読了。本当に垣根涼介は一作あげるごとに成長している。
- 作者:垣根 涼介
- 発売日: 2013/08/30
- メディア: 単行本
垣根涼介はいくつかの作品で、ちょっとつっぱった、あるいは大変な苦境を経験した男の子を主人公に据えてきた。こうした「男の子」がプロとして、大人として研ぎすまされていく成長を描いてきた。本作では、人生とはなにかの真実に肉薄している。仏道とはなにかを見事に描いているといってもいい。しかも、大変に緻密で冷静な視点で描いている。
もともと大人な知性と感性の持ち主で、子ども時代を描く時は子どもの立場に身を入れて書いたから、成長を描けるのか?それとも、やはり、作品とともに成長しつづけているのか?
いくつかの数学上の「定理」が出てくるが、その解き方自体が進化を示している。「ベイズの定理」の考え方の示し方自体に著者の進化が如実に表れている。人生の真理、「定理」を、簡便な言葉で示せること自体が進化だ。
手放しで賞賛したい。