男女という有性生殖が進化によって獲得されたのは、主に感染症対策であったという話し。底本はマット・リドレーの「赤の女王」。
更に、病原菌との「軍拡競争」は免疫システムのように寄生側と宿主側の分子生物学レベルの「鍵と錠前」の攻撃と防御となる。これは、鍵と錠前の数の問題となる。このために、本来数を増すだけながら有利であるはずの無性生殖ではなく、多様な鍵と錠前を生み出す有性生殖が「赤の女王」の軍拡競争には必要なのだという議論となっていく。
取り違えた赤の女王 - HPO機密日誌

赤の女王 性とヒトの進化 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
- 作者:マット・リドレー
- 発売日: 2014/10/24
- メディア: 文庫
今回のコロナウイルスが何らかの形で変異して大流行してしまったように、ウイルス側は常に変化を続けることで「利己的遺伝子」そのものとして存続してきた。進化のスピードの目安である世代交代の数は動物の比ではない。なにせ人間は次の世代を産むのに18年あまりかかるのに、最近は1年で3万世代余り、18年で50万世代移り変わってしまうのだ。この進化、変異のスピードに多少なりとも追いつくには、細菌の類の単性生殖に対して有性生殖という次の種に移り変わる時に、数限りないバリエーションを産むことを動物側は選択したと。人間の47本の染色体が父と母から2分の1の確率で選ばれるので、2^47、1.4x10^14のバリエーションが生まれる。
一億年のはかり方 - HPO機密日誌
1億年
私には医学も生物学の知識もないので、実際には人間の染色体のうちの何本に抗体に関する遺伝情報が入っているのかは知らない。それでも、複数の染色体に複数の抗体情報がはいっていて、その組み合わせでかなりの数の対抗力が生まれるのだと信じる。
つまりは、有性生殖とは細菌に対する情報交換なのだ。そう考えると、キスをしたり、セックスしたりして粘膜をこすり合わせること自体が体内の細菌の交換に見えてくる。男女が性的な魅力を感じる対象に常に「旬」が求められるのも、性愛と細菌関連情報が関連しているのだと思えば、納得できる。
前から不思議でならないのが、これまでの人類の歴史とともに性的なソースは積み上げられてきたはずなのに、現在の成人誌はあくまで現在進行形のコンテンツを扱っていること。
交配可能性と異性の好もしさ - HPO機密日誌
古くはデカメロンも、伝染病の時は無理にあらがうのではなく、隔離された状況で男女の性愛を堪能しながらやりすごすしかない、次代のための情報交換に励むしかないという物語と読める。
まあ、できることはやってあとは様子を見るしかないと。
すげー暴論になりますけど、広がってしまえば、病原性ウイルスは弱毒化する方向に変異していくので、普通の風邪並みになるんじゃないっすかねぇ
— まっくろなねこ (@blackcat009) 2020年2月15日