finalventさんのツイットに全面的に同意したい。
金で平和が買えるなら買えばいい。金で核のない世界ができるなら金を払えばいい。国家の威信はどうたらなんか、平和維持の前にはどうでもいい。日本という国はそういう国でいい。
— finalvent (@finalvent) June 12, 2018
ただ、「金で平和」という話しは、どうしても塩野七生さんの「ローマ人の物語」を思い出してしまう。「金で平和」と胸をはって言える背景には、勝者の寛容がなければならない。
塩野:古代ローマ人の寛容さは、「勝って譲る」という哲学にも生きています。勝ち続けながらも、一方では譲り続ける。ローマ帝国は征服者がすべて搾取するようなことはせず、基本的にその地に住む人々に任せていました。勝者の権利を振りかざさない統治は、敗者にローマ市民権を与えたことからも分かります。属州民でもローマ軍団の補助兵になれば25年の満期除隊時にはローマ市民権を与えました。ローマ帝国の中で仕事をする医師や教師は、民族に関係なく直ちに市民権を得られただけでなく、属州税まで免除されたんですからね。ローマ市民権のない属州民は収入の10%を属州税として納めていましたが、属州民の立場から考えればこれは「安全保障費」です。ローマ軍団が国境を守ってくれるため、安心して農耕に専念できるわけです。ローマ市民には軍役の義務がある代わりに直接税(所得税)は課せられませんでした。また、多種多様な社会は法が意味を持ちます。ローマ市民権の所有者は、ローマ法の下で私有財産と個人の人権が守られ、裁判権や控訴権すらも認められていたんですからね。カエサルから始まった市民権の拡大は、敗者も勝者ローマ人と同等に扱うことの決意表明であり、こうした想いは属州民にも伝わります。属州民は自分たちもまたローマ人だという意識を持っていました。このソフト面でのパワーには驚きます。先ほどのトライアヌス帝も属州出身ですが、彼ぐらいローマ人的であり、ローマ帝国に献身した人物はいません。
第30回 古代ローマに学ぶグローバル経営術 塩野 七生 氏:株式会社日立総合計画研究所
基本的には商業国家であったカルタゴを滅亡させ、その都市の跡に塩をまいて不毛の地とするほど徹底したローマ帝国の不寛容も覚えておかなければならない。「金で平和を買う」しか道のない日本国民はよくよく歴史を学ぶべき。
- 作者: 塩野七生
- 出版社/メーカー: 新潮社
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まあ、もっとも軍事国家としての末路も恐ろしいものがあるが・・・。
235年~284年の約50年間に70人の軍人出身の皇帝が各地に次々と立って、あるいは殺され、あるいは戦死した。世に言う軍人皇帝時代である。70人の内訳は、正統な皇帝と見なされた者26人、副帝3人、自称皇帝41人。
ローマ帝国衰亡史
米国、中国、ロシアの三大軍事大国において軍事クーデターなど起こらないことを祈るばかり。