見終わってから、私自身がノックアウトされてしまい、言葉が出なかった。読みかけの神谷美恵子さんの「生きがいについて」とあいまって、人はどこまで失意の底の底に立たなければいけないのかと自問した。
- 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
- 発売日: 2005/10/28
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映画の中では多くのことがとても象徴的に語られる。娘と断絶した父親と、父を亡くした娘の物語である。挑戦しても、挑戦してもかなえられない夢の物語でもある。希望と失望、裏切りの物語でもある。信仰に救いを求めても答えが出でない絶望の物語でもある。私は象徴的なことを語るだけの言葉を持たない。
夢を見続けてもかなわないことは不幸なのか?神谷美恵子さんがおっしゃるように、夢を見続け、将来の可能性に向けて自分が開かれている時は、貧困であっても、恵まれない環境にいても、まだ生きがいを感じられる。しかし、夢の成就を見て、それから夢を奪われることの残酷さはあまりに苛烈だ。その苛烈さの中でも、自分のことよりも相手を想い続けられる愛は、まことに美しい。人に与えられた許しであり、人の与えられたささやかな幸福だ。
ちなみに、主演のヒラリー・スワンクはアカデミー受賞スピーチで自分がトレーラーハウスで育ったとさっと語っている。人々への想いと感謝に満ちた彼女のスピーチは、映画の中のマギー・フィッツジェラルドそのものだ。