HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

100日目に死ぬワニと1001日目の七面鳥

正直、存在すら知らなかったが「100日目に死ぬワニ」というツイッター掲出の漫画が話題だそうだ。

本人は当然死ぬとわかっていないので、前日まで友達と交流し、花見を楽しみにしている。

このワニくんの生き様は、まさにcovid19に直面している私達の姿だ。「ブラックスワン」のタレブの「1001日目の七面鳥」問題だ。

タレブが「1001日目の七面鳥」という話しを書いていた。毎日えさを与えられ、右肩上がりで成長していく七面鳥からすれば、この繁栄は永遠に続くように感じられるに違いない。しかし、養鶏業者からすれば千日後には必ず屠殺して出荷することは最初から決まっている。カオス理論、べき乗則の場合は、このカタストロフがいつおこるかはわからないという立場ではある。

人類の歴史は虐殺の歴史 - HPO機密日誌

いや、私達は七面鳥ではない、自由意思もあるし、リスクに対する知識も、私達を守る社会的インフラもある、と普通思うだろう。最終話から判断する限り、ワニくんが死んだ理由の伏線は3日目にすでに出てきている。

小鳥を救えた自分は十分に準備ができていたのだと思っていたのに違いない。もしかすると、友達が送ったスマフォのメッセンジャーが原因なのかもしれないが、それすら日常で使っていも安全を確保できていた*1

私もいくつかの旅行、出張、ビジネスプランを考えていた。1月5日には新型コロナウィルスの存在、とそれにともなう新型肺炎の恐ろしさは自覚していたにも関わらずだ。ぬくぬくと仕事を続け、その延長線上でのイベントを期待していた。実際にはそれらすべてがキャンセルとなり、自分の仕事のかなりの部分が大きな影響を受けている。

私自身も含め、所詮どこかからの高みから見れば、1000日生きれるかいきれないかわからない七面鳥に過ぎない。あるいは花見を楽しみにしているワニくんにすぎない。タレブが指摘するように、重要な物事それぞれにアップサイドとダウンサイドのどちらの余地、可能性が高いかよくよく考えておくことは重要かもしれない。

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つまりは、タレブ自身が実践している、「バーベル戦略」へと至る。まあ、それでも私は七面鳥、ワニくんをひとつも笑えない。

最近、日常のものごとの判断において「エクスポージャー」の度合い向きを意識するようになった。つまりは、下振れしかないのか、上振れもするのか?あるいは、上下に同じ分布で「こと」が影響するのか、下振れと上振れで確立が違うのか?自分の仕事の意思決定においてタレブの言う、バーベル戦略、つまりは一定のコストで下振れのリスクをヘッジし、日常の「利益」は下振れの少ない、利回りの確定した選択肢を組み合わせるところまで、なんとなく道が通じている気がしている。よくよく、判断の対象となる自分の仕事の領域がどの象限のことを言っているのか、その意思決定は上振れを期待できるのか、下振れだけなのか、あるいは限界のないぶれなのか、判断して意思決定する習慣をつけたい。

第四象限のブラックスワン - HPO機密日誌

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*1:正直に言えば、最初の数話と最後の数話しか読んでいないので間違っているかもしれない。