ダニエル・カーネマン教授のピーク・エンドの法則の話しを聞いた。
ピーク・エンドの法則(ピーク・エンドのほうそく、英語:peak–end rule)とは、われわれは自分自身の過去の経験を、ほとんど完全にそのピーク(絶頂)時にどうだったか(嬉しかったか悲しかったか)ならびにそれがどう終わったかだけで判定する、という法則である。ピーク以外の情報が失われることはないが、比較には使われない。それには喜びもしくは悲しみの総量、またその経験がどのくらい持続したかですらも含まれる。
ピーク・エンドの法則 - Wikipedia
(中略)
このヒューリスティクスは、ダニエル・カーネマン他によって初めて提案された。カーネマンは、人々が経験をその合計ではなく平均で知覚することから、これが代表性ヒューリスティックの例かもしれないと主張する。
30年前の学生の頃は、ヒューリスティックを「方略」と認知科学では翻訳されていた。最適解ではないが、簡単に答えが出てしまう人の認知の仕方を言う。これを商品の購買体験で説明された。例えば、車を購入で考える。車を購入したその商品の体験を満足度で表せば、日々の通勤でどれだけ便利であったか、燃費がどうだったか、人馬一体感はどうだとか、日常の体験こそが重要視されるべき。しかし、実際には購入する時の試乗で味わった接客の態度であったり(ピーク)、廃車、買い換えする時の売れた金額(エンド)で商品としての車の価値を決めるということになる。
ちなみに、このピーク・エンドを生半可なまま会社に持ち帰り話した。一人がこの理論こそ、建築していただいたお客様を負債でなく資産にする方法だと言いだした。建築はよくもわるくも長く顧客との関係が続く。施工している間によくもわるくもピークがある。建築したあとに、5年、10年、長ければ数十年に渡って建築会社と顧客との関係はメンテナンスなどを通して続くことになる。このメンテナンス、アフターフォローをきちんとすれば、施工中のピーク体験はなくならないまでも、いつでも最新の商品体験をしていただいてれば満足度を高めることができる。なるほどと納得してしまった。
しかし、これを男女の関係に適用すると恐ろしいことになる。ヒューリスティックでのみ日々の体験を評価するパートナーは、常に満足させていないと不満ということになる。また、どっかでピーク体験があれば、いやボトムというか、どん底体験があればいつまでもそのどん底体験で相手を評価するということになる。日常の日々の生活の中での体験は評価されないと。こわっ!
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