NHKでしばらく前に「デュアルライフ」という田舎の空き家の活用を紹介していた。仕事は便利だが高くてせまい街なかの家を拠点とする。子育て、レジャーは不便でも安く住めて、広い田舎の家を拠点とする。そういうライフスタイルだそうだ。
人口減少もようやく負の側面ばかりではなく、「楽しむ」方向にも評価されだしているようだ。都心の高くて狭いけど便利な住居と、否かの安くて広くて子育てできる住居の「デュアル」ライフを楽しむ方々が出てきたと。一人あたりの住居面積がなんらかの方法で倍増することが景気対策、空き家対策にもなり、今後の日本のライフスタイルを豊かにすると私は思う。
中野信子「不倫」読了 - HPO機密日誌
現在読んでいる高橋洋一氏の「未来年表 人口減少危機論のウソ」も人口減少をポジティブに捉える思考であり、これからを楽しく行きていくために必要なアプローチではないか?
こうした中、CNNの日本の空き家特集は大変ことの本質を捉えた内容であったようだ。
すでに世帯数を大きく超える住宅がストックされており、なおかつその多くの「品質」が永続させていくには足りない。いわゆる負動産化してしまっている。
日本は20世紀に2度の人口急増を経験した。1度目は第2次世界大戦後、2度目は経済が急成長した80年代に起きた。この2度の人口急増が住宅不足を招き、人口密度の高い町や都市に安価な量産型の住宅が急ピッチで建てられた。
しかし、量産された住宅の多くは質が悪かった、と富士通総研の主席研究員、米山秀隆氏は指摘する。その結果、日本の人口の約85%が新築を選ぶ状況となっている。
住宅の寿命についていろいろ調べてきた。まさに量産型の住宅が問題であることは統計上からもあきらか。
ただ、逆に平成に入ってからかなり高品質の住宅が建築されているにもかかわらずローンを始めとする、買い替えなどをして、リノベーションや、メンテナンスしていくにはバックアップ体制が追いついていない。
CNNの弁護士夫妻の例のように、不動産は活用する意思によって大きく価値が変わる。限界効用低減というか、多く持っていても自分が十分に住んで価値を味わえるのはせいぜいひとつか、ふたつ。使わない不動産はまったく負動産と化す。一方、田舎の土地を使いたいという一定層も確かに存在する。田舎でもカフェを経営する、自分の趣味の空間とする、などなど。前述の通り、とにもかくにも人口減少により「負動産」となった資産をいかに生活を楽しむために使うかをこれから考えるべきでだ。私は住宅に関わる仕事をしてきて、一人あたりの空間の広さはかなり幸福度と比例関係にあると理解している。