HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

SFとしてのファイアーボール

本作品はSFとして完璧だ。短いアニメーションフィルムであり、かわされる会話はどこかおかしい。すれちがってばかりだ。しかし、ここに至る状況、歴史の流れは考え抜かれている。"SF is Fabulous."なのだ。

いかにも遠い未来、ありふれた惑星にて___。世界は、「ハイペリオン」と呼ばれる機械じかけの貴族たちに支配されていました。これは、「テンペストの塔」と呼ばれるお城に住む、おさなき君主と、その執事による他愛のない日常を描いた物語です。彼らは、世界をほんの少しだけ正しいかたちに導けると信じていました。

ファイアボール チャーミング|テレビ|ディズニー

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本作に「ハイペリオン」が出てくる時点で感涙。もっとも、ここでは原義のギリシャ神話の「ティーターン」、神の意味で使われている。

hpo.hatenablog.com

本作のWikipediaを書いた方は相当なファン。読んでいるだけで、ああ、この物語に感涙しているのは私だけではないと愛が伝わる。

ましてや、この方の年表!!!実に力作。イルカはまだ当分絶滅する様子はないので、少なくとも5万年近く未来のストーリなのに、なぜ各所に英語で表示がなされ、ドイツ語の名前を持ち、日本語を話しているのか。すでにこの時点で「高い城の男」の設定をSF妄想せざるをえない。この状況は、第二次世界対戦で枢軸側が勝ち、その後の宇宙進出、ロボット開発も、米国の技術を使ったと。そして、どこかの惑星で日本人が主人となって高度なロボットに独裁国を作らせたのだ。

高い城の男 (ハヤカワ文庫 SF 568)

高い城の男 (ハヤカワ文庫 SF 568)

本作がよくよくSF世界として考えられていると感じるのは、ちょっとした端々に出てくる言葉も綴りを含めて完璧であること。しかも、それらの単語が「記憶」、「重力」といった思考と時空間の関連をほのめかせている。

"Turm"は、ゲデヒトニスとお嬢様のゲームの盤に書いてあった。

ドロッセルお嬢様の夢の黒板の言葉たち。"Zukunft"(未来)、"Schwerkraft"(重力)、"finistinis"(スウェーデン語???)、"Geschichte"(記憶)。本作の中で、「お屋敷が湾曲しているので、バイクが止められなくとも戻ってくる」ことや、そのバイクをお屋敷を傾けて止められたことから、実際に思考で重力を制御する技術をもっていることが伺える。

次回作、「ユーモラス」(体液の意味だと初めて知った)が楽しみだ。

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■追記

用語集を発見して、更にSF妄想を膨らませている。

ウラノス
 ドロッセル達の住む国。ドロッセルはこの国のテンペスト領を統治している。
 元ネタはギリシャ神話の天空神。ガイアの息子にして夫。クロノスの父。天王星の名前でもある。
 プロスペロ、ベリンダ等、ドロッセル周りの用語には天王星の衛星の名前繋がりのものが多い。

ファイアボール用語集 / ファイアボールの用語解説サイト

もし、天王星系が「ウラヌス国」である、「テンペスト領」とは、このうちの「ミランダ」、「アリエル」などの衛星の統治であるとすると、以上に大きな「メルクール歴」も説明できる。第1話の48650年とは、4865 x 1.413479(ミランダ公転周期)÷ 365.25(地球年) = 188.27... と、ロボット達の「新しさ」、言語の伝承のよさなどを説明できる。メルクール歴の2万年前なら地球暦の100年ほどとなる。

天王星の主な衛星

天王星の衛星と環 - Wikipedia


■追記 その2

わかっているつもりだったが・・・。

考えてみれば、本作は「ゴドーを待ちながら」そのもの。

「ダイヤモンドエイジ」も面白そうなので読む。

ダイヤモンド・エイジ (海外SFノヴェルズ)

ダイヤモンド・エイジ (海外SFノヴェルズ)