「広場のデザイン」は大変興味深い。多くの方にとっては、公共デザインとは使うものであっても、参加したり、興味の対象となるものではないだろう。しかし、オガールの例にように今後地方が疲弊していく中え、興味を持ち、参加すべき対象となってくる。
本書を公共デザインに関わる方からご紹介いただくまで著者の小野寺氏を存じ上げなかった。大変、公共のデザインについて広い知識を、深い洞察と、熱い情熱のある方だ。
この方が日本型の「広場」とは「参道」である、浅草仲見世のように常に奥になにかあると感じさせるデザインなのだという。浅草と言えば、桃知さんだと。確かに、桃知さんの「街」論と通じるものがある。そして、門前街に生まれ育った私には大変感じるものがある。本書に成田の参道が載っていないのが残念だが、成田の参道は山の稜線沿いに形成された。従って、どこをとっても曲がっている。現代的な街づくりとは対極にあるがにぎわいが絶えることがない。この視点に立って、本書前半の西欧の広場デザインとの比較を行うことは大変興味深い。そして、またこれからを考える上で重要だ。
本書を紹介いただいた方に深く感謝したい。