HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

ティッピングポイント

ももちさんの記事を読んで、こりゃあトラバしなきゃ!と思って「ティッピングポイント HPO」で探したらない!

Googleのティッピング・ポイント(分岐点)

Firefoxの共同ファウンダー、Blake RossがGoogleを批判する“Tip(ヒント*):信頼は得るのは難しく、失うのは簡単”という記事を書いた。Rossは最近のGoogleの検索で、Google自身の製品が検索結果の上位に置かれる問題を取り上げている。

ももち ど ぶろぐ|Googleのティッピング・ポイント(分岐点)―信頼は得るのは難しく、失うのは簡単。

自分の中では絶対書評を書いていたと信じていた。

ところがどっこい書いてない!「新ネットワーク思考―世界のしくみを読み解く」とのからみでちょっと触れていたくらいらしい。

ティッピングポイント」は本当に良書だ。今考えれば、ニューヨークの地下鉄の浄化作戦から、軍隊組織の編成方法、靴の流行などこの本で扱われた問題は、かなり本書による思考により説明可能であろう。たとえば、札幌のすすきのでも応用されているという「壊れた窓理論」は、ネットワークというよりも「ボーズ・アインシュタイン状態」的に収まるべ状態に収まるということかもしれない。

まともな書評すら書いていないことに、自分でびっくりした。ブログで書いて、「その絆がぁ」とか、「リンクの構造がぁ」とか言っているきっかけのきっかけの本であるのに。

ティッピング・ポイント―いかにして「小さな変化」が「大きな変化」を生み出すか

ティッピング・ポイント―いかにして「小さな変化」が「大きな変化」を生み出すか

どっかで書いた気がしてならないのだが、昔いっしょに働いていた女の子が仕事をやめるときに「この本はあなたにとってとても大事な本になる気がするからあげるわ」と言ってくれた。そのときは、通り一遍読んでみて、ああおもしろい本だなという程度で終わっていた。ブログを書くようになってから、この本が示唆することの大事さがよぉ〜くわかった。

はてなの紹介ページに実に端的に書いてある。

「あるアイディアや流行もしくは社会的行動が、敷居を越えて一気に流れ出し、野火のように広がる劇的瞬間」。これが大きな話題を呼んだティッピング・ポイントの内容である。売れなかったモノが爆発的に売れたり、犯罪率が著しく増減したりといった謎の多い現象を解明しようとしたのが本書である。

これは、複雑ネットワークの言葉で言えばパーコレーションの問題だということになる。

ちなみに、「ミュージカルバトン」はかなり典型的なパーコレーションの問題だと想う。パーコレーションとは、例えば伝染病やうわさばなしのように、正規格子のようなネットワーク上で、どういう経路をたどって、どういう伝え方をすれば、広がっていくかという問題のことだ。

ミュージカルバトン: HPO:個人的な意見 ココログ版

ももちさんの孫引きになってしまうが*1、このfirefoxのfounderの方の言葉を考えなおしてみると、深い意味を感じる。

世論が手のひらを返したように一変するティッピングポイント(水面下にためこんだ不満なり人気が弾ける瞬間。分岐点)に直面している恐れもあるのだ。

ももち ど ぶろぐ|Googleのティッピング・ポイント(分岐点)―信頼は得るのは難しく、失うのは簡単。

ロングテールとか言われている現象の本質って、たとえ今売れ筋でない商品であっても、いつかはわからないがそのうち必ず売れる商品が出てくることが本質なんじゃないかなとか思う。売れない商品がアグリゲイトに大きな比重を占めるようになるというのは、べき分布のべきの係数の問題にすぎない。ということは、その商品系列の売れ方の特性に大きく依存する。

逆に言えば、いまヒーローみたいに売れている商品であっても、必ず売れなくなる日が来る。それは、ティッピングポイントの裏返しの現象だ。なんつうか自己組織化臨界現象というか、砂山に砂をもっていけば必ずどこかのポイントで砂崩れが起こる。それは内部で砂の重量と抵抗の間のつりあいなのだが、どこでくずれるのかは最新のコンピューターでも予測できない。ただ、崩れる砂の多きやタイミングはべき分布することはわかっている。

この辺の循環というか、大きいものと小さいものの交代とか、いまは無用のものであってもそれがあるから用のあるものが生まれるみたいな、陰陽対極にどうしても私の思考は向かってしまう。

ちと、ももちさんの問題意識に正面から答えられずにいる自分がもどかしいが、今日はとりあえずこの辺でやめとく。

■追記

そっか、ウェブ2.0もティッピングポイントを通過したからバズワードになったということか。

この壁が、a.技術の進展と、そしてb.「普通の人」のことを考えてサービスを考える人(好奇心ではなく、ビジネスとしてWebを考える人)の増加で、ゆっくり下がっていき、感覚的には、2年くらい前に、いわば「ティッピング・ポイント」(これもバズワードです。爆発的に普及するか、まったく普及しないかを分ける点とでもいえばいいのかな?

今更ながらの Web2.0。 簡単なまとめ。 - 情報流の流れに身を任せ。

■追記 その2

さらにももちさんからとらばいただいた。まだ咀嚼できていないので、よく考えます。

しかし偶然は破棄できない。ただ、それを聖別するある終極点に停止するまえに全思考は出発する骰子一擲を

ステファヌ・マラルメ:「骰子一擲」)

ももち ど ぶろぐ|格差社会の世渡り 努力が報われる人、報われない人:中野雅至。

この詩はとても素敵!

■追記 その3

「割れ窓」理論は本書で読んだことがある。複雑ネットワークの一現象、パーコレーションの例として解析されるべきだと私は信じる。

割れ窓理論については(ご引用のWikipediaにも批判記載があるとおり)その科学的エビデンスが明確ではなく、不寛容政策に結びついて厳罰化を招く傾向が強いこと、厳罰化は犯罪学的には犯罪者率の増減とは関与せず、社会的コストを増大させるだけの結果になりがちであること等は良く知られている通りです。

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*1:どうしても元記事が表示できないので。