まだ、タレブの言っていることをどう自分の生き方で実践していいのか、わからない。

- 作者: ナシーム・ニコラス・タレブ,望月衛
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2010/11/27
- メディア: 単行本
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タレブの「判断不能性定理」と「第四象限」の話しはとてもイラストレイティッドでわかりやすかった。
「判断不能性定理」とは、手に入るごく少数のサンプルからは、全体の分布がわからないし、全体の分布がわからなければサンプルからはなにも言えないという事実だ。統計を少しでもかじった人にはよくわかる。物理実験や、認知心理学の実験などでは、経路に依存する部分が少ないために、結果がどのような分布の中にいるかがわかる。だから統計的な推計ができ、確率が計算できる。しかし、社会的、経済的な「複雑」な事象については、再現性が薄く、結果として見えているデータサンプルがどのような分布になっているかわからない。タレブによれば、経済的な動向を予測するためには正規分布も、べき分布も「使えない」のだそうだ。
私たちが生きていくなかで大事なのは、期待値だ。シンプルな結果(ペイオフ)か、「複雑」で結果の強度が予測できないーーー戦争や経済危機のようなーーーことがかの判断がひとつ。そして、生成する確率が正規分布的(月並みの国)的か、べき分布/ファットテール的(果ての国)かという判断がもうひとつ。この中で、複雑な結果で、果ての国の生成分布の部分が「第四象限」であり、ブラックスワンの棲む場所なのだと。そして、そこからはできる限り手を引けと。
ほかにもたくさんのことをタレブは伝えてくれている、訴えかけてくれている。この2つのことがらだけでも、人の生き方は変わってくる。最後のセネカの締念の話しは大変印象的だった。
経済学者をめぐる話しや、大企業と中小企業の話し、そして、いかにタレブは自身が誤解されてきたかという話しについては、また明日以降に考えるとしよう。