HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

ブラックスワンを読むための私家版参考図書リスト

ま、和訳本の下巻も読み終わってもいないのにという世界なのだが。上巻を読んだ時点で、原著との違和感はない。

蔵本先生のご本は一読の価値がある。ごくごく小さな誤差程度の値が、パイ包み焼き効果、じゃなくてパイこね効果によって大きな差を産むということのメカニズムが本書を読むとよくわかる。

非線形科学 (集英社新書 408G)

非線形科学 (集英社新書 408G)

  • ファイナンス

ま、なにより作者自身の前著が「ブラックスワン」を金融の分野に限って解説している。これはなかなか秀逸で分かりやすかった。ブラックスワンでも出てくるネロが大活躍。

参考図書の参考図書がなくてはならない。「まぐれ!」を理解するには「仮想敵」であるブラック=ショールズがわからないと面白くない。ブラック=ショールズをわかるためには、最低IRRとか、NPVとかわかって、CAPMがわからないといけない。

この辺を中学生の数学ベースくらいで、ごく簡単に解説している本がその辺にあってもよいのになと思った。実際米国人でMBA入ってくる連中でまともに微積は理解されていないと思うし、ファイナンスの基礎を学ぶのに二次方程式がわかれば十分だと思う。よい教科書知っている人がいたら教えてほしい。

あ、なによりもこれ!これ読んでから「ブラックスワン」は読むべき。これ読んで、ベキ乗則とはフラクタル分布と呼ばれるべきだと思った。

禁断の市場 フラクタルでみるリスクとリターン

禁断の市場 フラクタルでみるリスクとリターン

これにファイナンスの基礎的なことも書いてあった(はず)。

やっぱり、これは外せない。

新ネットワーク思考―世界のしくみを読み解く

新ネットワーク思考―世界のしくみを読み解く

    • とけた水と角氷

時間の問題はベキ乗則と深くかかわっている。

時間の矢 コンピュータシミュレーション、カオス―なぜ世界は時間可逆ではないのか?

時間の矢 コンピュータシミュレーション、カオス―なぜ世界は時間可逆ではないのか?

さらに、安冨歩先生、渡辺慧先生へとつながっている。

ヒューリスティックな視点からの分析であったと記憶しているが、いかに人間がトンネルにとらわれているかということは理解できた(ように思う)。

緊急時の情報処理 (認知科学選書)

緊急時の情報処理 (認知科学選書)

佐伯胖先生がまとめられた認知科学の選書はほんとうにすばらしかった。時代を超えて読まれるべき本があった。

知るということ―認識学序説 (認知科学選書)

知るということ―認識学序説 (認知科学選書)

ハイエクはこれしか読んでいないので、これだけ。

ハイエク―自由のラディカリズムと現代

ハイエク―自由のラディカリズムと現代

あ、これもわかりやすかった。

ハイエク 知識社会の自由主義 (PHP新書)

ハイエク 知識社会の自由主義 (PHP新書)

まだ読んでない。良い本があったら教えてほしい。


ああ、われながらなんて中途半端な「参考図書リスト」だろ。


中途半端ついでに小話。某所で、一生懸命「ブラックスワン」の上巻を読んでいた。

「ああ、これって小説なんだろう?」

「ん?ま、ちょっと物語的なところもあるけど小説じゃないよ。」

「えっ?だって、有名じゃん?文化大革命の内幕を書いた自伝的小説なんだろ?」

「あー、それはワイルドスワンね。これはブラックスワン

ワイルド・スワン(上)

ワイルド・スワン(上)

お後がよろしいようで...。