先日、MBAを取ることについてエントリーがあがっていた。
相当熱い記事。だが、違和感があって脊椎反射的にいくつかツイートした。
あー、一応アメリカでMBAとってきたけど、全然こんなんじゃなかったなぁ。いまはかわったのか?コア・カリキュラムとか、教科書めちゃくちゃよまされたし、ビジネスの基礎はかなり身についたとは想うけど。
https://twitter.com/hidekih/status/321887823068291072
昨日のMBAの議論で、結局ハーバードであれ、ウォートンであれ、MBAを取ったから人間が変わるというものではない。ただし、自分の力の証明になる。二十歳を過ぎた人間は激しい実務以外でそんなに劇的に変われるものではない。そこが違和感の元だった。
https://twitter.com/hidekih/status/322106924705386496
じゃ、お前はなんだんだと。私はWashington,D.C.にあるThe American University(アメリカン大学、AU)のビジネススクールに行ってMBAを取得した。全米トップ10とかすごい大学じゃない。でも、アメリカ人で大学に行った人なら大概知ってるくらいは名前は売れている大学。逸話もいろいろあって、例えばケネディーの就任演説がAUで行われたとか、国際開発学部は全米トップ10だとか。*1
MBA、ビジネススクールで、phi-kappa-phiという成績優秀者の名誉ソサエティに入れたくらいはがんばった。
で、お前はMBAに行って何を学んで来たかと自分に問うてみた。
いま、大会社ではない会社の経営陣にいる。もしMBAできちんとビジネスを勉強していなかったら、もっと使えない経営者になっていたとまずは想う。会計ひとつとっても、いま仕事をばりばりやりながら、財務経理のチェックや、担当者に指示ができるのも、会計をかなりまじめにMBAで勉強したから。人事関係も組み立てはほとんど私の担当。これも、「人的資源」(Human Resources)をやっていなかったら、既存のシステムを理解し、改善し、合理的に運用できていなかっただろう。ファイナンスも重要だ。銀行の連中とのネゴは会社運営の中でかなり大切だ。銀行をして、「(財務諸表の)数字に意思を感じます。(あなたのクラスの会社で)(ファイナンスに)こんなに詳しい人いないですよ。」程度は言ってもらえる。IT関係も参考程度だけどベンチャーキャピタルがヒアリングに来る程度には洗練されたことはやっている。その他の科目も含めて、コアカリキュラムをしっかりやったことは、いまの自分の仕事に直結している。
Understanding the MBA Degree
- Accounting (会計)
- Business Strategy (企業戦略)
- Economics (経済学)
- Finance (財務)
- Human Resources (人的資源管理=人事)
- Marketing Management (マーケティング管理)
- Manufacturing and Production (製造生産管理)
- Operations Management (運用管理)
- Statistics (統計)
- Technology and Information Systems (技術・IT管理)
コアカリキュラムが役にやっていると想える私には、MBAは「ホームランを打つ」ための訓練とは想えない。私にとっては、MBAはビジネスにおけるヒットを確実に打つための訓練であった。当たり前だが、ケーススタディだって、かなり地道な分析をしてこそクラスでの討議が生きる。決して、その場での「決断」ではない。強いて言えば、決断に至るにはかなり地道なデータ集めと分析が必要だということを実感することが学習の一番の要点だったかもしれない。確かに、ハーバード大学が販売している「ケース」はすぐれていて、A4数枚の内容を読み込んで、分析していくと、ああ、そこだったか!と驚くポイントが埋め込まれている。しかし、そこにたどり着くには相当な下準備が必要だ。
これからMBAを取ろうとしている方々のなにかの参考になれば幸いだ。
■追記
ちなみに、不動産マーケティングの考え方も米国で学んだ。
初めて経済学がわかるかもって思えたのは、米国の授業でだった。
*1:平成29年7月26日(水) 追記 小池知事が卒業されたカイロ・アメリカン大学とは全く別。 小池百合子 - Wikipedia