多分、興行的には苦戦するのだと想った。それでも、私には十分に共感を生む映画だった。
そもそも、エターナルズ、七千年にわたって人類を見守ってきた神のような存在が10人だというのが多すぎる。「アヴェンジャーズ」のように一人、また一人と主役を張れるキャラを「育て」るのではなく、いきなり10人が登場するのは一般人の認知能力を超えている。ようやくどのような役柄か理解したころには、お互いに殺し合っている始末。
更にスケール感が大きすぎ、時間感が永すぎる。通常の人類と同じ感情をもって生き続けるエターナルズにとって、七千年にわたって地球上と人類と共に生きることは違和感がありすぎるだろうと。七千年とは約30万世代となる。通常の感情を持つ理性が30万世に及ぶ人の生き死にに耐えられるのだろうか?さらには、セレスティアルという存在が銀河の誕生にまだ関わるという話しは私の理性の規模感を大きく超える。ソーのアスガルドのような別世界には共感できても銀河の生成にはなかなか共感できない。これがエンディングまでひとつの違和感の源であるように思える。
とはいえ、異なる環境、異なる人種、異なる人生の課題を抱えて「チーム」となっていく姿には大変私は感動した。この傾向は「sense8」あたりから始まったように思える。超越的な力を持ち、不老である(ほぼ)不死である存在であるにも関わらず記憶の混乱、劣等コンプレックス、マイノリティのセクシュアリティ、聾唖などの人生の課題を抱えている。更にはお互いがお互いを想う愛に溢れている。
ちなみに、彼ら10人の名前はまさに神話から取られている。
エターナルズの意味は?キャラの名前の由来や種族について整理! | Blink Movie Blog
- イカリス→イカロス
- セルシ→キルケー
- キンゴ→キングー
- マッカリ→マーキュリー
- ファストス→ヘーパイストス
- アジャック→アイアス
- スプライト→パック
- ギルガメッシュ→ギルガメシュ
- セナ→アテナ
- ドルイグ→不明
このリストでは、ドルイグが「不明」とされている別の記事には「ドルイグには、明確な特定の神話があるわけではない」としながらもこう記述されている。
イギリスのフォークロア協会は、drac、dreag、drook、その他のいくつかの愚かな名前とともに、ドラゴンの同義語として「druig」を挙げている。
How Marvel's 'Eternals' got their mythic names
エンディングでも示されるように彼らのコスチュームの円などの文様は数々の神話や、フォークロア、考古学的な遺物から取られている。ちょっと名前に拘ったのは、私には特別な想いがある名前が含まれているから。そして、この物語の奥深さが感じられるから。
どうか日本で受け入れられて欲しいと祈る気持ちでいる。