HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

「コロナ後のエアライン」

なんとはなしに新型コロナウイルス感染症蔓延下における航空業界について理解しているつもりであった。しかし、本書を読んで改めてその危機的な状況を思い知らされた。

本書に描かれる状況は2021年3月までの状況。国際線が九割減、国内線が六割から七割に回復、貨物は通年と比べても二割、三割ましといった状況は、今もさほど変わらない。たとえば、今日時点のJAL損益計算書の状況。

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JAL @ nikkei
【日本航空】[9201]決算発表や業務・財務情報 | 日経電子版

コメントに「国内線回復で22年1~3月期に資金流入に転じる見通し」とある。つづいて、同様にANA

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ANA
【ANAホールディングス】[9202]決算発表や業務・財務情報 | 日経電子版

空港の惨状についても記述されていた。地方空港がやはり厳しいと。あと、インバウンド需用によって支えられていた成田国際空港那覇空港の状況もかんばしくないと。

ちょっと、余談だが成田国際空港は、国際空港評議会の"Airport Health Accreditation"プログラムの認証を日本で初めて取得したそうだ。感染対策、非接触チェックインなど、地味に改善されているらしい。そういえば、先日行ったときに顔認証による非接触型チェックイン機や、セルフ荷物預入機などが導入されていた。

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顔認証チェックイン

アフターコロナの航空業界について、オビでは大きく「もう元には戻らない」とメロドラマのようなキャッチが書かれているが、本書の立場は感染症が抑制されれば観光需要は戻るという主張であった。それは、私が二年近く前に考えた姿と似ている。

もっと恐ろしいのは航空需要だろう。グローバル化が進み、世界的な観光が進んだ世界が、少なくとも短期的にはアフターコロナでは極端に猜疑心が先行し、国際的な商談、会議を含め、需用が激減しかねないのではないだろうか?仮にコロナウィルスへの特効薬が開発され世界に広く配布される体制ができても、中国の観光客、移民などから世界にウィルスが広がった記憶は忘れられない。

アフターコロナ - HPO機密日誌

資源の供給は人類が生きている限り止まらない。止まったら死ぬ。現在は需用減が予想され石油などの資源は下落しているが、今後世界的な輸送網が感染症の恐怖で停滞することを考えると、輸送費が増加するかもしれない。船舶における感染症の恐怖の記憶から船員の給与、事業に対する保険料等は相当程度高騰するだろう。先ほどは、航空需要の激減を予想したが、もしかすると船舶によるコンテナ輸送が航空輸送にある程度とって変わられるかもしれない。

アフターコロナ - HPO機密日誌

まあ、そんなには間違っていなかった。ただ、小ずるいことに2年前の私はいつアフターコロナの世界が到来するのかはかかなかった。当時読んだ、マッキンゼーのレポートだと航空需要が反発するのは2024年までかかると書いてあった。その時は、まさかそんなに長引くはずがないと想っていたが、それが現実化しつつある現在が恐ろしい。