HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

千葉の停電と米国の山火事

以前、米国では山火事は消さないというエントリーを書いた。今回、千葉県の停電はまさに同じべき分布の現象として生じたと考えている。大量の倒木だ。

森林火災を抑えようとすればするほど可燃物が森林の間で増え、かつ森林と森林のつながりが密になり、超巨大火災が起こりやすい状態になるのだそうだ。

べき分布の特徴として、べき分布するさまざまな現象においてその本質的な特徴だけが問題であり、枝葉末節には左右されないことが詳細に本書で述べられている。結果として、森林火災を新型インフルエンザと置き換えても、金融危機と置き換えても同じだということになる。つまりは、適切な危機がないと超巨大な危機が訪れる可能性が高くなるのだということだ。

米人はべき乗則に気づいて山火事を消すのをやめた - HPO機密日誌

千葉県はお陰様で災害の少ない県だと認識されてきた。今回の台風15号は40年ぶりに最大瞬間風速の記録を更新したという。

千葉県内に大きな被害を出した台風15号が通過した9日未明、同県館山市で秒速約52メートルの最大瞬間風速を記録していたことがわかった。海上自衛隊館山航空基地の滑走路上で観測した。

 気象庁の観測記録によると、館山市で過去に観測された最大瞬間風速の1位は50・0メートル(1979年10月19日)。気象庁と海自では観測条件が異なるため単純な比較はできないが、これまでに気象庁館山市で観測した最大瞬間風速を上回ったことになる。

台風15号、館山市で最大瞬間風速52m 記録を更新:朝日新聞デジタル

この40年の間、話題の山武杉を始め着々と植林は進んだ。千葉県は森林法によって開発行為において割と高木を敷地周辺、つまりは道路脇に植えることが義務づけられている。

対象となる開発行為
許可又は届出を必要とする開発行為は、「土や石を掘り出したり、林地を開墾するなどの土地の形質を変える行為」であって、一定の規模を超えるものです。ここでいう、一定の規模とは次のようなものです。

  • 土地の面積が1ヘクタールを超えるもの
  • 道路を作る場合には、幅員が3メートルを超える道路で、その面積が1ヘクタールを超えるもの
林地開発制度について/千葉県

しかも、千葉県は温暖で湿潤なので、高木でもあまり根が深くならない。深くなくとも、風になぎ倒されずに木々は生長してきた。

他、農地の開発しかり、電線のネットワークしかりだ。どなたかが「高知県だったらなぎ倒される木はもうすでになぎ倒されているから同じ台風が着てもこんなに大規模な停電にはならなかった」とおっしゃっていた。まさにその通りだろう。

他にも、千葉県は半島であって広い意味での送電のネットワークに組み込まれているという弱みもあった。

送電経路も千葉県はまず問題ないだろうと想われていたはずだ。当然、大きな意味での複数経路を取れるネットワークからどうしても外れがちであるという半島性は大きい。しかし、今回の台風の教訓として台風に対して強い千葉県を作って行く必要があるのではないだろうか?

日本が台湾になる日 - HPO機密日誌