HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

税金は金持ちが払うもの?

3月はどうしても税金のことを考えがち。先日、確定申告を前に領収書の整理をした。自分の金づかいを反省させられた。同時に、払わなければいけない税額を想い暗澹たる想いになった。

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税負担1994年

税負担2014年

まあ、そもそも税金は金持ちがはらうものというのが日本の税制の前提であった。というか、資産のある世帯にしか課税することは技術的にできなかった。また、税金と選挙権はセットだった。

明治時代

明治政府は歳入の安定を図るため、1873年に地租改正を実施しました。地租改正では土地の地価の3%を地租として貨幣で納めさせたそうです。また所得税法人税が導入されたのもこの頃です。
ちなみに所得税は、所得金額300円以上の所得者に課税されるものでした。

税の歴史 | 税の学習コーナー|国税庁

普通選挙が実現する1925年以前は、男子のみに選挙権が与えられていました。 しかし、納税の縛りがあり、決められた高額な納税額を納めている一部のお金持ちだけが有権者であったため、国民のほんの数%しか有権者は存在しませんでした。しかも、現在のような秘密投票が実現したのは、1900年であり、それ以前は公開制だったのです。
その昔、日清戦争日露戦争第一次世界大戦などの国を守る義務は、財産の多い・少ないに関わらず、全て成年男子全体に課せられていたのです。 それにも関わらず、政治参加が認められるのは、一部のお金持ちのみでした。 そこで、命をかけて国を守っているのに、政治にはまったく意見を言えない事に疑問を持った人達が、全国に普選運動を起こしたのです。

今の選挙になるまで|完全普通選挙権獲得までの壮絶な道のり

強調は本ブログ。

それなりに税金は払っている。自分でいうことではないが、自分の立場に応じてそれなりに負担すべきだと自分が考える「身銭」は切ってきた。日本においてすら、先人のさまざまな活動の末にいまの状態があると考えれば税金も喜んで負担すべきなのだろう。それでも、上のようなグラフを見せられるとやりきれない気持ちになる。

本来、税負担の公平性を担保するために消費税は導入されたと理解している。自分が小学生の頃の社会科では「クロヨン」、「トーゴーサン」など、税負担の不公平感があることを教えられた。

捕捉率の業種間格差は「9対6対4」に留まらないとの考え方から「トーゴーサン」という語も生まれた。即ち、捕捉率を給与所得者約10割、自営業者約5割、農林水産業者約3割にそれぞれ修正した呼称である。また、これに政治家に関する捕捉率(約1割)を加えて「トーゴーサンピン」とも称する。

クロヨン - Wikipedia

税制は、実は課税の技術の発達の歴史でもある。明治政府発足の頃に政府が把握できる課税対象は土地くらいしかなかった。であるので、選挙権という特権とセットで金持ちが税金を払うことを納得させた。その後、倉山満氏の指摘のように「戦争に勝つために憲法を導入した」。戦争に勝つために税制を変更し、徴兵制を変更してきた。

日本の徴兵制度は戸籍制度を前提にしており、明治6年1月10日法では「一家ノ主人タル者」や家産・家業維持の任に当たる者は兵役の義務から免除されていた。

徴兵制度 - Wikipedia

想えば、大日本帝国憲法がどれだけ当時の先端的な国民の権利を取り入れたものであったとしても、ネガティブにみられがちなのは徴兵制がもりこまれていたかもしれない。が、それはいまは置く。今後の日本が憲法をどうするかは大変な問題ではあるが、普通選挙権制度で、徴兵制のない現行憲法下でも、年収1千万円以上の「金持ち」が所得税収の半分近くを負担するということは、歴史的にみて本当に正しいのだろうか?この意味では、消費税の税収が増えることの方が税の公平性は保たれると言える。

と、日記には書いて、確定申告への想いを紛らわせておこう。