期待以上に得るところがある。
「陰」と「陽」の経済学―我々はどのような不況と戦ってきたのか
- 作者: リチャードクー,Richard C. Koo
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2006/12
- メディア: 単行本
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極東ブログで紹介されていたので、飛びついてしまった。
・[書評]「陰」と「陽」の経済学―我々はどのような不況と戦ってきたのか(リチャード・クー) by finalventさん
finalventさん、こんなに面白い本を紹介してくだり、ありがとうございます。
これから先の10年が楽しみになってきた。
また、過去10年も「合成の誤謬」とか「失われた10年」とか言われるよりも「集団知は案外正しい」と言われるべきだ。日本人は人類史上最大の経済危機を乗り切ったのだから。
以前聞いた堺屋元長官の話しと重ね合わせるとまた面白いかもしれない。
多分、あと10年は団塊の世代は元気だ。社会保障費用が危機的に伸びてしまうのはそれから先だろう。賢い団塊の方々は退職金と第二の人生で得られる収入を、完全引退後に必要な資金として貯蓄・投資する分、住宅ローンの返済する分、そして自分の人生の質を向上させるための支出に計画的に分けるに違いない。本書の論旨でいけば、どちらにせよ企業会計から家計にお金の流れを加速し、家計が資金を提供する側から、受ける側に変化する兆しになると私は考える。
人口構成から言っても今度こそ本気に国内需要主導で景気回復にはずみがつくのではないだろうか?
そして、本書の後半で議論される世界経済と日本経済のリンクに関するリスクに関して言えば、今度こそ日本が内需をもりあげるべきだろう。そして、内需といえば住宅だ。
世界経済の緊急のリスクは、米国の住宅ハブルが崩壊した後世界経済を牽引する需要が足りないということだ。中国の経済も不動産ん伸びなどによりGDPの牽引を除けば、米国の需要に負っているということは、本書の指摘の通りだと私も思う。
- 作者: 切込隊長・山本一郎
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2005/10/20
- メディア: 新書
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そして、バランスシート調整後の日欧に需要拡大の期待がかかっているのだと理解した。そして、日本で需要拡大といえば、なによりもより広い住宅をより高く売ることだ。私は、ローンを組む人達の中で「勝ち組」と言われるグループの負担力はかなり大きいことを知っている。後は損得で考える国民性から言って、大震災・偽装事件以来の耐震見直し、高層化・大規模化・権利関係複雑化による区分所有マンションの100年の耐久性の必要性、現場労務者現象の中での賃金の大幅な上昇の必要性などによる大幅な建設費のコストアップ、都市再開発政策による土地の希少性が再度高まっていることをきちんと報道し、中古、新築ともに人が欲しがる住宅の価格は今後大幅に上昇するのだという当然のシナリオに意識に転換してもらえば、直感的に2割から3割は価格を上げられる。もう低価格をてこに分譲マンションを売る必要はないのではないか?すでに大手ゼネコン5社はあまりの低価格とクレームの多さでマンション建設から手を引くという情報を聞いている。
ここを早急に転換させれば、日本国内需要全体が上昇すると確信した。そして、それは世界経済を救うことになる。
以下、雑多な感想。本書の正面からの主張はお詳しい方がされるだろうと思うので、ごく個人的な感想のみ。ただ、私も経営者のはしくれとして、クー氏の主張に共感を感じると書いてもばちはあたらないだろう。
それにしても引用されている本間正明氏と福井総裁のやりとりは興味深い。さすがに12月に本間氏がああいうことになるとは思わず、その主張を引いているのだろうが、もし関連があるのだとすると背筋が寒い。
本書の最初に出てくる株価と土地の下落率の比較だが、退場した企業、金融支援を莫大に受けている企業があることを忘れてはならない。東証の指数でなく、株価は時価総額ではかるべきでなかったか。
根本のところで企業への実質的貸出量の増加をマネーサプライと結びつけている部分は、個人的には納得できるが、経済学的に立証されているのだろうか?企業経営者であれば、これは非常に納得性が高いのだが、マクロ経済の中では逆につつかれるところではないだろうか?いや、素人判断に過ぎないが。
Bernankeってあのバーナンキかな?123ページね。あ、そうなんだ。自分で認めているように、かなりクー氏はバーナンキに批判的なんだね。
ナンピン買いというかナンピン借りとか有り得たとは思うんだけどな。バランスシートを改善するための投資は実際あったと思うし、低金利をてこに海外投資も有り得たとは思うんだけどな。うーん。あ、なるほど。その答えはインタゲ論の是非にあるのかな。
なんつうかずいぶん前に野村證券から毎週クー氏のレポートを送ってもらっていたことがあった。そのときは、「このアメリカの手先め!」みたいに「小さい政府」論者の私は反感を持って読んでいた。局面局面の経済の動きについてはさすがに的確だなとも他方感じていた。本書を読んで当時の主張からクー氏のは一貫していることがよく理解できた。10年同じことを言っている人を私は信じる。
ちなみに本書の貨幣の議論で主体の持つ情報に注目している部分は安冨先生を思い出す。とても満足!
- 作者: 安冨歩
- 出版社/メーカー: 創文社
- 発売日: 2000/11
- メディア: 単行本
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・[書評]貨幣の複雑性] @ HPO:個人的な意見 ココログ版
おっと、ちなみに安冨歩先生の新刊を発見!
複雑さを生きる―やわらかな制御 (フォーラム共通知をひらく)
- 作者: 安冨歩
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2006/02/22
- メディア: 単行本
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以下、ちとテスト。
◆追記
アマゾンで書評(参照)を書いていて、気づいたことがあった。
他方、著者のバランスシート毀損が「失われた15年」のデフレスパイラルの原因であるという主張が正しいとしても、新しいまっさらなバランスシートを持つ企業の新規参入が日本でもっと容易であれば、きっと全く違う結果、全く違う議論になっていたと、零細企業主の私は感ぜざるを得ない。
■追記
そうだったんだ。
>「バランスシート不況」とは私が言い始めたことで、今までそういう考え方はありませんでした。
こういうのを「車輪の再発見」というのです。
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"debt hangover"でぐぐってみたんすけど、どうも"personal finance"とかのからみばかりが出てくる。要は住宅金融公庫(旧)の固定金利で借りるか、審査ラインはあまいけどあとで変動する市中銀行の住宅ローンを使うかが"re-negotiable"かどうかということ?
私も地底人の仲間入りかな?