HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

Homo Deusとベーシックインカム

コンビニでたまたまユヴァル・ノア・ハラリのDVDを見つけた。なかなか大著を読む余裕もないのでなんかの空き時間に見ようと買い込んだ。

思いの外、面白かった。ああ、内容に入る前にAmazonのコメントでこのインタビュー番組がそのままYoutubeで見られるとあったので、探してみた。

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自分でAIの専門家ではない、歴史家なのだと言いながら、「人間がAIが発展した高次の存在によって取って代わられる。その段階で人間自身は大半が不必要(irrelevant)な存在となる」と断言していた。"irrelevant"なんて、"Person of Interest"(PoI)の見過ぎじゃない!PoIの詳細はここでは書くべきではないが、このテレビドラマにおいてほぼ人間を超える存在が描かれ、人間社会とこの超知性との共存において一人ひとりが"irrelevant"であるかどうか、選別されてしまう。

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前提として、現在のAIが「パターン認識」において優位性があること、すべての「データ」を扱うには人間の知性ではすでに手に余りことであることを指摘している。そして、「アルゴリズム」こそが神であると言わんばかりに、ごくごく少数の、しかも民主主義的な決定をされていない一群の人々によって世界の在り様が決まってしまうのだと*1。そうした中で、大半が働く権利すらない”irrelevant”な存在になってしまうと。それでも、「個人情報」こそが人に残された数少ない「資産」となるの、この扱いはよくよく議論されるべきだと指摘している。

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インタビュー、質疑でのやりとりを見ていても、めちゃくちゃ賢い人なのだと伝わる。人が既に「神」の領域にたっていることもよくわかる。また現代社会において「アルゴリズム」、人では扱えない巨大なデータをどう処理するか、どう意思決定に使うかこそが現在議論されるべきだとも思う。しかし、「超知性」の勃興によっても、人間はその存在目的を失わない。逆に、「超知性」は自身の目的を設定し得ない。なぜなら人間の被造物であるのだから。これは自身が語っていた「スーパーAIに『円周率をどこまでも計算しろ』と目的を与えると、人間すべてを超知性のために虐殺または奴隷化し、地球全体を円周率を最適でありかつ永遠に計算しつづける体制に改変した」という仮想の物語が示している通り。

私も、ようやく現在のGAFAの世界において収入や、権力が圧倒的にべき分布刷るようになった時には、ベーシックインカムを含めて「働く必要のない大量の人々」の存在をどう体制化するか重要な問題であると認識した。

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*1:先日、小学校のプログラミング教育は、まさに21世紀の終わりまで生きる可能性が高い現在の小学生達に来るべき「アルゴリズム社会」を生き抜くためには、物事の本質とはなにかを適切な言葉で表現する力を養うことだと聞いた。アルゴリズムを作る側に立つのか、irrelevantになるのか。ここから始まるのだと理解した。大谷選手のまんだら - HPO機密日誌