HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

移動量とCovid-19感染のデカップリング(個人的メモ)

東京での感染拡大の報道を受けて、人々の移動量と感染の統計について、自分で少しは調べなければと想っていたら、@ma_pressさんが全面的にやっていらした。

また、経済と感染のバランスを取るための方策もデータの根拠まで示されている。

私も若干Google Mobility Reportを使って、Rtとの関係を調べた。@birdtakaさんのお陰!

hpo.hatenablog.com

この時点では移動、MobilityとRtの関係を自分で再現できなかったが、7月頭にやってみた。現在の東京のPCR陽性者数の推移、Rtは二週間前の移動を見ればよいと理解した。繰り返すが、7月4日の百人前後のPCR陽性者の報道があった時点で、翌週(5日から10日)には300人程度の感染者が出ててもおかしくない予想をした。来週には更に増えるであろう。*1

そこで、移動量と経済再開と新型コロナウィルス感染症の問題。単純に移動を制限するのではなく、ドイツのように移動量と感染の相関を断ち切るべきだというのが@ma_pressさんのご主張だと理解している。そして、そのためには検査を徹底すべきだと。当然、接触確認アプリ利用を感染リスクが高いと想われる地域の人々には義務化するとか、リモートワークを増やすなどの方策は考えられるだろう。経済クラスターはすでに新しい生活様式ガイドラインを業別に作成してる。ここがあまり知られていないのが不思議。これらのガイドラインこそNHK当たりが特集組んででも広く紹介、徹底すべきではないか?

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https://corona.go.jp/prevention/pdf/guideline.pdf

留意すべきは日本が「ゆるい」から再感染拡大がはじまったという認識より、ドイツを例外とした世界的な傾向だと捉えるべき。戦時体制にあると言えるイスラエルですら感染者は広がっている。経済再開すれば当然の動きなのだ。また、「新型」とは言えコロナウイルスコロナウイルス。夏風邪を引く一定人数は珍しいことではない。

一旦、押さえ込んだと思われている国のその後の感染状況についてはFinancial Timesのグラフ機能でも確かめた。ドイツの「次の波」対策のなにが特徴かは調べている。プール検査なども活用しているのだろうか?

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もっとさらに大前提から言えば、日本は世界一の人口自然減少大国。年間40万人以上年間130万人以上が亡くなっている。千人単位の死亡は珍しいことではないように見える*2。医療の方に教えていただきたいのは、例年数十万人の死に日常的に対応しているのに、なぜ千人単位の死で医療崩壊してしまうのだろうか?指定感染症だからか?社会的パニック状態だからか?院内感染が社会的に非難されるからか?*3

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https://docs.google.com/spreadsheets/d/18i55DFTVPFxiqM2JToLdrtzdHEtJYoqy3GZ8xScyMx4/edit?usp=sharing

一般の方々ももっと恐れるべき死亡原因があることを認識すべきだと私には思える。コロナの最中であるが突然の死を迎えた若い知人もいるし、長寿を全うした方々の訃報も毎日のように来る。久しぶりに会った知人が癌の手術を受けたと聞いて衝撃も受けた。日本の死因の1位から5位を厚労省が公開している。ちなみに、死亡率とは人口十万人当たりの死者数。新型コロナウィルスよりもはるかに死は一般的だ。

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https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suii09/deth8.html

※ 本ブログにおいて整理した

以前年代別のCovid19死と従来の死の比較をした。驚くべきことにほぼ同じ分布であった。米国のデータだが平均年齢も計算してみた。2年程度の差でしかなかった。

スウェーデンの状況をまとめたエントリーでも、かなり詳細にCovid19死と従来の死の比較を行い、大きな変化ではないことを証明しているように私には読める。

Guest Blogger @HaraldofW – All you ever wanted to know about Corona Swedensoftwaredevelopmentperestroika.wordpress.com

不謹慎だと想ってずっとエントリーには書かなかったが少数の例外を除いて、高齢者の余命をほんの数年、しかも既往症等に悩まされている人々が多い100%のQoLではない余命を伸ばすために、多くの若者の職場や、学びの機会、職業訓練、あるいは子供を産み育てる機会を奪っていいのだろうか?長期の休校により精神的にダメージを受け、学校に通えなくなった子供達も存在する。更には、「自粛」により筋力が衰え、健康を失い、痴呆、介護度が進んだ高齢者もいる。一体なんのための自粛なのか?

最悪なことに、私の見える景色からすると経済における企業の大量死時代が足跡をたてて近づいてきている。リーマンショック以上の大量倒産、大量失業がそこまで来ている。ニュースで出てきているのは氷山の一角ですらない。経済を建て直さなければ、多くの人が死ぬ。経済苦で死ぬ。子供は教育の機会を失う。最悪親の道連れで殺される。貧困も広がるだろう。政府はこれ以上対策を打つ財政的余裕はない。私が財務省であっても二百兆円の対策予算を立てて半年以内でまた百兆円の追加予算は組まない。移動量と感染のデカップリング以外道はないだろう。

2020年7月10日16時現在、新型コロナウイルスの影響を受けた倒産(法的整理または事業停止、負債1000万円未満・個人事業者含む)は、全国に332件<法的整理256件(破産227件、民事再生法29件)、事業停止76件>確認されている(原則として事業停止の事業者は自己破産申請の準備に入っている)。

 負債総額は、2173億2200万円(調査中を除く325件の合計)で、5億円未満が255件(構成比78.5%)を占め、中小零細事業者が中心。一方、100億円以上の大型倒産は3件(同0.9%)にとどまっている。

「新型コロナウイルス関連倒産」は332件 ~福岡県で10件に達する~(帝国データバンク) - Yahoo!ニュース

更に企業の大量死に医療機関が加わってくるだろうというのが笑えない現実。医療機関の赤字幅は想像を超える金額。新型コロナウィルスを怖がるがあまり、経済的な要因で医療崩壊が起こるのでは本末転倒以外のなにものでもない。更に言えば、マスコミ等が新型コロナウィルスの恐怖を煽るがあまり現実に目の前の死につながりかねない病気の診療を受けずに死ぬという誠にばかげた超過死が生じているのが現実ではないだろうか?

コロナを正しく恐れる、経済活動の再開と感染リスクのリンクを断ち切る、ここにぜひ政府から多くの死のリスクを抱えた方々は注力すべきでは?また、感染予防、デカップリングの努力から新たな産業が生まれることを期待したい。


■追記

医療クラスターは、医療に対する政府の無能さ、リソースの配分に大変お怒りなので、優先して対策すべきではないだろうか?医療業界の方々には「ここまでやったらRtを減らせる。ここまでだったら経済再開と医療的な配慮の両立ができる」というガイドラインをぜひお示しいただきたい。前述の通り、産業界的にはガイドラインを示している。これが不満であるなら、どこをどうすべきなのか逆に示していただきたい。経済がまわらなければ、健康保険も払えない。ほとんどの健康保険は産業別組合からだとご存じのはず。まして、大方の病院が患者を怖がらせ過ぎて大赤字となり、来年の存続すら危ぶまれている今、どうしたら新型コロナウィルスと病院経営が両立すべきか具体的に提言しないとご自身の職場がなくなるとよくおわかりだと想うのだが・・・。

もう私は神経をやられてしまったのかも知れない。妄想しか浮かばない。

*1:なお、断続的に東京都の年代別構成比を見ているが若年人口がほとんどとの傾向は変わっていない。陽性者の数を東京都が公開するなら症状の有無や、もっと言えば現在の他の感染症の状況についても同時に公表すべきだと私は想っている。

*2:なにを血迷ったか、人口の減少数と死亡数を混同していた。https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai18/index.html:embedef:id:hihi01:20200715055118p:plain

*3:ツイッターでご指摘をいただいている。