いまや、人間の次に繁栄している種は家畜化された動物達だと言っていいだろう。マット・リドレーは豊富な例を「赤の女王」の中で引いていた。
赤の女王 性とヒトの進化 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
- 作者:マット・リドレー
- 発売日: 2014/10/24
- メディア: 文庫
例えば、牛は全世界で十億頭も飼育されている。一方、牛の仲間であるカバは絶滅危惧種だ。
■ 世界の牛(国別飼養頭数)
(中略)世界の牛(飼養頭数、生産頭数、輸出頭数、輸入頭数の推移)
(単位:千頭) 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 合 計 1,021,869 1,025,053 1,019,634 1,006,555 1,010,722
尚、カバは国内の動物園でもよく見られる動物で、かつてはナイル川周辺やサハラ砂漠より南のアフリカで広く見られたが、近年は生息地の開発や破壊などによって個体数は減少しており、現在は国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価によって、絶滅危惧種(VU)としてレッドリストに指定されている。
動物図鑑/カバ
家畜と人間の繁栄の関係については、「銃・病原菌・鉄」で語られていることは有名だ。
マット・リドレーは性の多様な形の探求を通して、最終的に性は人間による人間自身の家畜化の手段であったと結論づけているように思う。
有史以来人間は、多くの動物を自分たちのために飼育し、繁殖させてきた。その利用目的は様々で、食肉、乳といった食料を得るため、毛皮や角などの日用品を得るため、役畜として畑を耕すため、移動のために騎乗するため、狩りのパートナーや愛玩用のためといったものがある。人間の管理下での繁殖の過程において、それらの動物には様々な変化が起きている。その一部は、より有益なものを選んで繁殖させるうちに、その特性が強化された、いわゆる品種改良の結果である。
家畜化 - Wikipedia
しかし、それ以外の部分にも共通してみられる変化が生じており、これらの変化を総じて家畜化と呼んでいる。
もっと強調していえば、男は女を、女は男を、「有益化」し、「家畜化」してきたのが人類の歴史なのだと。人類はすでに「家畜」であるがゆえに「文明」という牧場、「政府」というカウボーイ(cow poerson?)なしでは生きられない。ちょっと恐ろしいが、性の問題は人類の現在、家畜性を説明している。