HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

「ボーダー ヒートアイランド4」

あっという間に読了。たまたま移動時間がながかったからというのもあるが、次の展開が知りたくてわくわくしながら読んだ。

本作でテーマとなるのは、日の当たらない場所と、日の当たる場所の境界、ボーダーとはなにか。一生、秘密を持って生きなければならない生き方は確かに苦しい。しかし、苦しくとも境界を越えなければいけないやつもいる。超えてはならないやつもいる。

ちなみに、本書のタイトル、「ボーダー」というと私にとっては、狩撫麻礼のこれ。

これは本当にはちゃはちゃだけど、一本筋の通った漫画だった。年代からいって、この作品に間接の間接くらいには、垣根涼介は影響を受けているのだろう。

主に「極限状態で自意識が覚醒する瞬間」をテーマにしており、そのほとんどがミステリーや冒険活劇もの(本人曰く第1の極限軸)。自分自身のサラリーマン時代を下敷きにして書いたリストラ請負人の話『君たちに明日はない』(本人曰く第2の極限軸)や、フィジーでのクーデターをモチーフにした恋愛小説『真夏の島に咲く花は』(本人曰く第3の極限軸)でもこのテーマを取り上げている。

垣根涼介 - Wikipedia

これはどこで垣根涼介が語ったのかわからないが、なるほどと想った。秘密のある薄暗い生き方を選んだにしても、その道での成長、覚醒はある。アキは、ヒートアイランドシリーズの1巻から3巻までそれぞれの場面で「覚醒」し、成長した。不連続な成長を体験した。4巻ではどうだろうか?アキ自身が他の人間を覚醒させたのだと言えば、言い過ぎであろうか。

にしても、垣根涼介自身の別の著作と設定をからめるのはかまわないが、著者自ら語りすぎれば別の著作が売れなくなってしまうのではないかと、いらない杞憂をしたくなった。