「地域再生の罠」は大変勉強になった。いまアマゾンに本書を十冊たのんである。届き次第しかるべき方々にお配りするつもりだ。
地域再生の罠 なぜ市民と地方は豊かになれないのか? (ちくま新書)
- 作者: 久繁哲之介
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2010/07/07
- メディア: 新書
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自分の仕事の一部を否定することになるが、コンパクトシティ化する費用があれば、バスや路面電車を保存すべきだ、という本書の主張は正しい。ハコモノを作るつもりなら、行政サービスで赤字であっても必要なサービスは継続すべきだ。いま、身近で再開発ビルの話しがあるが、あまりに権利調整に時間がかかったために、そもそもなんのためにやるのか誰もが目的をうしなったまま走り出している。本書で描写された景色が私の身近で再現されないことを祈るばかりだ。
地域の価値とは、自分が大好きで、誇りを持っている場所にすめることだ。その地域に住みたい、この地域が大好きだ、とは、経済的価値ばかりではない。地域に住むとは、人と人とのの絆、コミュニティーを守る覚悟を持つということだ。ふるさとの祭を思い起こしてみよ。祭に参加するのに金目当てのやつはいない。それでも、夢中で、人生をかけて参加する。その友愛の深さは例えようがない。
ハコモノ行政、大型商業施設が、成功するか否かは、自分でその施設のリピーターになれるかどうかではないか?
以前、帯広の「北の屋台」の話しを聞かせていただいたとき、数十万人の来場者の半分は地元だと聞いた。帯広の方はきっと屋台村が大好きなのだろう。成功の秘訣は、地元の人が行きたくなる施設に育て上げたことだ。
ハコモノ行政の必要性を全面否定するつもりはないが、自分が地元の人間であれば、そのハコモノを本当に利用するか、好きになれるかを真剣に自分に問う必要がある。競合するかもしれない、既存の施設と比べて見劣りしないか、自分の誇りを持てるか、生活者の目線を失っては行けない。
本書を、ご紹介いただいた、finalventさんに深謝。
そこで描かれてる風景は、地域の人間ならわかる独自の正確さを持っていることが理解できるはずだ。それは地元の生活者ならあたりまえのことではないかと思えることだが、しかし、その当たり前のことが書かれているだけで、独自の衝撃性を持っていることを本書は系統立てて説明している。
[書評]地域再生の罠 なぜ市民と地方は豊かになれないのか?(久繁哲之介): 極東ブログ