以下、ネタバレありで。
読んでる内に、記憶について考え込んでしまった。
- 作者: 鎌池和馬,灰村キヨタカ
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2004/06/10
- メディア: 文庫
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この作品についてはほとんど知らない。なんの思い入れもなく、手に取ってぺらぺらとめくっただけ。
主人公の上条は、冒頭から記憶を失っている。それも、エピソード記憶だけが失われている。その経緯は「1」に綴られているのだろうが読んでないので知らない。上条は、インデックスと呼ばれる女の子や、ほかの登場人物には自分が記憶を失っていることを悟らせない程度には自分を保っている。エピソード記憶だけが失われ、意味記憶はしっかりしている状態というのはありうるのか?
私の「生きる力」は、私の少年のある日の記憶からわき上がってきている。自分の日常の体験は、意識、無意識、けものの脳、とかげの脳、魚の脳、もっと深い部分へと濾されていっている。そして、濾されていった記憶が水源となり、自分の深い深い部分から力がわき上がってくるのを感じる。
一方、「とある 2」のタイトルを飾るインデックスという少女は1万3千巻の魔術書を一字一句間違いなく記憶している。彼女は記憶を忘れることができない。この苦しさが片方である。エピソード記憶も、意味記憶も、一字一句、体験のひとつひとつが意識から無意識へと濾されていかないで意識のレベルすべて残っているのだとしたら、それは地獄ではないだろうか?
記憶というのは実に不思議だ。