HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

「信長の原理」

小説としても一気読みする面白さだった。さらに、歴史的公証などほとんど博士論文を読んでいるくらいの勢いで戦国時代の流れが理解できた。

信長の原理

信長の原理

「光秀の定理」と表裏をなす本作。「定理」は数学だったが、「原理」はべき分布だった。

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信長がべき分布という宇宙的な「原理」を知っていたらどうなるか?見事の本作で描かれている。観点としては"winner takes all"なのだが、組織論としては"long tail"の方であり、現在活躍していない家臣であっても抱え続けるという方がべき分布のあるべき解釈ではないかとは思った。

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それにしても、各人物が「麒麟がくる」に重なってしかたなかった。

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垣根涼介さんが素晴らしいのは、私が知る限り一度も経営者の経験がないのに、信長の独白が経営者目線の真理を実に体現しているところ。更に、秀吉以下べき分布し、落ちていく中間管理食の悲哀を感じる。

にしても、これは必読の書。面白かった。

命の源

夢を見た。

彼女とは息が合うわけではなかったが、仕事の関係がありパートナーとなった。二人でアフリカに旅行するのが夢でお金を貯めて、数年がかりで実現させた。大きな視界いっぱい広がる縦穴のある台地のホテルに泊まった。各部屋にテラスが付属していて、「穴」の情景が名の前に広がるモダンなホテルだった。私は仕事の遠隔ミーティングがあり、部屋に入るのにだいぶ遅れた。私が部屋に入り、彼女と合流した時には彼女は無表情に坐って、目の前に広がる穴と崖の景色をベランダから眺めていた。数年がかりの夢を実現させたのに、交わす言葉も薄く残念な想いばかりが募る旅行だった。

帰国してから彼女とは生活があわずに分かれてしまった。職場で特殊なバランスを取る機材を開発する仕事に没頭する私は、たまたま同僚を訪ねてきた彼女と久しぶりに出会った。彼女が広げたまま席を外してしまったパソコンを見ると、スチュワードの青年と二人でハングライダーに載って「穴」を飛行して撮影した動画が映っていた。初めて、「穴」の中にも幾重にも「穴」があり、緑が生い茂り、鳥が飛び交う構造になっていることを知った。ああ、こここそが命の源なのだと直観した。そして、私は彼女とこの体験を共有しなかったからこそすれ違ってしまったのだとも知った。

あの穴はアフリカの穴ではなく、「小さな石」の「穴」だったかもしれない。男は女のために穴に飛び込めないと一緒にはなれないのだろう。

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頭の整理がゴルフには大事

相変わらずスコアは全くまとまらないが、ショットは少しづつよくはなってきているように思える。以前、コーチをしていただいた方の話が今頃になって身体でわかってきたような気がする。いや、本当に「気がする」だけなのは自覚している。逆を言えば、これは右目に打たなければいけない、いや、それならこういう打ち方でよいのか?等整理がついていないままスイングを初めると半分以上ミスショットになることがわかった。そんな中で、佐久間馨プロの漫画による解説読んで非常に感じるところがあった。

正直、本書はコンビニで見つけて買った来たと記憶する。発行年を確かめると2018年とある。当時、ざらっとは読んだのだが自分のゴルフから理解できなくて読み進めなかった。私の頭と身体のアンバランスの象徴のような話なのだがほとんどのゴルフ本は買ってきても読み進められない。書いてある身体の動かし方と自分がクラブを降るときの動かし方が連動しない。

ところが、今回佐久間先生の漫画を読んで「考え方を変えろ」というところから始まることに非常に納得した。ボールを左に置くのか、右に置くのか、フェイスを開くのか閉じるのか等、考え方を整理するだけでスイングを始める前にやっておくことがたくさんあることに気付かされた。なにより「ヘッドが水平に動く距離を長くしろ」など、よく言われる「箒を履くようにショットしろ」を科学的に分析されている。まだ、本書を読んでからラウンドしていないので説得力はないがまさに「考え方」の部分を佐久間プロはゼロベースで考えつくされているように思える。

ま、とにかくラウンドしてからまた続きをかけたら書きたい。

「ポーの一族 秘密の花園」

いつのまにか萩尾望都先生が新刊を書かれていた。

「春の夢」、「ユニコーン」とほぼ現代にまで至る物語が語られたので、過去の「空白」、「ランプトン」、アーサー卿が描かれる。いや、アーサー卿が「ランプトン」を描くのか。舞台は1888年とアランがバンパネラになって10年ほど。リデルと別れた後となる。

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ポーの一族 - Wikipedia

テンポよく物語は進むがまだ「音楽」は聞こえてこない。逆に言えば、初期の頃の語り方に近いのかもしれない。エドガーが衝動的に人を襲うのを初めて見た気がする。

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宝塚の舞台もぜひ見てみたいものだ。

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「空母いぶき Great Game」2巻

なかなかの迫力。いよいよ戦闘開始かと?

北極海がこれから大変なことになるのだろう。「発見」を全世界に発表するという行為は同じだが、単なるSF小説と構造が同じだ程度の指摘は浅かった。結構実際のロシアは北極海に本気なのかもしれない。北米、欧州、ロシアとの航路が全く変わる可能性を温暖化は秘めている。単なる災害として捉えるのではなく、新しい経済圏の出現であり、その利権をどう調整するのかという大きな国際課題がいま浮上してきているのかもしれない。

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「ニキ」

なかなかショッキングな小説だった。当初は本当に単なるやばい小説かと思ったがこれはこれで一つの成長の過程なのだと。 

ニキ

ニキ

 

そもそもこの小説が「ポプラ社小説新人賞」を取ってることが一つのネタバレ。ものを作る、描くことに天才的な人材はどこかでアンバランスなのかもしれないと改めて感じた。言いたいことはたくさんあるがこれ以上書くとネタバレ以外が不回避。改めて書きたい。

「一枚の地図」戦略と戦術

基本的なことを知ってるつもりで実行できてなかったことを思い知らされた。

迷えるリーダーがいますぐ持つべき1枚の未来地図

迷えるリーダーがいますぐ持つべき1枚の未来地図

  • 作者:横田伊佐男
  • 発売日: 2020/04/09
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

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戦略は、経営に対して責任を負える人間がくだす。戦術は、仕事に直接に当たる人間が決定し、実行する。これくらい明確な区分があるだろうか?自分でおごりがあったなと思うのは、自分が両方できてしまう人間だといつのまにか思い込んでいたこと。これが本書を読んで最大の反省。