人生訓的にタレブが書いている。
![ブラック・スワン[下]―不確実性とリスクの本質 ブラック・スワン[下]―不確実性とリスクの本質](http://ecx.images-amazon.com/images/I/41wvOZMTryL._SL160_.jpg)
- 作者: ナシーム・ニコラス・タレブ,望月衛
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2009/06/19
- メディア: ハードカバー
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ブラックスワンはいずれにせよ生ずるのだから、自分にとって損になるブラックスワンがいそうな場所はなできるかぎり避け、得になるブラックスワンを求める行動をとれと。そして、上向きのブラックスワンはなかなか現れないので、後者の行動は日日ではすこしずつ損をしていることになると。
この生き方は孔子の生き方にそのまま直結する。
論語に書かれた生き方とは、自分の信念に従って生きて、報われることも報われないこともあるという諦念を持つことだと私は思っている。確かに人生の知恵が論語にはつまっている。読めば読むほどそこから自分の人生への訓えと戒めを引き出すことができる。ただ、つきつめていけば「徳は積める」という信念にほかならない。徳が報われるとは限らないのだが、徳目を実行しつづけることが生き方の基本であると。
徳を実行しつづけることは、戒めと徳を積む行動だ。戒めとは、人を殺すとか、だますといった下向きのブラックスワンに触れることは避けることだ。徳を積むとは、人に施すとか、真理を説き続けるとか、日日では損だろうそれは、という行動であっても、いつかはブラックスワンに乗れるかもしれない行動を積み続けることだ。
投資に例えれば、現物のあがりさがり、あるいはデフォルトのスワップを買うことは、ブラックスワンを産みやすく、戒めに従って行動すべき範囲となる。大きな変動のあるときにこそ、価値を産む投資−−−ヴァニラなんとかとかいうのか−−−こそがタレブの選んだ戦略であり、日日には損をし、世間があれるときにこそ生き残れる。
私の街には、陰徳としかいいようのない徳を積んだ事業家がいらっしゃった。もう無くなってずいぶんになるが名が廃れない。街の長老たちから聞くところによると、ご存命のころは、街中でなかなか理解されなかったそうだ。しかし、なくなってもずいぶんたつのにいまではその徳を知らない人はいない。深い敬愛を集めている。上にぶれるブラックスワンとはそういうことではないだろうか?
ああ、タレブは後輩からの連絡にはかならず返事をすると明言していたので、私の理解が正しいかあとで英訳して聞いてみよう。