HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

「ブルース、日本でワインをつくる」

「ブルース、日本でワインをつくる」を拝読した。大変、勉強になった。

ブルース、日本でワインをつくる

ブルース、日本でワインをつくる

もとをただせば、NHKのJUJUさんがイタリアでワイナリーに行く番組を見ていて、ワイナリーに行きたくなったところから話は始まる。

www4.nhk.or.jp

以前から行きたかったココファームワイナリーにいくことにした。素晴らしかった。






何本かのワインと一緒に買ったのがこの本。改めてココファームワイナリーは、元々「こころみ学園」の知的障害の職場としてできた歴史もよく伝わった。それ以上にブルースさんのワインに対する愛情が伝わった。ココファームワイナリーで「適地適品種、野生酵母」という話を聞いたが、それはきっとブルースさんの土地を活かしたワインの作り方の姿勢の反映なのだと思う。作りたいワインが先にあるのではなく、その土地に一番合った葡萄をその場所でつくり、その場所、そのワイナリーの野生の酵母を使って生産する。かなり勇気のいるワイン造りの姿勢だと思う。例としてココファームで聞いた話では、ある年ドライなワインを作ろうとして発酵を始めたが、途中で止まってしまったのだという。それでも、そのワインを試飲すると独特の甘さがあったため「シエスタ(昼寝)」という名前で売り出したのだという。他のワインも同じブランドでも年によって味にヴァリエーションがあると。たとえば、現地でいただいたロゼはとてもドライだった。「珍しいですね」と聞いたら、「昨年の葡萄に合わせて作ったらドライにするしかなかったんです」という意味のことを教えていただいた。その土地、その年を大切にしている、ココファームの姿勢が伺われる。

ブルースさんはおっしゃる、ワインの質は99%葡萄の品質だと。だから、ココファームから離れて北海道ではじめられた「10R(とある)ワイナリー」は、農家、葡萄の造り手が主役のワインづくりをしたいのだと。

tedxsapporo.com

カーブドッチを作られた落さんも、もう北海道の余市におられる。そう遠くない将来に北海道のワイナリーまわりが大きな注目を浴びる日がくるかもしれない。なにより土地を活かした自然な事業としてワイナリーはすばらしい仕事だと思っている。私はワインは作れないし、作ることもないだろうが、土地を活かす、そこに住む方々の仕事を作るという意味では大変共感している。「まわりの人々のためになる仕事」というブルース・ガットラブさんの言葉は私に大変響く。落さんの写真はいまも私の部屋の壁にはってある。

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