HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

ベーシックインカムの施行はローマに習うべき

昨日のエントリーに、コメントやぶくまやTweetsをいただき、ベーシックインカムも施行の詳細によりずいぶん意味が変わってくると教えていただいた。考えてみれば、ローマ時代のベーシックインカムにあたる小麦法は、前143年からしばらくは安定的に実施されていたはずだ。

●小麦法(前123年成立)
 前123年護民官ガイウス・グラックス提出の法案。国家が一定量の小麦を買い上げ、市価より安い価格(半額程度)で首都ローマ在住の貧民に配給。戸主へは月5モディウス(45リットル)を、1モディウスにつき6.3アッセで買う権利を与える。のちにスッラによって廃止される。

ローマを見習って小麦を配ろう! - HPO:機密日誌

小麦法自体は廃止されても、帝政時代にも「パンとサーカス」の言葉に象徴されるように、小麦の貧民への配給は続いていたようだ。しかし、「パンとサーカス」を与えられても、プライドは奪われてしまったと歎いている詩が残っている。

...もう昔々のこと、まだおれたちが票を売ったりしなかったころ、
人々は自分たちの義務に熱中していた、昔々の人々たちはだ!
いまはおれたちは、おれたちの軍隊の司令官を、おれたちの建設担当高官を、おれたちの軍団を、おれたちのすべてを明け渡してしまった、
(だから)おれたちは(おれたちのいまの情けない状態を)がまんするしかないのさ、ふたつのことを心配することをのぞいては、
パンとサーカス」を除いてはさ!

Panem et Circenses - HPO:機密日誌

ベーシックインカムのインプリメンテーションを考える上でとても大切だと思う。人はパンのみに生きるにあらずだ。労働をして、自分の糧を得るという行為は人が自分自身が人の役に立っているという生きる実感を得るためにとても大切だ。

さて、ベーシックインカムを実現するとしたら以下のような問題に答えておく必要がある。つまりは、家族の制度を守り、不公平感は最小限にし、人口は国土に分散して住む工夫だ。

  • 家族の人数に関する調整 : 4人家族なら単身世帯の単純に4倍では逆不公平になる可能性がある。ま、家族制度を守るためなら意味はあるが。
  • 未成年者分の受け取り権利は親権者 : ローマの小麦法でも戸主のみにもらう権利があった。
  • 家長が必ず受け取りに行かなければならない。 : 福祉を受ける手続きは昔も今も煩雑である方が実はいい。
  • 地域毎の物価水準に対する調整 : これに加え本籍地でのみ支給を受けられるなど、人口が都市に集中しないための工夫が必要。

まだありそうだが、例によって眠いのでこの辺にする。こうした問題も本来世代間の闘争であると考えるべきではないだろうか?↓のエントリーは自画自賛だが大切なポイントを指摘していると私はいまだに信じている。