HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

マツダ復活を支えたリレーショナルバンク、広島銀行

「捨てられる銀行」が面白い。マツダ復活の陰に、広島銀行ありというエピソードは特に興味深い。

捨てられる銀行 (講談社現代新書)

捨てられる銀行 (講談社現代新書)

本書によれば、広島銀行マツダ本社から人を入れてまで、マツダ関連の企業の徹底評価をしたと。他をもって替えがたい技術や、商品をもっている会社であれば、金融的な支援はもちろん、財務的な改善、経営能力の向上まで指導したという。現在のマツダの繁栄の裏には、広島銀行が育てた関連会社群があるからだと。VWのディーゼルエンジンのデータ偽装が相当な問題となったが、マツダのクリーンディーゼルは揺るぎもしていない。この技術は関連会社レベルからの経営力向上があったからだと。

地方銀行でありながら、マツダを支えるまでに関連会社を成長させることが出来たのは、定性評価の手法があったからだと本書に書いてある。定性評価とは、これまでの不良債権を減らすために微に入り、細に入り細目を定めた金融庁の検査マニュアルの真逆だ。その企業の経営を定性的に評価する手法だという。経営品質の勉強を最近しているのだが、たぶんこの手法に近い。広島銀行出身で、現在は金融庁の部長をされている日下智晴氏が企業の定性評価の手法を広島銀行に定着させたと。

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私は以前からマツダ車に乗っている。まだ二代目だが、足かけ10年超え。現在は、クリーンディーゼルスカイアクティブ車だ。愛していると言っていい。

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実は、先日某所のマツダ関連会社の工場を見学する機会があった。大感激した。仕事柄いろいろな工場にお邪魔しているが、活気があり、品質向上の工夫が随所にあり、旧い設備を使いながら、新しい設備、ラインも作っているというかなり理想的な工場だった。マツダの資本も入っているので、このお会社もいまとなればきっと広島銀行の支援があってさまざまな投資をしてきているので、あんなに素晴らしい工場となったのだろう。自分の乗っている車の部品がこうして作られているのだと思うと、感慨深かった。

こうした広島銀行のようなリレーショナルバンクへの変革が全国の地銀に広がるのか?まだ、ちょっと本書の金融庁改革の興奮がほんものであるかどうか流れを見る必要があるが、大変未来に期待が持てる話しだ。