一昨日から悩んでいて結論が出ない。平均寿命とは、今年生まれた赤ちゃんが、各年齢での死亡率をかけて行って50%を下回る年齢を言う。確かに、発表されている現在存在している住宅の寿命の加重平均をとれば25年前後になってしまう。
しかし、下の表の「残存率」を見てもらえばわかるように「平均寿命」を「残存率=50%」ととらえれば、この表からすでに40年から60年の間である可能性が高いことがわかる。
同様に、1970年代以降に立てられた建築物は、90%以上存続している*1。戦後の質の悪い住宅は、昭和50年代(1975年以降)にかなり解体された様子が着工戸数と住宅ストック数の統計の差を見ると感じられる。また、昭和61年(1986年)以降、平成3年くらいまで年間100万戸単位で解体されている。しかし、年間の解体の数は近年40万戸程度に減ってきている。
解体予備軍の空き戸数が数百万戸あるという統計もあり、実態にどこまで近づけたかわからないが、現在残っている住宅の平均寿命に相当するものを住宅の残存年数の統計から推定すると、住宅の平均寿命は40年を超え50年に近いくらいだと思われてならない。
- 住宅と世帯数 juutaku081121.xls (エクセルファイル、49.5K)
建築年代 | 経過年数 | H10時点の構成比 | |||
構成比 | 戸数(千戸) | 同期間着工数 | 残存率 | ||
不明 | 2.30% | 1,156 | |||
1944年以前 | 65 | 3.80% | 1,910 | 13,700 | 22% |
45〜59年 | 42 | 5.90% | 2,965 | 5,018 | 59% |
60〜69年 | 35 | 12.50% | 6,281 | 8,382 | 75% |
70〜79年 | 25 | 26.20% | 13,166 | 15,310 | 86% |
80〜89年 | 15 | 27.30% | 13,718 | 13,600 | 101% |
90〜98年? | 10 | 21.90% | 11,005 | 11,950 | 92% |
しかも、この統計は平成10年の調査の数字に主に基づいている。これ以降ますます鉄筋コンクリート造、鉄骨造などが増え、耐震化が図られている。このことを考えに入れると、すでに米国の70年に近い住宅の寿命は日本において達成されているのではないだろうか?福田前総理が提唱されていたのが、100年住宅ではなく200年住宅であった理由はこの辺にあるのではないだろうか?
■参照
- 日本の住宅問題を考える @ 三井トラスト・ホールディングス
- 住宅ストックの現状 @ 経済産業省
- 住宅数と世帯数 @ 総務省 統計局
*1:ちなみに、残存率とは大正年代で建築された戸数で、現在建っている建築物の戸数を割った率と定義させてもらった。あちこちから統計を引いてきて、推計も入れているため、90年代以降の建築が92%の存続率で、80年代が100%を超えている。この矛盾は解決できなかった。しかし、80年代以降03年までとくくるとほぼ100%の残存率となる。