HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

Anniversary by Yuming

たまたま「アニバーサリー」を聞いた。

ANNIVERSARY

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正直にいうと、最初JUJUバージョンで聞いて、改めて松任谷由実バージョンを聞き直した。これは本当にウェディングで流すべき曲なのかと。

ANNIVERSARY

ANNIVERSARY

  • JUJU
  • J-Pop
  • ¥250
*1

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http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=36829 Anniversary

Anniversary 松任谷由実 歌詞情報 - うたまっぷ 歌詞無料検索

気になる部分を抜書きする。

  1. 「ひとり残されてもあなたを思ってる」
  2. 「同じだけ かけがえのない私になるの」
  3. 「いつかは会えなくなると 知っていても」
  4. 「遠い列車に乗る今日の日が記念日」

全体としては「あなたを信じてる あなたを愛してる 」とリフレインしているように、ふとした朝にパートナーとこれからずっと一緒に生きていく予感がしたことを歌ったうただと理解できる。人間のうちのたぶん半分程度は*2は、えてして誕生日や、クリスマスをひとつの「記念日、Anniversary」として重要視する。なにかのタイミングで、ロマンティックとされる型を通して、パートナーとの関係性を確認することを「欲望」する。その文脈からすると、この4行分の歌詞は若干の違和感がある。

2はさすがに、「一緒になったら私もあなたにとってかけがえのないパートナーになる」という意味だと理解できる。人間の半分はこうしたフォロワ/フォロー戦略をとるのだろう。1、3は完全に完全に相手が先に死ぬ日を予見している。相手が病気だとか、死別した後であれば、それを予感させる歌詞が他に現れそうだが、見つからない。「瞳を見上げてる」は現在のことを歌っているのだろう。もしかすると、床の中でパートナーの胸に顔をのせた姿勢なのかもしれない。

で、人間の半分は、きっと出会いと同時に別れを予感しているのだと思う。思い出したのは、黒川伊保子先生のご講演の中でお聞きした一節。結婚して長くたつ先生は、いまは平々凡々の夫婦でいらっしゃると。しかし、婚約している時は見ず知らずの人の葬式の前を通っただけで「彼が死んでしまったらどうしよう」と思い、感情が高ぶり泣き出してしまったことがあるとお話しされていた。

hpo.hatenablog.com

ことほどさように人間の半分は「私達は(残り半分よりも)現実的なのよ、みんなそう」といったセリフを平気で口にするが、黒川先生のように先の先まで「妄想」する力を持っているのだと思う。論理的、確率論的、因果関係よりも、自分の記憶の中での展開を積み重ねて、「妄想」という塊にまでしてしまう能力を持っているのだはないか?だからこそ、結婚の予感を感じただけなのに4の「遠い列車にのる」というところまで行ってしまう。残された半分側としては、すごいなと思うばかりだがこの感覚はセクシュアリティと切り離しては存在しないことだけはわかる。愛の中の死、死の中に見出される愛。あ、島尾敏雄とミホか。

ミホは、太平洋戦争中、沖縄県の島に赴任してきた将校、島尾敏雄と恋に落ちる。米軍がまさに攻めてくるその時に、どうしても島尾と会わなければならないと心を決める。身を清め、白い着物を着て、戦線の銃弾をくぐりぬけ島尾に会いに行く。その決死行を、ミホは本書で書いている。狂気としか言えないほどの情熱。自分の死を賭してでも、恋する相手に会わなければならない決意。ここに「死を厭わない献身的な愛の衝動」を感じる。そして、この衝動が「性」と深く結びついているのも分かる。自分の人生の中でも体験している。

「二十歳の原点」の性の衝撃 - HPO機密日誌

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って、動画で御本人がちゃんと謎解きされてた。ただし、この場面は他の歌詞から言えば、まだ起こってはいない。しかし、そこまで克明にイメージできている。そこが人間の私の属するのではない半分の側の恐ろしいところ。

*1:ちなみに、JUJUさんの歌からは「死」の予感が感じられない。これこそウェディングで流すべき曲かもしれない。

*2:「女子」と書くことは最近ためらいを覚えるようになった。ただし、一定の傾向は人間のうちに内在していると思われる。この半分をどう表現したらよいのか?人類の叡智としてのパートナーシップのうちのフォローする性的な役割を言いたいのだが・・・。また。これは別途考えよう。