なれてしまって当たり前になっている英語の発音がよくよく考えてみるとなぜ?と首をひねるものがたくさんある。そんな疑問に本書はよくよく答えてくれている。
- 作者: 岸田緑渓,早坂信,奥村直史
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2018/01/25
- メディア: 文庫
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例えば、"time"という単語。なぜ「ティメ」でないのかと?"time"は14世紀までは、「ティーム」と発音されていたと。"i"は「イー」という長母音であったと。それが国語化が進むうちに「アイ」と発音されるようになったと。
逆に言えば、英国はローマ帝国のケルト人支配から始まってアングロサクソン侵入、デーン人の王、ノルマン人(フランス)征服など、異なる言葉の支配者が相次いだだめ言葉が非常に変化しやすくなった。借りた言葉も多かった。先の母音変化の起こった14世紀あたりから英語が英語らしくなったと言える。
中学の英語の教科書に英国の老婦人がハムレットを見て劇場にクレームをしたという話しが載っていたのを記憶している。たまたまこの夫人は、ハムレットを見ず、読まずのまま年を重ねていたのだと。実際見てみてら、「そこら辺で使われている言い回し、成句ばかりの寄せ集めじゃないですか!ハムレットがこんな凡庸な言葉で書かれていたとは失望しました」と。16世紀に生まれたシェークスピアあたりでようやく言語としての英語が確立したのだと本書を読んで改めて納得した。
綴りから言えば、ラテン語の色を濃く残しているフランス語とは大違い。考えてみれば、フランスはローマ帝国以外に征服されたことはなかったのでは?
なお、14世紀以前の古い英語の発音はつづりを本書で読む限り、田舎の方の発音に残っているような気がしてならない。平安時代の発音が日本の周辺部でまだのこっていると言われるのと同じか?