「失敗の本質」を現代日本の経営に応用した本書は、「未完のファシズム」とちょうど表裏一体をなす関係にある。ただし、タイトルが永杉。
「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ
- 作者: 鈴木博毅
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
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- 作者: 片山杜秀
- 出版社/メーカー: 新潮社
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トップリーダーの役割の不足が散々言われている。そりゃ、そうだ明治憲法の統帥権の下では、「しろしめす」天皇はいても、「しらす」(統治する)リーダーは不在になるように制度設計されている。
戦略が不在?いや、ちがう。もともと、米国や、ロシアには局地戦以外では勝てるわけがないという大戦略で、陸、海軍の訓練がされている。精神主義の横行?それこそが、「持たざる国」日本に与えられた唯一の「戦略」であったと。
この二冊を対象して読むと、いかに日本軍の「思想」が実際の作戦運営にあたって、功罪があったかが分かる。
で、現代の経営にトップリーダーの役割強化、戦略性の強化を求めることは全く間違っている気がする。1984年の「失敗の本質」本書の発行あたりから、日本企業は圧倒的に「戦略」病にかかってしまった。本来「持たざる国」である自覚がなくなってしまった。巨大な部隊編成に、巨大な資金、人的リソース。世界のマーケティングは逆にゲリラ戦ともいえるスピード重視、アドホック重視、市場選択進化が圧倒しているように見える。日本の上場企業の現金貯め込みと、リスク回避への膨大な努力は異常に見える。リスクを回避することのリスクの罠にはまっている。