フィナンシャルタイムスの「超過死」のグラフを見て、G7加盟国を始め、多くの国の平常とは違うレベルの死者数に驚き、世界がえらいことになっていると再認識した。ひと通り探してみたが、日本はどうなっているか調べたが統計が出てこない。そんな時、はてなブックマークでKenn Ejimaさんの素晴らしいエントリーを読ませていただいて小躍りしてしまった。
これは探していた統計!すごいぞ、日本、日本人!褒めてあげたい! / “国際比較に使える唯一の指標「超過死亡」で明らかになる実態 - 新型コロナウイルス情報室 - Quora” https://t.co/pRbDLZVRmF
— ひでき (@hidekih) 2020年5月5日
私のツイットをどなたかえらい方がリツートされたらしくバズっていて当惑している。みんさん自粛疲れで「うん、そうだよね、がんばってるよね。成果でてるよね」という肯定的な意見に飢えていらっしゃったのだろうと推測する。とはいえ、「インフルエンザ関連死亡迅速把握システム」にも速報であるがゆえの問題はある。
そこで、更に調べてみたが、超過死者数をフィナンシャルタイムスがどうやって各国データをリアルタイムで集計できるのだとうと考え込まざるを得ないくらい日本の公式の死亡統計が出てこない。出てきた速報は、万人から千人単位。逆に言えば、各国は万単位の死者数がでているから超過死者の統計が出せるのかもしれない。*1
ありがとうございます。総務省統計局月別推計を見つけました。社会的増減が分からないと超過死は出せそうにありません。毎年130万人余りが死亡し、日本人人口でも社会増減と合わせて50万人減って現状ではコロナ超過死はまだ誤差のうちでしかないとしか言いようがありません。https://t.co/2c011sk3na pic.twitter.com/uU8caBuvCX
— ひでき (@hidekih) 2020年5月5日
G7メンバー国のほとんどが万単位の死者を出している中、統計の中にまぎれこんでしまう程度数の死亡者で防いでいる日本は、本当に僥倖としか言えない。原因が全くわからないため、ツイットしたように、「日本、日本人すごい!」としか言い様がない。
そこで、通常の死亡と新型コロナウィルス関連死を比べてみることにした。具体的には平成30年の年代別死亡者と東京都の新型コロナウィルス関連死を比較した。
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1b1hB-Qs5_jTJ-1BUAtmSBJ5eIAUIFEmm2cRHD1_VY7I/edit?usp=sharing
敬服する東洋経済のグラフとも一致するように見える。
新型コロナウイルス 国内感染の状況
以前、「余命」の問題と既往症の問題については英国の統計との比較を試みた。英国の統計によると英国でも新型コロナウィルス関連死は高齢者に偏っており、さらに亡くなられた高齢者の方々の既往症と過去の統計で現れている通常の高齢者の方々の既往症とでは有意な差がないとしてされている。
では、日本はどうなっているのか?既往症についてはいずれ論文等が出てくるのだろうが、いま現在は適切なものが私には見つからなかった。では、せめて年代特性はどうなっているかと統計をあたった。平成30年の死亡者のうち、60代以上の方の割合は94%余りとなっている。先日発表された東京都の新型コロナウィルス関連死亡の統計で同じく60代以上の方が92%余りと大きな差になっていないように考えられる。ただし、グラフを見れば分かるように、50代から70代の方はコロナ死が若干上回っている。私も50代なので「新しい生活様式」を参考今後もによくよく感染には気をつけたい。
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000627553.pdf
新型コロナウィルスが発症し苦しまれている万を超える方々が一日も早く回復されることを祈りたい。そして、亡くなられた数百人の方々の魂が安らかなることを祈ってやまない。
今回大変僭越な統計の集計をしたが、改めて高齢化してしまった日本の実態を知ることになった。月間10万人以上の方が亡くなれ、人口が社会増を含めても前年同月比で年間40万、50万人と減っている現在では、新型コロナウィルスを正しく恐れることが改めて重要なのだと結論づけざるをえない。日本がなんらかの要因で本当に恵まれている状況にあることが把握されたなら、ここから先は経済による「死」をいかに防ぐかが肝要になる。
そうした文脈で、井上純一先生の「キミのお金はどこに消えるのか」は大変分かりやすく参考になる。よくよく勉強したい。
日本における新型コロナウイルスエピデミックの先が見えてきたので、次は経済のお勉強。なんとしても避けなればならないのはこれ、
— ひでき (@hidekih) 2020年5月5日
キミのお金はどこに消えるのか (角川書店単行本) https://t.co/V6mHjCAP8k pic.twitter.com/bJeOplmAtB
ちゃんと今回のコロナショックの対策も書いてある!
— ひでき (@hidekih) 2020年5月5日
①公共事業をちゃんとやる
②公務員を増やす
③教育、医療に使うお金を増やす
多分誰もが今の状況なら文句言わない。
- 作者:井上 純一
- 発売日: 2018/08/04
- メディア: 単行本
■追記
「人口動態推計速報」というのがあることを教えていただいた。
政府はコロナ死を肺炎に紛れ込まれているに違いない! みたいな陰謀論に不安な人は自分でデータ見てみればいいと思うの。人口動態の速報値というものが出てましてね。今年は去年より減ってます…。(2月までのデータ)https://t.co/1JltEob0n6 pic.twitter.com/SSZtP9neNW
— 岡沢 秋(maat) (@Aki_Okazawa) 2020年5月6日
■追記
さらに、欧州のデータサイトを教えていただいた。これを見ていると今回の新型コロナウィルスに対する考え方を変えざるを得ないのではないかという気持ちになる。
おそらくフィナンシャルタイムズ、欧州に関してはここから引いてきたものと思いますhttps://t.co/CpqzJk6i79https://t.co/AbssASt98V
— Sugiyama Jun (@genki2010) 2020年5月9日
ちょっとすごすぎて別のエントリーにまとめる。
*1:後に欧米ではデータの互換性が高い形式で種々の統計を出しているらしいと気づいた。後でエントリーを起こしたい。www.euromomo.eu