HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

赤の女王は流行がお好き

もう少しだけ「赤の女王」の話題。マット・リドレーがしきりに「不思議だ」と語っていたのが、女性のファッション。ファッションには服装だけでなく、体型の好みも含まれる。

例えば、現在のダイエット狂い。ヒトの男子の性的な行動には、これまでいくつのエントリーをあげてきたように女子(場合によっては複数のに自分の子をいかにたくさん産んでもらえるかがベースにある。そう考えると、細ければほそいほどいい、痩せるためなら摂食障害になるリスクも惜しまないという現代女性の行動が説明つかない。

実は、ヒトは二足歩行を始めたときから、骨盤の大きさに限界を運命づけられてしまった。四足の時にくらべて、二足では股関節に負担がかかり、骨盤の開きが狭くなってしまったという。従って、お尻の大きな女子のほうが子供を生みやすいということになる。実際、米国人は女子のバストよりもヒップにセクシーさを感じるという。多くの日本人おっぱい星人には不思議な現象だろうが、性的好みは仕方ない。

で、実際女性の体型の分析をすると、身長体重比から言って細身の女子のほうが腰がしまり、ヒップが大きく見えるのだそうだ。たしかに、それこそアリスの赤の女王のようなドレスを着ている近代以前の女性のコルセットとスカートは、腰を締めることによってヒップが強調されている。これが唯一の説明なのだが、マット・リドレー自身がこの説明に納得していない。

更に不思議なのが、スカートの丈。長くなったり、短くなったりで安定しない。ダイエットのはやりすたれ(?)よりも、一定しない。考えてみれば、千年前の源氏物語にすら服装の「今様」という言葉が出て来る。男子側のセクシーさ、性的行動は、これまた源氏物語の昔から対して変化していないのに、女性のファッション、服装、化粧の変遷はどうだろうか?

たぶん、異性の過剰な刺激が好まれるからだろう。孔雀のオスの尾羽根の長さは、当初ちょっとしたメスの好みの差であった。それが、一夫多妻制で一番メスから好まれるオスだけが生殖の機会を得る孔雀社会においては、雪まろげのようにメスの好みとオスの尾羽根の長さが過激に走っていた結果が現在の孔雀のオスの尾羽根になったという。

人間の場合は、遺伝的な異性の好みと適応、いわば赤の女王の軍拡競争が、ゆっくりとした遺伝子レベルでなく、女子の認知の間で起こってしまうのだろう。シーズンが変わるたびに、株価の美人投票、メスの孔雀のオスの選択のように、自分の仲間が好む特徴を自然と選択してしまう。このため、本来遺伝子レベルなら数千年、数万年かかる「赤の女王」効果が毎年のように変化していくことになる。そもそも、他人に先駆けながら、これからのファッションを取り入れた女子はより男子の目に止まりやすくなる。

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そして、マット・リドレーがひとつの結論に達したように、他の動物とくらべて認知により行動はおろか、好みまであっという間に変化させてしまうヒトの異性へのアピールの仕方は、どこかで自分に自分の好みを適用してしまうといえる。一般に動物は、それこそ孔雀のようにオスの側が強い性的なアピールをする。ライオンのたてがみ、鹿の角など枚挙に暇がない。しかし、この実に柔軟性に飛んだヒトだけは、女性の方がより性的なアピールを自分自身に身にまとう。そもそも、ファッションという概念があったのかと疑うくらい古代、いや太古から、ごく近いいとこのゴリラや、チンパンジーとはことなる性的な特徴をヒトの女子は身につけてきた。大きな紡錘状の乳房や、腰回りなど・・・。性的なアピールを男子に期待するあまり、自分自身の評価をも性的な目で過剰に適応してしまうために、「流行」が生まれると考えられないだろうか?


そうそう、類人猿のいとこたちと比べて、逆に性的な興奮、繁殖時期のアピールを隠蔽するのも、「不倫」好きの我がヒト属の特徴だそうだ。

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誠にまことに、色の道は深い。