サイマティックスキャンによって計測した生体力場から市民の精神状態を科学的に分析し、そこから得られるデータをサイコパスとして数値化したあと、導かれた深層心理から職業適性や欲求実現のための手段などを提供する、包括的生涯福祉支援システム。この時代の厚生省が管轄しており、運用理念は「成しうる者が為すべきを為す。これこそシビュラが人類にもたらした恩寵である。」システムは常時サイコパスや職業適性の判定など、膨大なタスクを行っている。多くの市民には肯定的に受け入れられているが[101][13]、不満を抱いてシステムの打倒を目指し、レジスタンスとして反社会活動を行う者も現れている[52]。

PSYCHO-PASS - Wikipedia

「健康健全であること」が国民の義務となるという意味では伊藤計劃の「ハーモニー」に通ずるのかもしれない。

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ハーモニー

ハーモニー

  • 発売日: 2017/04/22
  • メディア: Prime Video

Season 1で私に突き刺さったのは、最もよくシステムに反抗するものが最もよくシステムの改善、維持を行いうるという見解だ。

少なくともシーズン1のストーリーは私が「悲しきフーガ」と読んでいる70年代(多分)のSF作品の影響を受けている。私が思い出して書いたプロットがつい2年前のものなので実証性はないが、同様の社会、同様の社会を安定させる「公安」の体制を描いている。

PSYCHO-PASS season 1 - HPO機密日誌

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槙島聖護や、常守朱のような最も痛烈に体制を批判し、解体を求める人物を受け入れる「システム」こそが反脆弱性を持ち、常に自らを更新しうる。しかし、Season 2は「集合体としての人格」、Season 3は「企業複合体と体制」の問題を扱っている。これは、体制と国民という関係性の上で議論されるべき問題ではあるが、非公式で暗く、曖昧な部分を残さざるをえない柔軟性とは違う問題であるように思える。特に、Season 2でシビュラシステム自体が自分たちの構成員の内の犯罪者を粛清するシーンは明らかにSeason 1のテーゼと矛盾するように思える。更に、Season 3において民間セクターを含む複合経済体であるビフロストが解体され、シビュラの管轄に置かれてしまう。「国」の執行体としてのシビュラは柔軟性を持った永続性がなければならない。だからこそ、常に犯罪者すらも自らに取り込まなければ柔軟性が失われる。しかし、集合体としての個人も、複合体としての企業も、死や解散、倒産等のリスクにさらされ常に新陳代謝を繰り返すからこそ生き生きとして生きていける。競争力が維持できる。

べき分布のグラフを見ていると運命論的に、強いもの大きいものの「winner takes all」な状況は固体化されてしまっているように感じるが実は違う。常に小さきものの中から独自性をもった大きなものへの運動が起こり続け、強いもの大きいもの少ないものが倒されていく中で均衡をとっている。倒されるときにサイバーカスケードが起こる。それは、あたかも、極小から極大へ向かい、極大の中に次の極小がの種が埋め込まれている大極のごとくだ。

小さきもの、弱きものへの慈悲 - HPO機密日誌

1から3の物語においてまさに対極の白と黒になにを当てはめるべきなのか。1ではシビュラと槙島聖護、シビュラと常守朱か。2ではシビュラと鹿矛囲桐斗、鹿矛囲桐斗と常守朱。3ではシビュラとビフロスト、あといくつかのペアがありそうだ。

国家と個人との倫理の違いはジェイン・ジェイコブズマルチレベル選択の問題で語り尽くされているように私には思える。

道徳的に完全な人間 正反対の人間
愛情深い 貪欲
誠実 残忍
勇敢 利己的
寛大 人を騙そうとする
自己本位でない 人を操る
忠実 思いやりに欠ける

これらのリストはジェイン・ジェイコブズの「統治の倫理、市場の倫理」を私に思い起こさせる。

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統治の倫理 市場の倫理
・取引を避けよ ・暴力をしめだせ
・勇敢であれ ・自発的に合意せよ
・規律遵守 ・正直たれ
・伝統堅持 ・他人や外国人とも気やすく協力せよ
・位階尊重 ・競争せよ
・忠実たれ ・契約尊重
・復讐せよ ・創意工夫の発揮
・目的のためには欺け ・新奇・発明を取り入れよ
・余暇を豊かに使え ・効率を高めよ
・見栄を張れ ・快適と便利さの向上
・気前よく施せ ・目的のために異説を唱えよ
・排他的であれ ・生産的目的に投資せよ
・剛毅たれ ・勤勉なれ
・運命甘受 ・節倹たれ
・名誉を尊べ ・楽観せよ
マルチレベル選択とジェイン・ジェイコブズ - HPO機密日誌

Bye-bye, Cowboy Bebop...

20世紀の終わり、まだ大容量の接続がなかった頃、Showtimeというサービスがあった(って、いまもあった)。私にとってはリアルの生活と仕事がすさんでで発散する先もなかったころ。か細い回線で、つっかえつっかえながら見たCowboy Bebopにハマった。

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あの頃は、菅野よう子の多彩な音楽とハードボイルドっぽい雰囲気でああいいアニメだなと想っていた。

「俺のなくしちまったかけらなんだ。」 「きれいであぶなくてほっとけないフツーの女よ。」 「死ににいくわけじゃない。おれが本当に生きているか確かめに行くんだ。」

ジェットの走り方 - HPO機密日誌

はまりすぎてDVDまで買ったがそこまでだった。なんの物語であるかの理解が進んでいなかったのだと今なら思える。

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今回、改めてNetflixで見直して最低のアニメだとようやくわかった。ここには、過去しかないのだ。過去にだけ生きている人物たちの物語なのだとよくわかった。最初見た時は、自分自身に過去しかなかったからそこに気づいてなかった。

Cowboy Bebop | Netflix

あんなにハマった物語なのに、あれから人生経験をそれなりに積んだいま、逆に未来がない物語なのだといまは冷静にみえる。その意味では、いま自分は未来を見ていられる姿勢にようやくいられているのだろう。まあ、いまでも、ラストまで見れば涙もでるが・・・。

www.youtube.com

新型コロナウイルス騒動と自殺: 死んじゃダメだ!

自殺の件数が増加していると報道された。自分の過去の言動が反省させられる。

8月、全国で自殺した人は合わせて1849人で、去年の同じ時期より240人以上増えたことが分かりました。国は新型コロナウイルスの感染拡大の影響がないか、分析を進める方針です。

警察庁によりますと、8月全国で自殺した人は速報値で1849人で、去年の同じ時期に比べて246人、率にして15.3%増加しました。

このうち、男性は60人増えて1199人、女性は186人増えて650人となっています。

8月の自殺者 大幅増加で1800人超 コロナ影響か分析へ | 新型コロナウイルス | NHKニュース

想えば、今回の新型コロナウイルス騒動は最初から自殺がつきまとっていた。人は経験したことのない恐怖を感じると、パニックを起こし他人を攻撃する。パニックの語源であるパーンの神の信者が集団で特定の一人を惨殺するという故事の通り。

www.sankei.com

敢えてエビデンスは書かないが他にも、感染者が攻撃され、自殺したという話しを多く聞く。新型コロナウイルスへの対応と経済的な自殺者抑制の両立は以前から議論されていた。

経済より人命が大事とするとこれは大変ですよ。「自殺者数を例年より決して多くせず、なおかつコロナ感染死も最少限にする」という超絶難題を抱えてしまう。なんせ経済苦で死ぬ命も「人命」ですから。どうしても一定の犠牲が出てしまう状況下にあっては、「結局は経済も人命もどちらも大事。トータルで最も犠牲が少なくなる落とし所はどこか?」というのがあるべきスタンスではないかと思います。

緊急事態宣言は5月7日が限界 - Togetter

このtogetterのタイトルの通り5月の連休を越えて緊急事態宣言を継続した場合、新型コロナウイルスによる死亡者の数を、「騒動」による死亡者が超えると予測していた。自粛によるワクチン接種控え、医療サービスの受診回避、健康維持活動の萎縮化による死と、経済的な死を合わせて、恐ろしいことになると5月の時点で分かっていたはずだ。

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私も何度か死ぬことを考えたことがある。それでも生き抜いて生き抜いていまに至る。会社を辞めるとか、死ぬとか、人を妙にハイにする。ああ、もうこれでこんな苦労はしなくていいんだ、こんな人生生きている価値がない、終わらせられる!と想った時の高揚感。悪魔のささやき以外のなにものでもない。

それでも、生き恥をさらしながら生きてきて、惨めな中年男以外の何もでもないが、生きている喜びを感じられている。生きてさえいれば未来も見えてくるし、過去は良い経験だっと受け入れることもできる。清水康之さんのこの記事のおっしゃるとおり。

命は一度失われると二度と戻ってこない。命にセカンドチャンスはない。社会的な自殺リスクはすでに高まってきており、時間との戦いでもある。だからこそ、政府は緊急的に「異次元の生存支援」を実施すべきだ。いま危機に直面している命を最優先にして万全を尽くすことが、「大丈夫、社会はあなたを見捨てない」という明確なメッセージにもなり、社会全体の安心感にもつながる。感染症からも、感染症拡大防止の影響からも、しっかりと命を守り切ってもらいたい。

「異次元の生存支援」で、新型コロナの影響から自殺を防げ(清水康之) - 個人 - Yahoo!ニュース

ちなみに、中年男なりに人生経験も積んできた。本当に簡単に経済的に困難に陥ってしまう方々がいることもそれなりに知っている。8月頃から「そろそろ」と休止ではなく、廃業、退職してしまう方々の情報も入ってきていた。しかし、彼ら、彼女達のしぶとさに期待していた。しかし、女性の自殺の方が男子のそれよりも大きく伸びているということはかなり危機的だと言える。また、非常に安定していると思われていた企業があっけなく崩れていく様も情報が入ってきている。まだこの状況は「終わりの始まり」程度にすぎない。

死んじゃダメだ!と叫ぶことしかできないが、早く新型コロナウイルス騒動というこの命のバランスの全く取れていない「対策」とやらを止めて、多くの方々が安心していままでの日常が取り戻せる状況を国民みんなで回復させるべきだ。今必要なのは寛容さであり、マスクの着脱程度で大騒ぎをすることではない。

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