HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

ノンちゃんの冒険

id:finalventさんのつぶやきに懐かしい書名を発見した。

確か中学生の頃(もしかすると小学生高学年だったか)、近くの図書館で「ノンちゃん雲にのる」の続きかなにかかと思って手にしたのを記憶している。ところがいきなりセックスの描写から始まる。しかもその恋人の哲学君がヒモまがいな行為が出てきる。大変、びっくりしたことを古いふるい図書館の木製の机と外のぎんなんのにおいとともに昨日のように思い出す。

ノンちゃん雲に乗る (福音館創作童話シリーズ)

ノンちゃん雲に乗る (福音館創作童話シリーズ)

昨日、たまたま通りかかった古本屋で本書を見つけた。100円だった。なかなか良書がそろった古本屋さんで、5冊ほども買ってしまった。帰りの電車の中で読み始めたが、止まらない。あっという間に読了してしまった。

ツイットにも書いたが、最初に本書に触れてから40年の間に本書に出てくることは一通り体験してしまったことに実に奇異な想いを持つ。哲学君のような大学生活を送った。結婚もしたし、子供も幸いにしてもうけることができたし、離婚もした。マクさんのように死ぬほど働いた時期も長かった。年金さんにはかなわないが、以前よりは余裕のある生活を送ることすらできるようになった。仙人さんとまではいかないまでも、禅に打ち込み、自分の執着を手放すことに執着した時期もあった。本書のモチーフになったのではないかと想う、一燈園に行って、トイレ掃除もさせてもらった。それでも、中学の頃の自分と今の自分と何が違うかわからない。

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進歩のない自分だとしか言いようがない。とはいえ、なつかしい本を思い出せていただいたfinalventさんに感謝したい。過ぎ去ってしまえば、人生の喜びも悲しみも、諦観さえも風のようだ。

ワイン知らずのワイン飲み

ワインは好きで飲むのだが、体系だって勉強したことがない。ワイン好きが高じて、最近では時々ワイナリーめぐりなどもしているのに。

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そんな中で先日なじみのバーテンダーさんから、「ワイン1年生」という漫画でわかるワインの本を教えてもらった。

図解 ワイン一年生 (SANCTUARY BOOKS)

図解 ワイン一年生 (SANCTUARY BOOKS)

ワインはなんと言っても品種から覚えるべきだというポリシーのもと、品種を男女の高校生に漫画化して教えてくれている。とてもわかりやすい。

matome.naver.jp

原作者の小久保尊さんの初心者にも分かりやすいつぼを押さえた解説と、山田コロさんの特徴を捉えたかわいらしいイラストのマリアージュがすばらしい。

twitter.com

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ちなみに、ワイン選びは最近Vivinoに頼りっぱなし。この本ですこし理解を深めたい。

www.vivino.com

ガンダムとヨブ

先日のガンダムスターダストメモリー(星屑)を見た感想を書いてから、ガンダムとは現代のヨブ記ではないかと考えた。

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ユングは「ヨブへの答え」という本を書いている。この中で、旧約から新約、そしてマリアの被昇天に至るキリスト教の歴史を精神史の進化だと捉えていたと私には思える。

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ヨブへの答え

ヨブへの答え

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ガンダム正史のガンダム、Z、からシャアの逆襲に至る物語はまさに人類の精神史的な進化の物語ではないだろうかと。そして、そのひとつの終局が例の緑の光であると。奇跡によって物語は終焉を迎えるのだと。戦い続けることしか知らない人類がそれでも対話を続け、ひとつの高みに到達したのだと。ニュータイプとは預言者そのものであり、シャアが荒野に呼ばわるもの、ヨハネであり、アムロがキリストになるはずだった。いや、逆か。

利根川千葉県サイドが決壊していたらどうなったか?

台風の被害に見舞われた方々に心からお見舞い申し上げたい。亡くなられた方々に、哀悼の意を捧げたい。

千葉県民としては、今回利根川の決壊警報が出た時の驚きが忘れられない。台風がすぎ、利根川の危険が頭をかすめていたとは言え、外出して食事をしていた。19時過ぎにまわり中から警戒音が流れた。もちろん自分の携帯にも。初めて見る利根川氾濫警報レベル4だった。

www3.nhk.or.jp

私も建築関係者だったので、利根川決壊の恐ろしさは自覚していた。私にまずできることは、その恐ろしさを伝えることだと考え、できるかぎりメール、チャット、SNS等を通じて、関係者に浸水被害予想を伝えた。

この時、ソースをきちんと出せななかったので、今日改めてエントリーをあげる。今回のような緊急時はもちろん、住宅を買う時にはきちんとハザードマップ、災害予想を調べたほうがいいと大きな声で行っておきたい。

www.pref.chiba.lg.jp

ちなみに、国土交通省の川の防災情報。現在進行形の災害情報はかなり完備している。

www.river.go.jp

ちなみに、このポータルからリンクされている河川情報における警報が出た頃と15日午前現在の千葉県の利根川の状況。まだまだ水位は高い。

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利根川 1910132200

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利根川 1910150935

当然だが、堤というのは山形をしているので上にいくほど細くなる。13日夜の時点で本当に数パーセント流量が増える、あるいは何かがぶつかっただけでも、決壊していた可能性がある。建築土木関係者としては、国土交通省、千葉県などが利根川の堤の強化を営々と積み重ねてきたことに心から感謝したい。特に東日本大震災以来強化されたと聞く。

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利根川 強化 国土交通省

http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000683937.pdf

9月の台風とは異なり、今回は千葉県よりも他県での被害が大きかった。しかし、いつ同じような状態になっていたかわからない。今後の状況をよくよく見守りたい。

www3.nhk.or.jp

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千葉に生きることを決めた私にとって再び千葉県が安心安全な場所だと多くの方に思ってもらえる仕事をすることは私の使命だなと改めて自覚した。

祝!バナジー&デュフロ、ノーベル賞受賞!

ふと、山形浩生さんのツイートを見た。「貧乏人の経済学」が売れたのかなくらいに想ってみていた。

いやいや、「ノーベル経済学賞*1を「貧乏人の経済学」の共著者お二人共が受賞という話しだった。

本書が素晴らしいのは紋切り型の経済学ではなく、科学的思考=ランダム化試行をベースにしているところ。

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更に「貧乏人」(援助を必要とする困窮する人々)には貧乏人なりの論理、合理性があるということの指摘。これが日々の生活に困らない側に立つと見えていないことが本書を読むとよく分かる。

  • 飢えている人でもカロリーよりおいしいものやテレビを優先する
  • 就学率が上がらないのは、学校がないからでない。むしろ子ども自身や親が学校に行きたがらない/行かせたがらないから
  • 途上国に多い作りかけの家は、実は貯蓄手段
  • 制服がある女子校と、その生徒の初性交の年齢に相関があるわけ
  • 貧乏人が貯蓄をしないのは、貯蓄を「安心して」「半強制的に」できるシステムがないから(自制心のなさは、貧困国、富裕国似たり寄ったり)
「貧乏人の経済学」はスゴ本

これらの知見は途上国援助だけでなく、日本国内においても応用可能であろう。先に経済学保守本流の知見によって政策を組み立てるのではなく、ランダム化試行による政策の決定は貧困問題、労働問題、教育問題など広く応用可能だと経済素人の私の床屋談義にすぎないが信じる。この意味で「特区」制度は壮大なランダム化試行であったのだが、国会の低レベルな議論によって矮小化されてしまったことが実に残念。

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貧乏人の経済学

山形浩生さんの不労所得に少しでも貢献できるようにAmazonへのリンクを張っておく。

貧乏人の経済学――もういちど貧困問題を根っこから考える

貧乏人の経済学――もういちど貧困問題を根っこから考える

台風謹慎の間にガンダム・スターダストメモリーを観た ネタバレ版

本当にネットフリックス便利。ガンダムとキーワードを入れただけでいくつも作品が出てくる。私は少年時代の学校の関係で初回テレビ版のガンダムまではテレビにかじりついて観ていたものの、それからずっとガンダムシリーズと離れていた。断片的に「Z」の映画三部作、ユニコーンガンダム(以下UC)、「シャアの逆襲」(以下逆襲)を観ていたが、「正史」*1としてこれらの作品が気持ちの上でどうしてもつながらなかった。特に「逆襲のシャア」がとても唐突に感じられていた。それがスターダストメモリー(以下星屑という)を観てようやくつながった。

www.netflix.com

とにかく台風で外に出れないので、朝から晩まで星屑を観た。結論から言えばガンダムの「正史」とは「日本がアメリカを赦す日」なのだと気づいた。

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昭和40年代生まれでテレビでガンダムにつながるSFチックなアニメが勃興したのは「ガッチャマン」だったと記憶する。「ガッチャマン」が昭和47年、「宇宙戦艦ヤマト」が昭和49年、そして「ガンダム」が昭和54年。精神的にも、興行的にも、社会的にもつながりがある。そして、ガッチャマンの前にタツノコプロが作成したのが太平洋戦争を反省する立場から描かれた「決断」だ。この三作には直接間接、太平洋戦争の戦後日本の精神史が背景にある。昭和40年代はまだ多くの日本人は国民全員参加で戦った太平洋戦争の敗戦の衝撃をどう精神的に受け止めるべきか根底で悩んでいた。

アニメンタリー 決断』(アニメンタリー けつだん)は、太平洋戦争を題材にした竜の子プロダクション制作のテレビアニメである。1971年4月3日から同年9月25日までの間、毎週土曜日19時30分 - 20時に日本テレビ系で全26回放映された[1]。

アニメンタリー 決断 - Wikipedia

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宇宙戦艦ヤマトにも太平洋戦争の敗戦へのやるかたなき松本零士や、西崎義展ら関係者の想いが込められている。敗れた戦いを海の底から決戦兵器、戦艦大和がよみがえって戦局を覆し、勝利をもたらす物語なのだから。

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私の中ではガンダムは初めて、敗戦のコンプレックスから解放された戦争と向き合う映画だと想っていた。ファーストのオープニングが「コロニー落とし」から始まるのもまさにこのアニメは「原爆=敗戦」の後から始める物語であることを繰り返し語っているように想える。しかし、星屑を見て逆襲のシャアを見て、まだファーストでは敗戦の衝撃を完全に受け止められていなかったのだと理解した。

様々な意見があるだろうが、個人的にはファースト=1年戦争、星屑=テラーズ紛争、Z=グリプス戦役、ZZ=第一次ネオ・ジオン抗争(未見)、逆襲のシャア=第二次ネオ・ジオン抗争と正史が連なっている。「コロニー落とし」とその類型が大量殺戮兵器=原爆なのだとすれば、ファーストが原爆以降の戦争を描いているのにも関わらず、星屑ではコロニー落としが決行される。Zにおいては三つ巴の混戦の中、アクシズ落とし、コロニーレーザーが炸裂する。ここまでの悶々たる「敗戦」の反芻の最後に、逆襲において初めてZでは完全には決行されなかったアクシズ落とし=大量殺戮兵器が完全に阻止される。シャアとアムロというガンダムシリーズを彩る主要登場人物の犠牲によってだった。星屑を見て、ああ、このシリーズは大量殺戮兵器を阻止するところに敗戦を受け止め兼ねてきた日本人の意識の変化を示しているのだと理解した。

ガンダムの中で、これは旧日本軍のオマージュなんだなと想ったのは連邦軍内部でのしごきだ。平気で人を殴る、暴言を吐くなどは昭和40年代の戦中、戦後まもなくの人たちが社会の主要な役職を占めていた日本では日常茶飯事だった。宇宙にあがっても、日本軍そのものの体質が連邦軍に受け継がれいるなとは以前から想っていた。そもそも制服からして倒錯があるのは、連邦側が米軍の軍服であり、ジオン側がドイツ軍服のところだ。星屑が描いているのは、ヤマトが描いたような負けた戦争を覆すカタルシスではなく、誰もがベストのベストを尽くし、独創的な新兵器と最強のエースパイロットがいても、負けるものは負けるのだという戦後の冷静な認識だ。物流ではガンダム1号機の核攻撃で3分の2を失っても、連邦軍が圧倒的な戦力をもっているのに、コロニーは落ちてしまったのだ。更に、昭和の終わり頃の精神的なもやもやを抱えたままのバブル期という奇妙な高揚感と閉塞感が、Zが描く世界があった。繰り返すが、この変遷があって初めて逆襲が戦いの果てに得られるはずであった正統性コンプレックスの裏返しとしての「赦し」が理解できる。

ちょっとまとまらない文章になってしまった。改めてトライしたい。まあ、21世紀もまもなく中盤に達しようといういま、まだこんなことを書いている自分自身が敗戦コンプレックスから一歩も抜け出れていないのだと。富野由悠季監督はもうとうに卒業しているのだろうな。

*1:ちなみに、少し前に初めてF91も観ていた。

消費税還元ポイントの事務遅れ その2

今回の消費増税ほどシステムレベルでの混乱が取り沙汰される国家主導の事業のインプリメントは少ないのではないだろうか?たった9ヶ月しか実施時期がないのにインプリメントの初動でこれだけ混乱してしまうと初期の目標達成が厳しくなる。いろいろ見てみて、これは、お役所側がフロントサイドに立とうとし、「決済事業者」と呼ばれるQRコードペイ、クレジットカードなどの民間がサーバーサイドに近い立ち位置にさせられたことがインプリメントの段階の最大の間違いではないだろうか?とはいえ、キャッシュレス推進、中小企業等の補助という制度設計レベルでは決して間違っていない。主張だけしておけば、この制度は延長すべきだ。補助率を落としても中長期的に続けるべきだと言いたい。

以下、混乱の状況を見ていきたい。まずは、店舗側のシステム混乱から。これは民間側のテスト期間の短さからくる混乱であった。

piyolog.hatenadiary.jp

blog.livedoor.jp

次に、「還元ポイント」の登録、開始について。以前、「事務遅れ」と書いたがもう「大混乱」モードに移行しつつあるように思える。

hpo.hatenablog.com

経済産業省の還元ポイント受付システムの仕様の決定が遅れにおくれ、サイトで「9月6日までに受け付ければ10月1日に間に合います」という言葉は「真っ赤な嘘」になっている。聞いた話だが数万件の申請に対して10月1日に間に合ったのは、半分に満たなかったと聞いた。私の身の回りでも十分に余裕をもって9月6日以前に申請したのに、遅れに遅れて11月以降になると言われている店舗、中小起業を見聞きしている。

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http://mikyo-ya.hatenablog.com/entry/2019/10/02/105343

申し訳ありません - 北品川にある和風居酒屋【三叶家】雑記ブログ

先に書いたように、cashless.go.jp、後述するスマフォアプリなどフロント側にお役所が立ってしまっているのが混乱に輪をかけている。お役所が本来得意な個々の申請の是々非々を受けつる、還元ポイント申請に必要な事業者コード、店舗コードの発行を事業者任せにしたのがそもそもの敗因であったように思える。個々の店舗などからウェブシステムを開発し、経産省で受け付けを半年以上前から実施すべきであった。現在進行形で起こっているのは、ID等の登録を決済事業者のシステムから経産省のシステムに「転送」する際に「不備」と呼ばれる読み込みエラーが続出している。この原因は、経産省側の仕様決定の大幅な遅れによると聞く。ほんのちょっとした記述のゆれを許容できないなど、カード事業者と官庁のシステムとのすりあわせ、事前テストが全く行われないままスタートしてしまったかららしい。事業者コードをどこかの決済事業者への申請で取得してから、他の決済事業者の申請につかるのでは時間が掛かるのは当たり前。逆に、お役所側が個々のコードを決定しさえしてれば、逆にあとは民間の決済事業者がなんとか帳尻を合わせただろう。

更に、各決済業者の間の混乱もある。まず、A事業者、B事業者と言われてなにが違うのかわかるひとがいるだろうか?しかし、この業者の区別により申請が更に複雑になった。

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決済事業者

https://cashless.go.jp/assets/doc/operator_leaf1902.pdf

更に更に、還元ポイントの還元方法があまりに基準がないため、各決済業者によって手続きしないと還元されない決済方法や、還元まで異常に時間が掛かるカードなどがでている模様。

www.traveler-da1.com

コンビニのいさぎよさを見習うべき。

経産省のスマフォアプリの使い勝手の悪さはもう有名。

n4note.hatenablog.com