HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

一億年のはかり方

1億年がどれだけの長さか実感できない。一度イスラエルで紀元5000年前、いまから7000年前と言われる城壁の跡を見た。そこで、初めて人類の歴史の1万年というのは確かに目で見、手で触れるものだと実感した。1億年とは実感可能な1万年の1万倍だとは数字の上ではわかる。しかし、1億年前にはまだ地球上に恐竜が跋扈していた。動植物はおろか、大陸の形すら今とは全く違う。自分と自分の種にとっての1億年をどうやったら自覚できるのか?

白亜紀(はくあき、白堊紀、Cretaceous period)とは、地球の地質時代の一つで、約1億4,500万年前から6,600万年前[4]を指す。この時代は、前のジュラ紀から続く中生代の最後の時代である。次の時代は、新生代第三紀の暁新世である。

白亜紀 - Wikipedia

朝起きて用を足したあと、ふと細菌から人間まで、生物種にとって世代交代するのに必要な時間で1億円を割ったらその長さが実感できるかなと考えた。そこで作ったのが、以下の簡単な表。

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1億年

*1

進化に必要な世代数が約40万世代とは「眼の誕生」から。眼のように大きな進化の成果ですら40万世代で可能となる。であれば、その程度の「大進化」は1億年の間にどれくら可能か?

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眼の誕生

In the Blink of an Eye、「眼の誕生」 読了(ネタバレあり) - HPO機密日誌

そもそも、細菌こそが最強の進化の主体、「大きいもの、強いものが生き残るのではなく、環境に適応するもののみが生き残る」という原則から生存確率を適当にはめているので、つっこみどころは満載。少なくとも、人類は確実に1億年は生き残れないだろうとは想う。

世代交代と絶滅の可能性と進化の可能性から言えば、人間は1億年の間に560万回、世代交代が可能となる。ただし、絶滅時計が示すように1世代のうちに絶滅してしまう可能性は決して低くはない。「眼」のような大きな進化の可能性が15回は与えられているがその前に死滅する可能性が高い。

対して、樹木。1億年で2500万回世代交代が可能。植物界は陸生のものだけでも数億年に渡って絶滅を免れてきたので、今後1億年も生存している可能性が高い。進化の可能回数も多いが、あまりに多様に進化しているので、人間の絶滅など大きな生存圏の変動がなければ現在の形で生存しつづける可能性が高いのではないだろうか?

こうした多細胞生物と対象的なのが、細菌のたぐい。わずか20分で世代交代可能。DNAの構造が同じという意味では、1億年で7百万回以上大進化を遂げる可能性がある。私達の見ている間にも、抗ペニシリン細菌とか、細菌ではポリオワクチンとして毒性をなくしたはずの株が猛毒を再現してしまうケースもある。動物の性は細菌に対抗するためにできたという説もあった。そもそも人間でも、細胞が40兆に対して共生している細菌は100兆だと聞く。進化、変化を一番アドバンテージにつなげているのは細菌ではないだろうか?

(病原菌、バクテリア、ウィルスなどの)寄生者と宿主との進化は、密接にからみあっている。寄生者の攻撃が成功すればするほど(より多くの宿主に取り付くにせよ、より多くの資源を個々の宿主から奪い取るにせよ)、宿主の生存のチャンスは、防御法を見つけ出すことができるかどうかにより強くかかわってくる。そして、宿主がうまく防御すればするほど、寄生者はこの防衛体制をかいくぐるよう自然淘汰されていく。どちらかが優勢に立つかは、振り子のように行ったり来たりを繰り返す。どちらか一方に窮状が増せば増すほど、それは、よく戦うようになるだろう。これは、まさに赤の女王の世界である。そこには勝利はなく、一時的な休息があるだけなのだ。

取り違えた赤の女王 - HPO機密日誌

*1:Googleスプレッドシートで作成。最近物騒なので、共有等するのではなく関数だけ羅列しておく。
3列=round(100000000/B2,0)
5列 =1-(1-B4)^B3
6列 =round(B3/364000,0)