HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

Google社の「心理的安定性」

グーグルの生産性向上プロジェクトについての記事を興味深く読んだ。

gendai.ismedia.jp

「他者への心遣いや同情、あるいは配慮や共感」といったメンタルな要素の重要性だった。つまり成功するグループ(チーム)では、これらの点が非常に上手くいっている

これは、ローマ以来の軍隊の組織の作り方の考え方の根底にある原理を明らかにしたと言えるのではないだろうか?

組織行動論や社会心理学の上で、仲間意識を持てる上限の人数というのがある。大雑把な意味での家族、軍隊での小隊、会社での課の人数は、7人前後だ。論拠は出さないが、Twitterでごくごく親しくやりとりをしている人数は、7人より多いことは少ないのではないか?次の上限が50人。これは、ちょっとした親族の集まりや部族社会、軍隊の中隊、会社の部や本部の人数だといわれている。そして、その上の上限である150人がなんらかの帰属意識を共有出来る限界だといわれている。これは、ちょっとした村、軍隊の大隊、ひとつの帰属意識をもてる一学年などにあたる。

トーテムポール、トーテムポール - HPO機密日誌

なぜ人数が大事かと言えば、それは「話しを聞くリーダーシップ」が生まれやすくなるから。

自分から仲間のところへおりていく、話しを聞くリーダーシップ

サッカー組織論 - HPO機密日誌

リーダーというハブがいて、その命令を伝達するだけなら一回のコミュニケーションで済む。しかし、「聞く」という双方向のコミュニケーションは、n(n−1)/2回必要となる。つまりは、自乗に比例する。グーグルの見いだした「チームメイト全員がほぼ同じ時間だけ発言するチーム」、「『こんなことを言ったらチームメイトから馬鹿にされないだろうか』、あるいは『リーダーから叱られないだろうか』といった不安」のない「心理的安全性」を確立し、維持するには「対話」しかない。あまり少ないと組織的な行動につながらない。しかし、人数が多すぎると、たぶん10人以上、では対話的コミュニケーションがいきわらない。5人のメンバーで必要な対話数は、5×(5−1)/2=10回。一日のついで十分に可能な対話の数だ。しかし、10人の場合は、10×(10−1)/2=45回となり対話だけで一日の業務時間が終わってしまう。

もちろん、人数だけではない。「心理的安全性」を担保するには、それ以上のものが必要となるだろう。「それ以上」のものの内に、理念、組織の目的の共有があると私は想う。いわゆる「同士的つながり」、「同期の桜」というお互いに共有するものがあるという意識だ。

一、理念と役割の自覚 自分の役割、組織の目的課題がわかっているので、指示されなくとも動ける。

サッカー組織論 - HPO機密日誌

よくよく考えて、このことは実践につなげたい。