HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

「非線形科学」を読了する

べき乗則相転移、熱力学、生態学、ネットワーク、パターン、カントール渡辺慧先生の短い時間・長い時間などがいっぺんにつながった。

非線形科学 (集英社新書 408G)

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ちなみにこの本は売れてるんですなぁ。

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いや、それはともかく。目次を見ているだけでもうれしくなってしまう。

第一章 崩壊と創造 新しい科学の予感/マクロ世界の二つの制約/自然の「能動因」は何か/熱平衡の世界の多様性
第二章 力学的自然像 自然の対流と実験室の対流/運動法則と状態空間/決定論とゆらぎ/定常、振動、カオス/分岐現象
第三章 パターン形成 「劣化」しない反応系/振動のメカニズム/チューリング・パターン/対称性の自発的破れ
第四章 リズムと同期 どこにでもあるリズムと同期/振り子時計と慨日リズム/集団同期現象/個と場の相互フィードバック
第五章 カオスの世界 マクスウェルとポアンカレローレンツ・カオス/パイこね変換/個体群生態学とカオス/時空カオス
第六章 ゆらぐ自然 「正常な」ゆらぎ/臨界ゆらぎ/フラクタルなゆらぎとフラクタル次元/ネットワーク理論/スケールフリー・ネットワーク

考えてみると大学時代にパターン認識について佐伯先生の認知学の叢書に興味をもったところからいろいろはじまっている。隣の研究室では脳波のパワースペクトル分析(ゆらぎ)と感情について研究していた。新たしい科学が始まる胎動を感じた。

地形や樹木の形、浜辺の波、木々の音、蛍の明滅、為替や株の値動き、地震の大きさ、そして、ネットワークの本質の形。こうしたものに「非線形科学」を学ぶ前の人間が、言葉もしゃべれない子どもですら、パターンを見てしまうことが私にとっては驚異である。美の極致である。

天上の星と我が内なるパターン認識