HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

K値のDIY、感染は指数関数的増加ではない(個人的メモ)

前回、K値について理解を深めるためのエントリーを書いた。今回は自分の手持ちのデータをもとにDo It Yourselfで計算してみた「感想」。

hpo.hatenablog.com

K値が示しているのは新型コロナウィルスの感染は、各国のデータを見ても指数関数的ではなく増加率を線形近似すれば常に低下していくことだと私は理解している。

まずは、スプレッドシートへのリンク。

docs.google.com

2月初旬から5月6日までのDIYしたK値のグラフ。

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中野先生ほどきれいなグラフにならないは、はずれ値を除外していらっしゃるからだろうと推測する。そこで、かなり力業に近いがK値が下降している期間を武漢ウイルス株、欧州ウイルス株にわけてグラフ化した。線形にK値が下降している。

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前回示したように増加率とKはマイナスの反比例関係にある。

1 / (1-K) = D7 / D1 = 増加率

ややこしいので表にした。

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K値が下がることは各時点での増加率が下がっていることを意味する。ということは、現在の日本、各国のように「集団免疫」が成立するよりはるか手前の段階で感染者総数は指数関数的な伸びにはならないということになる。実際、感染者総数のグラフに指数関数と二次関数で近似させて相関係数を取ると、二次関数の方が相関が高かった。

まずは武漢ウイルス株、第一波と思われる時期。

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次に4月ということは、ピーク以降の第二波、欧州ウイルス株。

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この問題は以前、SIRもどきの私のDIYモデルの時には時点が先へいけばいくほど、モデルと実際の感染者数との差が出る問題として気がついてはいた。

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日本のPCR陽性者は0.6%存在するのか?(個人的なメモ) - HPO機密日誌

ちなみに、数IIまでしかやっていない私には説明が難しいのだが、K値、あるいはK値の線形近似のXに対する係数-0.01程度のK'=kは、指数関数的増加、あるいはSIRモデルが想定する同じβを次々と掛けていく予測では、現れないはず。

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指数関数y=a^xの微分公式の4通りの証明 | 高校数学の美しい物語

2月のうちに中国の増加は指数関数ではないと示されたレヴィット教授の見解を日本のデータでも示したことになると解釈している。

Rtは期間によって、だいぶぶれが大きい。K値でも一週間単位なのでK値そのものでは緊急事態宣言以降の単発的な感染者の発生が「セーフ」なのか「アウト」なのか、「オーバーシュート」の前触れなのか分析が難しい。ただ、少なくとも現在の日本の状況で再度「開国」しない限りは指数関数的増加にはつながらないことを示す方法はないか考えたい。えっと、あくまで素人芸だが。