HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

人口予測と感染予測

昨日、永江さんが人口問題の方が新型コロナウイルスより重大であるというツイットをされていて共鳴した。日本は年間百万人以上死ぬ老齢国家だ。少なくとも第一波、第二波で千人以下しか死ななかった新型コロナウィルス禍と比べれば、年間で千倍の重要度といっても過言ではない。永江さんが引用されているエントリーは昨年拝読していた。読んだ当時もどうにもならない日本の状況に大変怒りを覚えたのを記憶している。

世界人口はコロナによる大量死が報告されているにもかかわらず増加が続いている。世界の1億人以上の人口を抱える国で人口減少しているのは日本だけだと。

もとに返って、永江さんのツイットに思わず反応してしまったのは、新型コロナウィルスの感染拡大予測に使われているSIRモデルと人口予測に使われるロジスティックス式、ゴンペルツ曲線のモデルが同様の手法による予測であるからだ。J Satoさんに、今回の感染拡大においてもSIRモデル、集団免疫よりもはるか手前で感染速度が落ちて、S字カーブになる指摘があると教えて頂いた。現在、ゴンペルツ曲線は勉強中。

qiita.com

こうした流れで、以前勉強して、エントリーをおこしたものの中途半端に放置していたこれらのモデルに似たロトカ=ヴォルテラモデルの日本の人口予測モデルをスプレッドシートで改善してみた。

hpo.hatenablog.com

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ロトカ・ヴォルテラの方程式 - Wikipedia

ざっと係数をWorldmeterの人口データにフィッティングさせた。Worldmeterの日本人口のデータは2018年までが実績。その先は国連の予測値となっている。今回は詳しく述べないが、ロトカ=ヴォルテラモデルの「捕食動物」を65歳以上と仮置きした。この手のモデルでは毎度のことながら、1950年の総人口、65歳以上人口とピークのデータだけで百年先の2050年の人口データにフィットするのはすごいなと。疫学者の方々がSIRモデルに夢中になる気持ちもわかるなと。初期のデータだけで相当先の感染世代まで予測可能にできるのだから。今回は1950年から2050年の百年間の日本の人口推移が二つのデータ、4つのパラメーターでフィットさせた。

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しかし、2010年のピーク以降がどう係数を操作してもフィットない。ここからのデータを切り分けてフィッティングし直した。

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ほぼぴたり重なった。係数のうち、65歳以上の「捕食」人口と、65歳未満の「被食」人口の交叉の係数BとCは変えていない。国連の予測、総務省の予測は2010年以前の傾向よりもはるかに「楽観的」に予測を出しているように見える。2010年までフィットしていた特殊出生率と関わりの深い「被食」人口の増加係数、Aが1.7倍。「捕食」人口の減少を示す係数Dが3倍程度になっている。グラフを見ると65歳以上人口の比率があまり増えないように「予測」していたように見える。

あくまでロトカ=ヴォルテラモデルによる素人芸の近似だが、2010年までをフィットさせたグラフから読めば、2050年には総人口が85百万人、65歳以上人口が過半という恐ろしい状況となる。繰り返すがこれは100年単位のモデルへのフィットなので若干の出生率の上昇、65歳以上人口の減少率の増加では結果は大きな変動をしない。有り得るとすれば、SIRモデルと同様これは「閉じた」モデルなので、外部からの大量の流入流入者の桁の違う出生率程度しか、人口維持の策が考えつかない。

感染予測の「四十二万人死亡説」が外れたように、私の「四千二百万人人口減少説」が大外れに外れることを祈るばかりだ。