HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

第四象限のブラックスワン

タレブの「強さと脆さ」を読んだ時に「まとめ」まで作った。キーワードにちゃんと「第四象限」とまである。しかし、「半脆弱性」のを読んでいて、ブラック・スワンの棲む第四象限についての理解が正確ではなかったことに気付かされた。

togetter.com

強さと脆さ

強さと脆さ

確かに、この方のレポートの通りのことが書いてあったとは記憶する。

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https://cuc.repo.nii.ac.jp/index.php?action=pages_view_main&active_action=repository_action_common_download&item_id=5036&item_no=1&attribute_id=18&file_no=1&page_id=13&block_id=37

タレブは「半脆弱性」でこう書いている。

第四象限とは、私がブラック・スワンの世界に対してつけた科学的な呼び名だ。第四象限では、まれな”テール”部分の事象に対して高いエクスポージャーが存在、かつそういった事象を計算することができない。

つまりは、第四象限とは「まれなテール」=「果の国」、かつ「高いエクスポージャー」=「複雑なペイオフ」の「象限」をいうと改めてタレブは書いていることになる。ガウス分布のような平均と分散で計算可能な「月並みの国」ではない「果ての国」で、A→Bのような線形な関係ではなく「複雑なペイオフ」=非線形な結果が起こるとその下振れがあまりに大きい(高いエクスポージャー)事象ということになる。

果ての国 まれなテール
複雑なペイオフ 高いエクスポージャー

まれにしか起こらないはずの想定外の暴騰・暴落が実際に発生するリスクのことであり、通常は大幅下落するリスクを指す。テールとは騰落率分布の端や裾野を意味する。

野村證券 | テールリスク(証券用語解説集)

エクスポージャーとは、投資家や企業が持つ金融資産(ポートフォリオ)の中で、市場の価格変動のリスクにさらされている資産の度合い(割合)のこと。例えば、外貨建ての資産を保有している場合、為替変動リスクに対するエクスポージャー保有していることとなり、為替ヘッジ取引等のリスクヘッジを行うことで、(外貨)エクスポージャーを減少させることができる。

用語集 エクスポージャー「リスク管理」

最近、日常のものごとの判断において「エクスポージャー」の度合い向きを意識するようになった。つまりは、下振れしかないのか、上振れもするのか?あるいは、上下に同じ分布で「こと」が影響するのか、下振れと上振れで確立が違うのか?自分の仕事の意思決定においてタレブの言う、バーベル戦略、つまりは一定のコストで下振れのリスクをヘッジし、日常の「利益」は下振れの少ない、利回りの確定した選択肢を組み合わせるところまで、なんとなく道が通じている気がしている。よくよく、判断の対象となる自分の仕事の領域がどの象限のことを言っているのか、その意思決定は上振れを期待できるのか、下振れだけなのか、あるいは限界のないぶれなのか、判断して意思決定する習慣をつけたい。

ちなみに、日本の場合は全く逆で、小さな山火事ですら避けるがゆえに消化不能な大山火事を引き起こしてしまうような、ちょっと特殊な「脆さ」を蓄積している。

hpo.hatenablog.com

進化の最小単位は家族

進化について学び続け、考え続けている。進化とは「群」においておこる現象であって「個体」が単位でない。

1.「生物個体群の性質」であり、「個体の発生上の変化」ではない。
2. 本来的には「世代を経るにつれて変化する現象」であり、「進化」自体には高等になるとか、複雑になるとか、価値観、方向性を含まない。
3. 「個体群内の遺伝子頻度の変化として定義されることもある」とあるように、形態の変化であるよりも一定の「群」の中での内在的な変化も含む。

進化とはなにか? - HPO機密日誌

では、この「群」とはなにをもって他と区別されるのか?間違いないなくひとつは生息地だろう。現代の科学においては評価されていないようだが、私は子供の頃今西錦司先生の「棲み分け」理論を聞いて納得した。それは、私の中の「麗しい澤」概念と結びつく。

今西錦司氏の『棲み分け進化論』は、「進化とは、種社会の棲み分けの密度化であり、個体から始まるのではなく、種社会を構成している種個体の全体が、変わるべきときがきたら、皆一斉に変わるのだ。と言う表現で、ある種から新しい種が生まれても、従来種は駆逐されることなく、新しい種と共存してゆくもので、その発生事態も突然変異などによる偶発的なものでなく、環境の変化などによって、時期が来たら複数の個体が、あたかも化学反応のように、同時多発的に変化してゆく現象での進化」

棲み分け理論って結局のところ何ですか? : とみ新蔵 ブログ

高校の頃、学校に額がかけてあった。

麗澤とは太陽天に懸かりて万物を恵み潤すの義や
創立者の書かれた「易経」からの引用だということだった。三年間毎日読んではいた。意味もわからず、ただ目には入っていた。高校時代、別に特に悩んでいたわけでもなく、人生に絶望していたわけでもない。かと言って、最高にハイな高校生活でもなかった。たんたんと高校生活が過ぎて行っていた。そんなある日、いつものようにこの額を見て、突然太陽の恵みによって、文字通り麗しい澤のようなところで生かされていると直感した。額の言葉通り、太陽が空にさんさんと輝いて、日の光の恵みのもと、澤に流れる川のほとりでアメンボや、つぐみや、リスなどが、調和して生きている、生かされている情景を「体験」した。

「生きがいについて」読了 - HPO機密日誌

トンボでも、キツツキでも、「谷」という生息の条件が穏やかに変化していく環境の中でそれぞれの生き物がそれぞれの「地位」を占めて生きていくイメージをこの時にもった。食べたり、食べられたりしながら、連鎖し、それぞれの種の「地位」において生殖していく。そして、その「群」の中で蓄積された独特の変化が新しい進化につながるのだと。

これが人間だったらどうなるのかを展開したのが間違いなくマット・リドレーの「進化は万能」となる。「進化は万能」の中で、進化の「群」単位として国、地域社会、会社、集団内の概念、ああ、そう、「神の進化」も扱っているので人類全体をも「群」として扱っている。いずれにせよ人類における最小単位は個人となるのだが、いくら天才がいても父親と母親がいなくては生まれない。言語も習うことはない。その個人が「群」を形成する最小単位は家族ではないかという想いが保守主義者の私から離れない。

まあ、自分は果たしてよい「群」を子供達に対して形成してあげることができたか反省ばかりではある。いろいろ考えることはあるがいまはこの想いをただ記しておきたい。ちなみに、「進化の最小単位は家族」とここで敢えて書くのは、逆に言えば「家族」を形成しなければ自分という「種」の遺伝的、文化的ミームをさらなる進化に繋げられないことを理解していない人が多いからだと最後まで来て思い出した。

「人生は運よりも実力よりも『勘違いさせる力』で決まっている」へのガイドブックス:実践の一冊

タイトルが長くなって意味がわからなくなっている。フロムダさんの「勘違いさせる力」は若いビジネスマンの新しい古典となるだろう。「失われた」、「氷河期」などと評価されがちな若きビジネスマンには、自分の現在の実力とこれからを考える上でとても大切なビジネス、人生のコツを平易に書かれているからだ。

hpo.hatenablog.com

そうした中で、先日参加したある勉強会で紹介された一冊が、本書を読んで「これだ!」と思われた方への実践へのより具体的な道を示してくれると確信した。

人蕩術奥儀―人蕩術とは人たらしの術である

人蕩術奥儀―人蕩術とは人たらしの術である

無能唱元氏が書かれた30年以上前の本が最近のIT、心理学を駆使したフロムダ氏の知見とどう結びつくかはぜひ読んでいただいて。ただし、古書として定価の10倍の1万円程度で売られているが、十分に価値があることは保証したい。今後、機会を見てもう少し詳しく書きたい。

アルファベットの起源

日本語の発音がまず存在し、それを表記するひらがなが発明された。ここまではわかる。しかし、発音、ひらがなが先にあって五十音表が見いだされたと知った時は衝撃だった。「音」の方が先に体系的に存在して、その表記があとからついてくるのはまあ当たり前なのだが、母音が5つと、/k/、/s/・・・と9つ(?)の子音が体系的に日本語として存在している。もちろん、長母音など日本語の発音体系ですら五十音だけでは表記しれきない。それでも、ひとつの言語の表記を5×10行ーαで表現できてしまう。言語の発音と文字が精緻な体系であることがあとから立証された。まして、それが表になると。すごい!

現存最古の音図は平安時代中期の『孔雀経音義』 (1004年 - 1027年頃) や『金光明最勝王経音義』 (1079年) などが挙げられている。「音義」とは、漢字の発音と意味を表した注釈書のことであり、漢訳仏典において漢字の発音を仮名で書き表そうとしたことがその起源となっている。天台宗の僧侶明覚の著書『反音作法』で梵字のような子音だけを表記する文字をもたない日本においては反切を利用することが書かれており、同一子音のものを同じ行に、同一母音のものを同じ段にまとめることで、仮名を用いた反切(仮名反)を説いている。

五十音 - Wikipedia

そう考えると、アルファベットって実はすごい文字体系だ。母音相当の文字も、子音相当の文字も英語だと26字の中にすべて組み込まれて成立している。

hpo.hatenablog.com

英語の起源について読みながら、アルファベットについてもずっと考えていた。"G"と"H"の単語つづりの中での発音と、文字としての「ジー」、「エイチ」としての名前など確かに不思議でならない。

okwave.jp

もちろんアルファベットの親であるギリシア文字からの直接の影響で成立しているのは理解できる。しかし、文字の名前はまったく違う。そもそも、ギリシア文字の先祖がフェニキア文字で、その読みから始まっているのだと言われても、まだ不思議は残る。

このギリシャアルファベット自体はどこから来たのでしょうか。

それは、ローマ帝国が地中海の覇権を握るずっと前から、地中海交易で栄えたフェニキア人たちの使っていたフェニキア文字です。

アルファベットの起源とは? | RYO's Greek World

ヘブライ文字と同じくフェニキア文字は子音のみの文字体系であったらしい。そして、その子音で始まる単語の読みから母音の文字が生まれたのだと。例えば、”A”は「牛の頭」というセム語系の単語から/a/という発音の文字となったと。

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http://zen.shinshu-u.ac.jp/modules/0004003002/main/03_2.pdf

それぞれの文字の起源を詩的に表した作品もみつかった。"H"が柵から来ているとか、"B"が建物から来ているとか、まゆつばかなと想ったら分かる限りできちんと描かれている。

rocketnews24.com

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https://en.wikipedia.org/wiki/H

ちなみに、文字に対する興味は「レイダース」の第三作目から始まった。例の「ラテン語ではJはない」という話しだ。

逆に言えば、「アルファベットを歴史的に使ってきた地域と民族」こそが「ヨーロッパとはなにか?」の答えだと言えまいか。文字は歴史的にあまり大きく変化しない。

hpo.hatenablog.com

「たとえ原発が動いていても今回の道内全域停電が避けられない」か?

ほぼタイトルの記事を増田で読んだ。

anond.hatelabo.jp

Togetterでも似た議論が展開されている。

togetter.com

これらの論者が「避けられない」とする理由は、このツイットが端的。

「周波数変動」、「全系統崩壊」であったと。

確かに周波数とは需給のバランスで決まる。

周波数は、図2に示すように、発電と負荷(需要とも言います。使われている電気の全体の量のことです。)のバランスで定まります(脚注6)。発電が大きければ周波数は高くなって行き、負荷が大きければ周波数は低くなって行きます。

バランスが崩れれば周波数を追随させるために発電機の回転数を変えなければらない。発電機の回転数の追随には限界がある。これはわかる。しかし、一歩前にもどって原発が稼働してればそもそも深夜の時間帯で火力発電にこんなに依存しなくてもよかったはず。本来、各電力会社は限られた経営リソースの中で電力の「ベストミックス」を目指していた。これが実現していればこの図が実現していれば午前三時に火力発電所がフル稼働していたはずかない。

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http://www.ene100.jp/www/wp-content/uploads/zumen/1-2-11.jpg

「ベストミックス」が実現されなかったのは、福島第一原発事故が原因ではないことは銘記されなければならない。中途半端な主義主張による政争の具と化した反対運動により十分な原発の開発、更新は行われなかった。そもそも、福島第一原発ですらきちんと更新、廃炉の手続ができてれいば前回のような大きな事件にはつながらなかったと考える。

いかがか?

ちなみに、自分の発言ながらこれはまったくの間違い。寝ぼけて、きちんと背景を調べずにツイットした。不明を恥じる。

FGO: Accel Zero Order復刻版

前回のサバフェスキャンペーンでは偉大な仕掛けに気づかず不十分な状態で終わってしまった。だって、サバフェスって日が決まっててその日までに到達すればいいと思っていたんだもん!やっぱり、なまなかでないぞ、FGO

news.fate-go.jp

ちゃんと公式ホームページを最後まで読もうな、> 俺!

で、今回のZero復刻版!アニメ版を思いっきり楽しんでみたので、思い入れは十分。

hpo.hatenablog.com

news.fate-go.jp

アイリスフィール嬢目指してがんばるぞぉ!

鬱の増加

時代が移るにつれて、いろいろと直面せざるを得ない問題は数々発生する。そうした中で最近よくあるのがメンタルヘルスの問題で仕事を継続できなくなるケースだ。突然、会社に来れなくなる人が確かに存在すする。そして、その数は増え続けている。どうしても、単に鬱の診断が多くなっただけで、それに便乗するケースが多いのではないかと疑いたくなってしまう自分がいる。

matome.naver.jp

確かに背景に経済的問題があるのだろう。日本の失われた数十年はあまりに罪深い。

GDPデフレータでみたインフレ率がプラスなら自殺率は相対的に低く、マイナスなら自殺率が急増する。

そして、抗うつ薬のキャンペーンが急増の背景にあると。大学の頃に教わったことは、人間の気分や情緒の問題はたぶんに薬学的問題であると。比較心理学のマウスの研究などでもこれは検証されている。

うつ病は「心の風邪」だとするキャッチコピーが広まった。だれでもかかる可能性があり、薬で治療できるという意味だ。

当然ながら、日本でうつ病を含む気分障害と診断される患者の数はたった4年間で倍増。抗うつ剤の市場は06年までのわずか8年間で6倍の規模に急成長した。

いかに日本はうつ病を信じるようになったか - BBCニュース

周囲の理解がないという意見が多く見受けられる。個人的に想うのは、鬱は多くの場合双極性。周囲が理解しようとしても、時にそれを飛ばして本人が走り始めてしまう。「個人的感想」以外のなにものでもないのだが、症状に応じた働き方、活動の仕方を本人の自覚において周囲が環境を整えるしかないのだろうと想う。一度、かなり長期間にわたり「理解」を示したつもりだが、一向に本人のためにならなかった。

www.mhlw.go.jp

今後のことも考えると、いまいちど鬱を発症した方々とのつきあい方をどこかで学び直したほうがよいのかもしれない。

ちなみに、米国でも現在の日本と同様に鬱として「受診」する人が増えているという。同じ構図のようだ。

www.newsweekjapan.jp