HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

目玉焼きと山火事:新型コロナウイルス感染症急減に関する仮説

なぜ新型コロナウイルス感染症(以下、コロナとする)が急減したか専門家は説得力のある議論ができていないように思える。私にはダンカン・ワッツの言う通り燃やし方の問題ではなく、燃えやすさ、燃え広がる側の問題であるために「燃え尽きて」しまえばそこで感染がとまるのだと思える。

www.nikkei.com

ダンカン・ワッツの「偶然の科学」は大変示唆に富む本だ。その中でも、特にこのページの記述はまさにコロナ感染そのものではないかと思えた。

ちょっと長いが文字起こしをした。

理由は簡単で、影響がなんらかの感染過程によって広まるとき、結果はそれを引き起こした個人の特性よりもネットワーク全体の積造にずっと大きく左右されるからだ。
森林火災が手に負えないほど激しくなって燃え広がるためには、風や温度や低い湿度や可険物の組み合わせが必要なのとちょうど同じように、爆発的な社会的伝染も影響のネットワークが適切な条件を満たす必要がある。そしてつまるところ、最も重要な条件はひと握りの影響力の強い個人とはまったく関係がない。むしろ、必要数の影響されやすい人々が存在し、この人々がらかの影響されるすい人々に影響を与えるかどうかにかかっている。
必要数が満たされれば、並みの個人でも大きな連鎖を引き起こせるーーー条件がそろっていると、火花さえあれは大規模な森林火災が引き起こされるように。逆に必要数が満たされなければ、最も影響力の強い個人でも小さな連鎖しか引き起こせない。そのため、個人がネットワーク全体でどういう位置にいるかを見極められないかぎり、その人にどれほどの影響力があるかたいしてわからないーーー個人についてどういう測定結果が得られようとも。
大規模な森林火災があったと聞いたとき、われわれは当然ながら、それを起こした火花に何か特なものがあったにちがいないとは思わない。そんなふうに考えるのはもちろんばかげている。しかし、実社会で何か特別が起こったのを見ると、われわれはそれを起こしたのも特別な人物にちがいないという考え方にすぐさま惹かれる。

当然、西浦先生もご意見を求めた。「COVID-19のSuperspreading eventあるいはその他の感染症などの原因一般論に関する話ではない」というご見解だった。ちなみに、このやりとりは感染が猖獗を極めた8月に行われていることには注目されたい。

「燃えやすさ」とはなにか?私のような素人がうんぬんすべきではないが、感染をネットワークとして捉えたときの様々な段階での感染しにくさではないかと考える。一番近いのは宮沢孝幸先生の「目玉焼理論」ではないかと考えている。昨年のうちに一定の感染しやすい層が「燃え尽きる」ことに言及されている。ワクチン接種ももちろん、白身と黄身の「際」(きわ)をより強化する作用があったのだろうと。

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目玉焼理論
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ではなぜ感染の「波」が訪れたのか?株の入れ替わりにより「燃える」要素が変わったからではないかと考えられる。永江一石さんが興味深いグラフを繰り返し提示されている。

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isseki 株
Isseki Nagae/永江一石 💉接種済💉 on Twitter: "11/4 最新発表 日本はデルタ株以外の新しい変異株は発見されておらず、第6波の兆しもありません。 南米のラムダやカッパがこれからくると騒いでいるメディアの皆様へ。南米各国ともそうした変異株はデルタに駆逐されています。デタラメを報道するのはやめましょう。… https://t.co/inY1lNVHc2"

ちなみに、一時話題になったK値による予測はまさに「燃え尽きる」ことを前提とするS字カーブが大前提となっているように私は理解している。なぜならK値とゴンペルツ曲線は数学的にほぼ同じことを示している。

hpo.hatenablog.com

以上、素人考えにすぎないことは自覚している。ただ、ダンカン・ワッツの意見は尊重されるべきではないかと。