HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

「真剣師小池重明」

友人から勧められて読んだ。驚きの団鬼六先生の小説。

真剣師小池重明 (幻冬舎アウトロー文庫)

真剣師小池重明 (幻冬舎アウトロー文庫)

小池 重明(こいけ じゅうめい、本名・こいけ しげあき、1947年12月24日 - 1992年5月1日)は、愛知県名古屋市出身の将棋アマチュア選手。アマ最強と呼ばれ、その強さは花村元司も評価。賭け将棋で生計を立てる真剣師としても伝説的な強さだったとされる。「新宿の殺し屋」「プロ殺し」など数多くの異名と独特の棋風で知られる。

小池重明 - Wikipedia

将棋はよく知らないが、子供の頃祖父によく指してもらった。センスがないらしく祖父が亡くなるまで飛車格落ちでも勝てなかった。それでも、勉強しようと想って買った新書の将棋の本がwikipediaにも出てくる花村元司プロの本だったと記憶する。花村棋士の本には、賭け将棋の真剣なやりとりを彷彿される心理戦のようなことが書いてあった。おっと、探せば出てくるのがいまの高度情報社会のすごいところ。

この花村棋士を上回る賭け将棋の「真剣師」でありながら女に溺れ、酒に溺れ、賭け事に溺れた男が小池重明。確かに、誰もが人には言えない性や癖をもっているのだと想う。その狂気に近い部分とどう折り合いをつけるのが人生だと。例えば、草間彌生氏は狂気をもマネジメントした。

キュレーターの方が「草間は狂気をも"manage"した」と言っている。多くの芸術家は「マネージ」できずに死んでいくか、作品を生み出せない状態に陥っていく。草間はまことに「エクストラオーディナリー」だと。ペニスへのobsessionが水玉に至るのだと思うと、すごい"management"だ。

草間彌生の水玉は去勢されたペニス - HPO機密日誌

小池重明は、その折り合いがつけられなかった。あるいは、リスクにむかってどんどん突き進んでしまう形の天才、異能者だったのだろう。団鬼六先生の書きぶりを読んでいると、小池氏はもう映画「アマデウス」のモーツァルトだなと。

アマデウス(字幕版)

アマデウス(字幕版)

まあ、とにかくひとごとではない。自分自身も自分の内なる狂気、癖をいかに日常生活を送れる程度には「マネジメント」するかが特にこれからの自分の晩年に向けて大事になる。


■追記

そういえば、似た天才型の人物がいた。

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