HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

Winner Takes Allの男女関係

「ライフ・シフト」を読み、超長寿社会の男女関係に思いをはせていた私は、このツイットにうなってしまった。

超長寿社会、健康年齢の大幅な延長が意味するのは、子供が埋める女子を地位と財産のある男子が独占する可能性がある。動物でも、伝統的社会においても、上層階級と下層階級とで男女の産み分けに差が見られる。トリヴァース=ウィラード仮説だ。

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乱婚系もしくは一夫多妻が認められた種においては、大きく力のある子を埋める親はオスを産み、小さな子しかうめない親はメスを産む傾向があるという。人間の伝統社会においても同様。

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)

そして、「ライフ・シフト」が示唆するライフステージが多層化する社会において離婚と再婚を通して、実質的な一夫多妻が実現しうる。地位と財産を持ち、年をとっても健康でいられる男子側に対して、子を持ちたい女子側は産める年齢が限られている。女子側からすれば、共働きをするにしても同年代の男子から引き出せるリソースはごく限られている。そもそも、「ライフ・シフト」の分析からも長くなっていく引退人生ステージを支えるためには働く時期には相当な「貯蓄」をしなければならないことになる。つまりは、仕事をする人生ステージにおいては、男女ともに死ぬほど働かないとならない。とすれば、年の差婚、しかも男子側が大幅に年上の結婚がパートナーシップを築く上で有利となる。女子側が働くステージであっても、十分に子を生み、育てるプロセスをサポートできるのは、余裕をもった「ポートフォリオワーカー」のステージの男子となる。

つまりは、「ライフ・シフト」、超長寿社会の到来がもたらしかねないのは、Winner Takes Allの男女関係だ。「ブラックスワン」のタレブの言葉に耳を傾けてみよう。

宗教が問題を和らげてくれる。キリスト教以前、力のある男が奥さんを大勢抱えられる社会はたくさんあった。そういう仕組みだと、底辺にいる男たちには子宮がまわってこない。覇者(アルファメイル)が生殖活動を独占する種はたくさんあって、それとあんまり変わらない。でもキリスト教がそれを覆し、一夫一婦制をルールにした。イスラム教は奥さんの数を四人までに限った。ユダヤ教も一夫多妻制だったが、中世に一夫一婦制を採用した。彼らの戦略がうまくいったのだと言えるかもしれない。(ギリシャ・ローマ時代みたいな公認の側室制度がない)厳密な一夫一婦制は、「フランス流」のうまいやり方でさえ、社会に安定をもたらす。性的に抑圧された底辺の怒れる男たち吹き溜まって、セックスできるチャンスをつかもうと革命を企てたりしなくなるからだ。

ブラックスワンが棲む「果ての国」の道徳律 - HPO機密日誌

実際、私にまわりでは二周目に入った男子が大幅に年の若い女子と結婚する、もしくはパートナーとなる事例を散見するようになった。いまの情報社会の技術を使って、どこかでバランスが取れることを祈る。全ては「対極」なのだから。