小説としても一気読みする面白さだった。さらに、歴史的公証などほとんど博士論文を読んでいるくらいの勢いで戦国時代の流れが理解できた。
「光秀の定理」と表裏をなす本作。「定理」は数学だったが、「原理」はべき分布だった。
信長がべき分布という宇宙的な「原理」を知っていたらどうなるか?見事の本作で描かれている。観点としては"winner takes all"なのだが、組織論としては"long tail"の方であり、現在活躍していない家臣であっても抱え続けるという方がべき分布のあるべき解釈ではないかとは思った。
それにしても、各人物が「麒麟がくる」に重なってしかたなかった。
垣根涼介さんが素晴らしいのは、私が知る限り一度も経営者の経験がないのに、信長の独白が経営者目線の真理を実に体現しているところ。更に、秀吉以下べき分布し、落ちていく中間管理食の悲哀を感じる。
にしても、これは必読の書。面白かった。