以前からカミュの「ペスト」がコロナ禍で話題になっているのは知っていたが、難解だろうと「食わず嫌い」をしていた。最近、また本屋に足を運ぶようになり見つけたのが本書。
こういう時に読むのは「デカメロン」。カミュなんて読んでも日本人にはわからない。 https://t.co/Ql5UwIJcAx / “カミュの小説「ペスト」在庫切れ相次ぐ 伝染病の脅威、後手に回る行政 現状と重ねてか - 毎日新聞” https://t.co/cuALyWwmA9
— ひでき (@hidekih) 2020年2月28日
とっても反省した。
すみませんでした。私の思い込みを反省します。漫画版ですが #小川仁志 さんという哲学者監修の「ペスト」読みました。まさに現代の新型コロナウイルス対策に必要なことが書いてありました。https://t.co/DHQ0mixQbN
— ひでき (@hidekih) 2020年8月20日
感染症の大流行が起こったときに支配的になる恐怖、絶望、強権、狂信、利害などを見事に描いていることが伝わった。「感染症と戦う唯一の武器、それが誠実さ」というセリフにはしびれた。私は全く人のことは言えないが、今回の新型コロナウイルスの蔓延で人は恐怖や、怒り、欲望の前では冷静な判断はもちろん本来の自分の力を全く発揮できなくなるのだと知った。仏教の貪瞋痴を離れよという教えは、いついかなる時代においても真実であると。人の心はあまりに脆い。恐怖の前では、寛容さを忘れてしまう。中でもこれだけ子供たちの人権が侵害されているにも関わらず、「人権は普遍的だ」と主張する方々、あるいはユニセフなどからのアクションがないのが私には理解できない。じゃあ、お前はと言われるだろうから予め明記しておけば、小さな金額だが、私はこの前後で学校等子供の学ぶ機会を増やすためになにがしかの寄付を起こっている。これからもしていくつもりだ。
まんがなので完全には伝われないが、ペストによってこの街に分断が生まれたことが描かれる。まさにこれが今後起こることなのだろうと考える。検査シーヤ派、スンナ派など日本語のツイッター界隈等でも議論はかまびすしい。感染者に対する非難、不寛容さが発揮されている。ましてや、米国や欧州、アジアにおいても新型コロナウイルス禍がきっかけとなったデモ活動、抗議活動が続いている。ああ、日本の航空機におけるマスク着用の議論もあった。
新型コロナウイルス騒動により経済的な問題や、自粛による健康問題が生じ、大変なことになるなとは予測していたが、まさか感染者が日本においてこれだけ迫害される状況になるとは考えてもみなかった。
「私達の社会は死刑によって支えられている」などもっと「ペスト」から汲み取るべき学びはたくさんある。機会があれば、原作にも挑戦したい。そうそう、中学の頃に十分に理解できなかった「異邦人」も。
- 作者:カミュ
- 発売日: 1963/07/02
- メディア: 文庫