togetterで「ナチスは福祉」という発言が話題になっていた。
「ナチスは福祉」という主張自体は歴史的に間違ってはいないと私は思う。
(国家社会主義公共福祉=NSVが設立された1930年台)当時は既にドイツ赤十字社やプロテスタント系、カトリック系などの社会福祉組織が存在していたが、NSVは1933年5月3日に設立され、その組織構造は、地方、地区(Kreis),グループ行政などナチス党をモデルとした。主な部門は社会福祉、青少年サービス、公衆衛生、宣伝、トレーニング、財務管理などの6部門だった。1938年頃には純粋なサービスへ重点を移し、経済的に貧困な家庭を援助した。また同様の宗教的組織と競争する形で子供を援助し、幼稚園を運営した。有名な施策には母子援助活動がある。
国家社会主義公共福祉 - Wikipedia
(中略)
1939年までに、8000の託児所を運営し、母親のための休暇用資金を家庭に配給、大家族向けに追加の食糧を配給、その他のさまざまな施策を行った。
1941年までに、医療保険、老齢年金、失業、障碍者手当、難聴、聾啞者、盲人のための支援、高齢者、ホームレス、アルコール依存症の救済、違法薬物や伝染病に対するプログラムを実施した。
この年までに1700万人のドイツ人が国家社会主義者福祉の後援で援助を受けることになる。NSVは3万のオフィスを構えるに至り、ソーシャルワーカー、矯正訓練、調停支援を監督する業務を行った。
ナチスの社会福祉政策 - ユキノシバリ
20世紀初頭において、リベラルな方々の主張とナチスの主張はそんなに違いはなかった。
しかし、福祉を徹底するための財源確保は非常に大きな課題であり、結果的に国内でのユダヤ人の迫害、財産剥奪、近隣国への出兵へとつながり、第二次世界大戦を生んだ。「ナチスは福祉」という主張について考えるときに、現代の私達の「福祉」が最優先であるという主張が全体主義的強制力を生み、結果として国家破綻になってしまうのか、なんらかの形の「戦争」につながってしまうのではないかという可能性を考えることだ。なんでもかんでも権利を主張し、国家に福祉を要求する姿勢は実は大変危険であることを自覚すべきなのだ。